インポッシブル・アーキテクチャー ― もうひとつの建築史

ARTLOGUE 編集部2018/12/13(木) - 02:30 に投稿
建築の歴史を振り返ると、完成に至らなかった素晴らしい構想や、あえて提案に留めた刺激的なアイディアが数多く存在しています。 未来に向けて夢想した建築、技術的には可能であったにもかかわらず社会的な条件や制約によって実施できなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批評精神を打ち出す点に主眼を置いた提案など、いわゆるアンビルト/未完の建築には、作者の夢や思考がより直接的に表現されているはずです。 この展覧会は、20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて、それらを仮に「インポッシブル・アーキテクチャー」と称しています。 ここでの「インボッシブル」という言菓は、単に建築構想がラディカルで無理難題であるがゆえの「不可能」を意味しません。 言うまでもなく、不可能に眼を向ければ、同時に可能性の境界を問うことにも繋がります。 建築の不可能性に焦点をあてることによって、逆説的にも建築における極限の可能性や骰穣な潜在力が浮かび上がってくるそれこそが、この展覧会のねらいです。 約40人の建架家 ・ 美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を、図面、模型、関連資料などを通して読み解きながら、未だ見ぬ新たな建築の姿を展望します。

増井淑乃「将に啼かんとするや」

ARTLOGUE 編集部2018/12/12(水) - 18:19 に投稿

この度、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで、増井淑乃「将に啼かんとするや」が開催されます。 増井淑乃の作品は繊細で細密な水彩画です。紙に水彩で下地を塗り、時間をおいてから何度も重ねて描かれる画面には、滲みによってできる偶然の効果と意図的で入念な描線によって独特のテクスチュアがつくりだされます。増井が身近な存在として観察してきた猫や馬、鳥などは、作品のなかで背景と重なり、まるで神話に登場する動物のように描かれます。本展では新たに、色鉛筆をベースにコラージュを施した作品や、馬をシンプルに配置して描いた作品を制作。展覧会タイトルの「将に啼かんとするや」のように、増井の中で何かが産声をあげようとしているのかもしれません。小山登美夫ギャラリーでは2年ぶりとなる本展では、常に自分自身と対話や格闘をしながら制作する増井の旧作から新作までが展示されます。 
 

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冨井大裕 「線を借りる」

ARTLOGUE 編集部2018/12/12(水) - 16:52 に投稿

冨井大裕は彫刻の新たな可能性を探り、様々な彫刻の形を提示してきました。作品を制作するその態度や行為、体験などそのものが作品として成立するかどうか、芸術作品となるにはどのような要素が不可欠なのかを模索してきました。冨井は付箋や色鉛筆、ハンマーやゴミ箱等、しばしば身の回りにある既製品を用いて作品を作りますが、従来あったその物特有の用途や意味を取り払うことで、その物の物質としての新たな魅力や存在に焦点を当て、全く違うものへと昇華させます。またある時には指示書のみを展示し、観客自身がその指示に従い彫刻作品となるプロセスを踏む作品など、従来の“もの”としての彫刻とはかけ離れた、そのものの裏にある見えない“こと”にも焦点を当てた作品制作をしています。

今回の展覧会ではタイトル通り、他人の作品から「線」を借りた作品を発表します。ファッションブランド「tac:tac」のデザイナー、島瀬敬章氏のパターンの線を元に作られた彫刻作品、そのパターンから起こされた服、その服を試着する観客、それを写す鏡と映り込む背景、その全てのもの・こと・場・時など彫刻としての可能性を顕在化する展示となります。

石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ-琳派との対話-

ARTLOGUE 編集部2018/12/12(水) - 15:42 に投稿
日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念し、フィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーとして活躍し、現在は老舗陶器メーカー「アラビア」で陶芸制作に取り組む石本藤雄の原点と新たな作品世界を紹介します。同展では、細見コレクションの主軸である琳派作品との競演もみどころとなっています。