「マーティン・クリード」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA フォトレ & ビデオポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/24(月) - 04:48 に投稿

マーティン・クリードの関西初個展が京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにて開催中です。

マーティン・クリードは多彩な活動で常に話題に事欠かない国際的に活躍するアーティストです。展示室の照明が5秒おきに明滅を繰り返す作品《Work No. 227(ライトが点いたり消えたり)》で現代美術において最も重要な賞の1つであるターナー賞を2001年に受賞しました。

関西初の個展となる本展では、2点のビデオ作品《Work No. 2656 Understanding》、《Work No. 1701 ウォーキング・フィルム(「You Return」に合わせて)》を上映。こちらはKYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN公式プログラムである劇場上演作品『Work No. 1020(バレエ)』と密接に関係する作品です。

オープニングイベント「マーティン・クリードによるアーティストトーク」は、登場直後から「何を言おうとしてたか忘れた」と、悩み、もがき、苦しみながらも、笑いを交えつつ、極めて平易な言葉で彼の哲学を散文詩のように語り、歌い、それを通訳者が輪唱のように翻訳していきます。トークというより、ライブパフォーマンスのような展開でした。

 

シルクロードの終着点“奈良”とペルシアの歴史から見る世界の現代アート

現王園セヴィン2016/10/21(金) - 16:50 に投稿

中東の現代アートを紹介するサイト「アートな中東」と中東地域の現代アートギャラリー「CHUTO JOON」を運営しているSevinです。
今回は奈良とペルシアの歴史を通して、現在、奈良で開催されている「1300年の時空を旅する八社寺アートプロジェクト」の作品を見ていこうと思います。

中国、韓国、日本の交流を深めることを目的とした「東アジア文化都市2016奈良市」のコア期間2016年9月3日から10月23日にかけて「古都祝奈良(ことほぐなら)― 時空を超えたアートの祭典」が開催されています。日本では美術、舞台芸術、食を通して奈良とシルクロードの深い歴史にまつわるイベントが開催されています。美術部門では「1300年の時空を旅する八社寺アートプロジェクト」と題し、国内外のアーティストによる作品が奈良のお寺で展示されています。

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2020東京オリ・パラに向けての京都宣言発表、全文掲載。「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」

ARTLOGUE 編集部2016/10/19(水) - 13:42 に投稿

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて文化情報を発信する文部科学省主催の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」が10月19日に開幕しました。
京都オープニングは、藤原道山氏の尺八と京都市交響楽団メンバーによる弦楽四重奏と京都大学土佐尚子氏の映像作品によるコラボレーションから始まり、その後松野博一文部科学大臣、山田啓二京都府知事、門川大作京都市長、立石義雄京都商工会議所会頭/オムロン株式会社名誉会長が挨拶をしました。

文化会議 全体会では、裏千家十五代 千玄室氏、山中伸弥京都大学iPS 細胞研究所所長などの講演後、宮田亮平文化庁長官から「2020年を見据えた文化による国づくりを目指して」と題した京都宣言を発表されました。

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」は10月22日まで、京都と東京の約20会場でイベントやシンポジウムが行われます。

スポーツ・文化・ワールド・フォーラム オフィシャルサイト
http://wfsc2016.mext.go.jp/

 

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向井山朋子・演出「HOME」 さいたまトリエンナーレ2016 フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/18(火) - 15:08 に投稿

ピアニストかつ美術家としてジャンルを縦横にこえて活躍する向井山朋子さんの作品『Home』。会場となる岩槻の古い家屋に一歩入ると、向井山さんが手がけるインスタレーションと、かつてそこで営まれていた暮らしの痕跡とが相まって、異空間が広がります。映像、写真、美術の中に実際佇む、世界的ダンサー湯浅永麻の存在の生々しさに思わずどきり。

「Home」。この言葉からあなたは何を連想しますか?安心できて守ってくれる場所?時には喜びや悲しみ、憎しみや秘密を隠す場所、自由を奪って閉じ込める場所ですらあるかもしれません。普遍的でありながら、時代時代で少しずつ意味、イメージを変えていく「Home」をテーマとするこの作品は、家、家庭、家族・・・それらの様々姿をみる人に問いかけます。

他人の暮らしを覗いているような、背徳感すら覚えさせる空間の中で、圧倒的な存在感を放つ湯浅さんのパフォーマンスは圧巻の一言。インスタレーションもお勧めですが、パフォーマンスも是非ご覧ください。

 

向井山朋子・演出「HOME」 さいたまトリエンナーレ2016

 

パフォーマンス

アート小説 『ラピスラズリの音色』 第1話「悩める若き三代目とフルーツサンドウィッチ」

高松恵里佳2016/10/17(月) - 16:05 に投稿

ステンドグラスの窓は少し開いていて、淹れたてのふわりと立ち上がった珈琲の香りがかすかに漂っていた。
スターバックスやファストファッションにばかり慣れ親しんできた葵は店に入る勇気が持てず、人気のない路地を行ったり来たりしていた。
神田神保町、古書店が立ち並ぶ大通りを奥に入った路地に、純喫茶ラピスラズリはある。黒い屋根に壁一面に這う蔦、昔ながらの波ガラスのステンドグラスと重厚感のある店構えは、確かに誰にでも入りやすい店とはいえなかった。
路地を何往復かした後、葵は心を決めた。
やれることはすべてやらなくちゃ。美味しい珈琲を飲みにきたっていう軽い感じでいけばいいのよ。
葵は蔦に囲まれた深い青紫色のドアを勢いよく開けた。
ドアチャイムの澄みわたるような高音が響き、カウンターに座っていた女性がゆっくりと振り向いた。
ベロア素材の青のワンピース、上品な黒のハイヒールが店の褐色の木のカウンターや椅子と一体化するようにマッチしていて、エプロンをしていなくてもすぐに店の人間だと葵にもわかった。何より、女性の端正な美しい顔立ちで、噂の美人店主だとすぐにわかった。
「いらっしゃいませ」
くつろいだ様子で珈琲カップを手にする女性の姿を見て、葵は思わず店に入ろうとする足を止めた。

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維新派 最後の公演「アマハラ」 フォトレポート & 会見全文掲載

ARTLOGUE 編集部2016/10/17(月) - 15:41 に投稿

主宰の松本雄吉さんが亡くなり、解散を表明している維新派の最後の公演「アマハラ」が、奈良の平城宮跡にて開催しています。

平城宮跡は20年以上前に、主宰の松本さんが友人から紹介されて以来、そこでの公演を望んでいましたが、これまで許可が下ませんでした。今回、東アジア文化都市に招へいされたことにより、とうとう実現されましたが、それが維新派の最後の公演となるというは運命的でもあります。

今回の「アマハラ」は、2010年に上演した「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」の改訂版でもありますが、松本さんは「新作と見まがえるような再演をする」と言っていたように構成は大きく変わっています。

舞台は、「海なし県に船が来たら面白いんとちゃうか」と、草原に巨大な廃船が作られました。維新派最大級の大きさの舞台はそれ自体がアート作品と言えるほどの存在感があります。

内容は20世紀初頭、繁栄を求めてアジアの島々を目指して進出していったものの、第二次世界大戦によって全てが滅んでしまった日本人たちの記憶が、船・航海という時間の流れのメタファーのような舞台上で展開されます。
金色に輝く草原に向かう廃船の演出は圧巻で、まるで維新派のそれぞれが新しい大海原への旅立ちを表しているようにも思えます。

「小川信治−あなた以外の世界のすべて」千葉市美術館 フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/17(月) - 03:31 に投稿

小川信治は「世界とは何か」をテーマに、西洋名画や観光名所など人々の見慣れたイメージを改変し、鑑賞者の感覚をゆさぶる作品を作っています。

レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールといった誰もが知る名画を忠実に模写し、そこから中心となる人物を抜き去った「Without You」シリーズや、写真や古い絵葉書を元に人物や建物など同じモチーフを二つ並べて描き込む「Perfect World」、モン・サン・ミッシェルを思わせる形のなかに様々な国や時代の建築様式を組み込み、幾通りもの風景を現した「モアレの風景」など、油彩や鉛筆といった伝統的な技法を用いながら、多様なシリーズが生み出されました。

首都圏の美術館において初の個展となる本展では、代表作から、近年の新たなシリーズ、また、一つの風景が層状に組み換えられ別の風景へと循環していく《干渉世界》など、小川による様々な試みがご覧になれます。

 

「装う」を見つめ直す ―アーティスト西尾美也の可能性

北原一輝2016/10/15(土) - 00:02 に投稿

皆さんは朝、家を出るときなぜその服を着ているのでしょうか。

街でスーツを着ている方を見たらあなたはその人は何をしている人だと思いますか?セーラー服を着ている女性を見かけたらどんな人だと思いますか?
私たちは、女性なのか男性なのか、学生なのかサラリーマンなのか、様々なことを服で判断しているのではないでしょうか。
鷲田清一の著書『ひとはなぜ服を着るのか』の中でも、「性差が服装の差異を決めるというよりも、服装の差異が性差をかき立てる」と、記されています。
個人的な体験ですが、スカートを履いて街を歩くと、嘲笑されることもあります。男性とスカートの組み合わせは、一般社会では異質なものとして映るようです。
このように、服が1つの判断基準となっているからこそ、毎朝、自分の社会的役割に応じて無意識に何も疑うこと無く、服を選んでいるのかもしれません。
 

ここでご紹介する西尾美也さんは、そんな、装うことに対し考えるきっかけを与えてくれるアーティストです。

西尾さんは衣服をメディア(道具・媒介するもの)として捉え、衣服を用いた作品を通じて、我々の生活における最も身近な文化、「装う」という行為に対し揺さぶりをかける作品を数多く発表しています。

「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」 東京都庭園美術館 : フォト & ビデオレポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/11(火) - 18:18 に投稿

フランス現代美術界の巨匠クリスチャン・ボ ルタンスキーの展覧会が東京都庭園美術館で開催中です。

ボルタンスキーは、映像作品やパフォーマンス性の高い作品を 制作していた初期から現在まで一貫して、歴史の中で濾過される記憶の蘇生、匿名の個人/集団の生(存在) と死(消滅)を表現してきました。

会場の東京都庭園美術館は、旧朝香宮邸(1933年竣工、国の重要文化財)であり、アール・デコ様式の邸宅を改築した美術館です。 中に入ると一見、邸宅の調度品以外は何もないように思いますが、歩いていると、どこからともなく誰かの声が聞こえてきます。 これは、ボルタンスキーが旧朝香宮邸に往来していた人たちや、そこでの会話を想像し、しかし、実際に起きたことではなく、時空間を超越した匿名の存在としての「亡霊たち」に語らせた言葉です。
他にも、かつて書庫だった部屋では豊島でサンプリングされた「心臓音のアーカイブ」(2010年)より提供された、「誰か」の心臓音に合わせて電球が明滅する《心臓音》(2005年)や、大量の古着を黄金のエマージェンシー・ブランケットで覆った巨大な山のような《帰郷》(2016年)なども展示されています。

「太陽の塔」 内部再生前最後の内覧会。 「生命の樹」からBGM「生命の賛歌」まで、全て見せますフォト & ビデオレポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/07(金) - 16:20 に投稿

先日、ARTLOGUEでも「太陽の塔」改修前、最後の内覧会の募集ニュースをお届けしましたが、10月29日(土曜日)の一般向け内覧会に先立ち、メディアへの公開がありましたので、どこよりも詳細にお伝えします。

今回は500人の募集に対して、約8万人の応募があったようです。160倍の確率を射止めた方は楽しみにしていてください。 もし、ハズレてしまった方は、2018年3月のリニューアルオープンを楽しみにしましょう。