モノが物語る力-ヤノベケンジ展「シネマタイズ」(高松市美術館)

三木学2016/08/22(月) - 20:33 に投稿
現在、高松市美術館で四国初のヤノベケンジ大規模個展「シネマタイズ」が開催されています。今回、僕はDVDカタログ用のリーフレットの編集を行いましたので、展覧会の見所を項目別に紹介させて頂きたいと思います。

初期作品から最新作まで幅広い作品が結集

ヤノベケンジは、1990年代から現在まで現代アートの分野において、第一線で活躍しているアーティストです。最近では「あいちトリエンナーレ2013」や「瀬戸内国際芸術祭2013」などの芸術祭への出品や、小豆島、神戸、茨木(大阪市)、名古屋など、パブリック・アートの設置も多くなっています。特に巨大な彫刻作品や動く機械彫刻で知られています。 すでに作家歴も25年を超え、作品も膨大な数にのぼります。今回はその中から大小40点以上の作品が集められています。その制作遍歴が(1)「誕生」、(2)「サヴァイヴァル」、(3)「アトムスーツ」、(4)「“未来の廃墟”への時間旅行」、(5)「未来の太陽」、(6)「リヴァイヴァル-もう一つの太陽」、(7)「トらやんの大冒険-ヤノベケンジの代弁者」、(8)「シネマタイズ」、(9)「風神の塔」の9つのテーマとブースに分けられわかりやすく整理されています。

北川フラムが提唱する“アートの効力”とはなにか 「越後妻有 大地の芸術祭の里」 レポート

石水典子2016/08/21(日) - 18:02 に投稿
昨年、出版された北川フラムさんの著書『ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す』(ちくま新書)によると、地域づくりにアートが効くと評価が高まったのは、2012年に行われた5回目の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を開催した頃だといいます。 北川フラムさんは、今年、3年に一度の開催で盛り上がりを見せる「瀬戸内国際芸術祭」や、現在、日本各地で行われているアートによる町おこしのパイオニア的存在の、越後妻有「大地の芸術祭」の総合ディレクターです。 同著によると、「大地の芸術祭」開催当初、現代アートによる地域おこしは理解を得にくく、「現代アートなんてせいぜい爆発だろう」、「この地域では受け入れられない。都会から来て何を言うか」と、北川さんは四面楚歌の状態だったといいます。それでも辛抱強く、地域の人と対話をし、芸術祭の内容をブラッシュアップしながら、魅力的な国際的な芸術祭にしていったのです。 地域再生としてのイベントなら、芸術祭が行われていない年にも客足がなくては成功とはいえません。昨年、芸術祭を終えた今だからこそ本来の姿が見られるのではないでしょうか。そこで2016年8月5日(金)から8月8日(月)まで、大地の芸術祭の里に訪れてみました。主要なスポットと作品の紹介も含めて、レポートしていきます。

アートフェアって何するところ? 「アート・ステージ・ジャカルタ 2016」 レポート

Seina Morisako2016/08/19(金) - 17:03 に投稿
今年初めての開催となるアート・ステージ・ジャカルタ。ブラックのポスターがシックな装い。 インドネシアのジャカルタで「アート・ステージ・ジャカルタ 2016 (Art Stage Jakarta 2016)」が、8月5日から7日までジャカルタ市内のシェラトングランド・ジャカルタ・ガンダリアシティーホテル(the Sheraton Grand Jakarta Gandaria City Hotel)にて開催されました。今回は、この始めて開催されたアートフェアをレポートします。
画像を削除しました。
ヒジャブ(イスラム教の女性が着用する頭髪を隠すスカーフのような布)を着こなす女性たち。 
 

インドネシアという国

今回、「アート・ステージ・ジャカルタ」が開催された場所はインドネシアの首都、ジャカルタです。

「IMPETUS AND MOVEMENT チカラとウゴキ展」 ナレッジキャピタル「The Lab.みんなで世界一研究所」 フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/08/18(木) - 18:35 に投稿

「IMPETUS AND MOVEMENTチカラとウゴキ展」 ナレッジキャピタル「The Lab.みんなで世界一研究所」 フォトレポート

オーストリア・リンツ市の世界的なクリエイティブ・文化機関「アルスエレクトロニカ」とのコラボレーション企画第6弾「IMPETUS AND MOVEMENT チカラとウゴキ展」が開催。 世界で活躍する3人の日本人アーティストが参加し、アーティストたちが着想した「目に見えないチカラ」、自然やモノ、テクノロジーを「目に見えるウゴキ」(作品)にしています。 会場がナレッジキャピタルなので、イノベーションの要素も一つのテーマになっています。 会期中にはアーティストやアルスエレクトロニカのメンバーによるトークセッションや、インタラクティブに動く絵画「Animated Drawing」を作るワークショップもあります。 アーティストの脇田玲さんは、柳宗理《バタフライスツール》やチャールズ & レイ・イームズ《La Chaise》などのまわりに起こるであろう空気の流れを計算し、ビジュアル化しています。今後、形だけでなく美しい流体のイスなども出てくるかもしれないですね。

この夏は芸術祭でアートダイエット! Walking「あいちトリエンナーレ2016」

羽田沙織2016/08/17(水) - 15:54 に投稿

愛知県美術館 大巻伸嗣《Echoes Infinityー永遠と一瞬》 アートはダイエットになる! 私が、『アートサプリウォーク』というアート×ウォークの講座を担当するようになって、まもなく半年が経とうとしています。 この半年間、講座の準備に下調べ、ロケハン、開催当日と、美術館やギャラリーにこれまで以上に足しげく通う生活を送っていたところ、ふと気が付くと、なんと体重が1キロ減っていたのです。 ダイエットを意識したことは全くなく、1日3食の食事に3時のおやつ、深夜のアイスクリームもやめることなく、です! なぜでしょうか? 思い返せば、この半年間、私は、知らず知らずのうちに毎日たくさん歩いていることに気が付きました。 美術館に行ったら、想像以上に歩いて疲れた。展示室内に用意されている椅子がありがたかった。 あなたにも、そんな経験はありませんか? そうなんです。美術館ってけっこう疲れるんです。 つまり、アートはダイエットになるんです! そこで、このコラムでは、わたくし羽田がおすすめのアートダイエットについてご紹介したいと思います。

継続は力なり アートダイエットの3つの掟

アートダイエットの掟 その1 1日1万歩を目標とする

「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」 森美術館 フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/08/16(火) - 16:24 に投稿
トム・サックス《ザ・クローラー》と篠原ともえさん ###「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」 森美術館 フォトレポート 「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」は、歴史的な天文学資料から、現代美術作品、さらには宇宙開発の最前線に至るまで、古今東西ジャンルを超えた多様な出展物約200点からなる展覧会です。 展示は、「人は宇宙をどう見てきたか?」、「宇宙という時空間」、「新しい生命観―宇宙人はいるのか?」、「宇宙旅行と人間の未来」の4つのセクションで構成されおり、神話や宗教から、国際宇宙ステーションなど最先端技術まで、アートを通じて人間と宇宙との関わりを提示しています。 森美術館の南條史生館長は、「宇宙と芸術展」を、2009年から2010年にかけて行われた「医学と芸術展:生命いのちと愛の未来を探る」と対になる展覧会だと言います。 「医学と芸術展」は身体の小宇宙(ミクロコスモス)に迫り、「宇宙と芸術展」では遥かな宇宙というマクロに迫っています。 我々は何者であり、どこから来たのか、そして、宇宙とは何かを問うことはどこかでつながっているかもしれません。

竹村京 「なんか空から降ってくるよ」  タカ・イシイギャラリー フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/08/16(火) - 10:49 に投稿
“Danae”, 2016, ink jet print on cotton cloth, synthetic cloth, 220 x 285 cm © Kei Takemura / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Tokyo  

「竹村京 「なんか空から降ってくるよ」」 タカ・イシイギャラリー フォトレポート

竹村京の個展「なんか空から降ってくるよ」のフォトレポートです。 福島原子力発電所の事故以来、青いと思っていた空や、色がないものと感じていた空気など、自身を取り巻く環境が一変したように感じたと竹村は言います。 4年ぶりの個展となる本展では、竹村自身初めての試みとなる写真の印画紙を用いた作品と共に、ギリシャ神話に登場する王女ダナエを描いたティツィアーノ・ヴェチェッリオの絵画への参照を含む作品などが展示されています。

「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」 東京ミッドタウン・ホール フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/08/09(火) - 23:44 に投稿
###「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」 東京ミッドタウン・ホール フォトレポート 「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」は、村松亮太郎さんが代表を務めるクリエイティブカンパニーネイキッドの花をテーマに、五感で楽しむ体験型のイベントです。 最新インスタレーションの他、場内にあるカフェでは花をモチーフにしたオリジナルカクテルが飲めます。また、エリアごとにテーマに沿ったアロマの香りがします。

風能奈々展 「線でつなぐ遊びと名前をつけること」 小山登美夫ギャラリー フォトレポート

ARTLOGUE 編集部2016/08/09(火) - 14:36 に投稿
###「風能奈々「線でつなぐ遊びと名前をつけること」」 小山登美夫ギャラリー フォトレポート 風能さんは幼い頃から好んでいる物語や神話に登場する、動植物や人、風景やおまじないの道具などのモチーフを、まるで陶器や刺繍のような質感の絵画作品を制作しています。 一見、物語がありそうな画面も、好きなモチーフを、好きなように並べているだけだそうです。 今回の展示作品の多くには、幾何学的な形の星が多く出てくるのと、風能さんが形が面白いと言っている心臓のモチーフがいくつか出てきます。宝探しのように探してみてください。 風能奈々「線でつなぐ遊びと名前をつけること」 会 場:小山登美夫ギャラリー 会 期:2016年7月30日(土) – 9月10日(土) WEBサイト:http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/nanafuno2016/ position: relative;
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PAUL SMITH デザインという編集 —“ひねりの効いたクラシック” そのルーツはどこにあるのか

北原一輝2016/08/07(日) - 23:49 に投稿
「PAUL SMITH」と私の出会いは10年以上も昔の話になります。 私の育った長野県松本市は、全国のどこにでもあるような地方都市の一つです。城下町や民芸で少しは名の通った街ですが、市街地を離れるとファスト風土化とも言える、画一化されたロードサイド風景が広がります。服を買うならイオンやしまむら、またはユニクロのような量販店が当たり前でした。当時はインターネットで洋服を買うことも一般的ではなく、洋服を買う環境は限られていました。しかし、そんな街にも「PAUL SMITH」の店舗はありました。 当時は洋服のことを何も知らない私でしたが、「PAUL SMITH」の名前くらいは聞いたことがありました。カラフルなストライプ柄のシャツに憧れ、初めて買いに行った時の緊張と、袖を通した時のワクワクは一生忘れないでしょう。 「PAUL SMITH」の服は「ひねりの効いたクラシック」と評されます。フォーマルにも、カジュアルに合わせることも出来る彼の服に、まさにぴったりな表現であると今になって思います。 今回、「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」を観に行くにあたり、久々に当時の記憶を思い返してしまいました。 それでは、展示の内容をご紹介させていただきます。