状況のアーキテクチャー展

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 18:19 に投稿

京都市立芸術大学は、1880年の開学より日本の芸術文化の火床として世界への発信基地であり続けてきました。そしていま、2023年に予定された郊外から都市部への移転を控え、改めて「芸術であること」「大学であること」「地域にあること」の意味を問い直しています。それはアートの視点から大学や地域を捉える作業であると同時に、大学や地域の視点から、独りよがりなアートを捉え返す作業でもあります。

このような問題意識から、モノゴトを多方向から捉え、その視差から世界を多元化する状況の発振に携わるアートマネジメント人材の育成を目指すプログラム「状況のアーキテクチャー」では、2016年から3年間、《物質:大学所有アーカイブの創造的な活用法を探る》《生命:ケア×アートで新たな生存の技法を探る》《社会:地域コミュニティのコアを担い得る芸術大学の活用方法を探る》という3つのテーマを掲げて活動を行ってきました。それは、芸術・大学・地域をつなぐ役割としてのアートの可能性を検討する多様性に満ちたプロジェクトを通して、身体や集団を通じて多様な知と技術を結びつけること、社会の生な現場に巻き込まれながら渦を作ることの二つを交差させ、クリティカルかつ創造的なビジョンを発振させる実験場を作り上げる試みでもあります。

松井沙都子「モデルハウス」

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 17:59 に投稿

家は日常生活の背景であり、多くの人にとってほとんど意識に上ることがないものかもしれません。しかし家は、社会に生きる人の生活を映し出すものであり、それをつぶさに見つめることは、社会の一端に触れることに他なりません。私はこうした考えに基づき、作品制作を通じて、自身の暮らしてきた現代の日本の家について考えてきました。本展ではこの一環として、家をモチーフとしたインスタレーション作品を展開します。

本展を構成するのは、現代の日本の家に用いられるような木材を下地に、落ち着いた色味の壁紙と床材、そして温かい光を灯す照明器具を組み合わせた、立体的な造形物です。それはまるで現代の日本の家そのもののようですが、実在する家を再現したものではなく、住むための機能もありません。そこに現れるのは、今日の私たちにとってなじみ深い、穏やかで感じの良い住環境と、似て非なる空間です。本作を通じて、かつて抽象画が具象画からエッセンスを抽出したように、具体的な家からエッセンスを抽出し、抽象的な「家」を成立させることを試みます。

Partition——パーティション

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 17:39 に投稿

時間は私たちを逸脱します。楽譜を用いた作曲家の仕事は、分節で囲い込みながら時間を捉えるための絶望的な試みです。しかし実際には時間は彼らを越えていきます。それは、ランプの光がそのガラスの牢屋から逃げていくように、作曲家が仕立てようとする囲いを通り過ぎていくのです。

フランス語におけるパーティションという語は、通念的に楽譜を表しますが、しかしながら本来は分離や分割を意味します。音楽におけるパーティションはしたがって、分節化に関係するものです(ところで、音楽の「曲」はフランス語で音楽の「部分」——morceau de musiqueとも言います)。

この展覧会は、パーティションというアイディア(フランス語においてこの言葉がない方する二つの意味において)を、山角洋平、松延総司、バンジャマン・ラフォールとセバスチャン・マルティネス・バラ、そしてオドレー・タイヒマンの仕事の巡り合わせの中で展開します。

人間国宝・桂 盛仁 金工の世界-江戸彫金の技-

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 14:42 に投稿

桂盛仁(かつら もりひと/1944生)は長年に亘り練馬区に在住し制作を続けている、人間国宝に認定された金工作家です。

江戸時代初期から続く彫金の一派、柳川派の流れを汲み、明治・大正・昭和期にかけて、煙草入れなど装身具の彫金で大人気を博した二代豊川光長、桂光春を輩出した流派で、伯父である光春を継いだのが盛仁の父、桂盛行(かつら もりゆき/1914~96)となります。

父、盛行のもとで修行した桂盛仁は、打ち出しや彫金、象嵌、色絵等の技法を駆使し、日本伝統工芸展などで高い評価を得てきました。宮内庁買い上げ、文化庁長官賞を受賞するなど研鑽を積み、2008年に重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)に認定されています。

昨今、明治期の卓越した工芸作品を“超絶技巧”と称し、ロストテクノロジーとしての評価がなされてきていますが、そうした工芸の技術が脈々と受け継がれてきていることは、柳川派、そして桂盛仁の金工を見ると明らかです。

本展は、桂盛仁の初期から近作までを通観するとともに、桂のルーツである、盛行、そして、光長、光春の作品も併せて展示し、今に生き続ける江戸彫金の技を再認識するものです。

山王美術館 10周年記念展 「コレクションでつづる フランス近代名画展」

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 02:31 に投稿
山王美術館は、2019年8月に開館10周年をむかえます。 春・夏季のコレクション展では、10周年を記念して「コレクションでつづる フランス近代名画展」を開催いたします。 19世紀から20世紀にかけてのフランス美術は、印象派以降、象徴主義、ナビ派、フォーヴィスムと、さまざまな主義や美学のもと、多様に展開していきました。画家自身の感覚にもとづく、独創的な絵画をめざした芸術運動により、革新的な絵画表現がうみだされ、ルネサンスからはじまる西洋絵画の価値観が大きく変革することとなりました。同時代に活躍した、ミレー、ルノワール、モネ、ボナール、ヴラマンクをはじめとする画家たちにより、西洋絵画史に多彩かつ豊かな実りがもたらされたのです。 本展では、当館においても非常に重要な位置をしめる、これらの作家たちによるフランス近代名画の数々を一堂に展示いたします。展覧会をつうじて、あらためて芸術にふれる喜びを実感いただきますとともに、山王美術館コレクションへの愛着を深めていただければ幸いです。 【開館時間】  11時~17時(最終入館 16時30分まで)   【アクセス】  大阪メトロ各線「なんば駅」30番出口   阪神近鉄「大阪難波駅」西改札   JR「難波駅」 よりすぐ