佐藤芙蓉コレクション寄贈記念展 ゆるゆるコツコツ 書とともに

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
写経研究の第一人者である書家、植村和堂(明治39~平成14)に師事して書を学び、教え、仮名書家として活動を続けてきた佐藤芙蓉(昭和16~)。蒐集家でもある師から「本物を間近に見て学ぶ」姿勢を継承し、向学のために自らも書画を蒐めています。当館では開館翌年の平成七年から春と秋の年2回「植村和堂写経教室」を開催しており、和堂没後の平成14年からは、「佐藤芙蓉写経教室」として、25年の長きに渡って継続しています。芙蓉はこの指導時に、自らのコレクションを受講生に惜しげもなく披露します。なかには、美術館であればガラスケース越しにしか見られないような書画もありますが、これが彼女の指導スタイルなのです。 自らの研鑽のため、後進の指導のために、奈良や平安時代の写経や古筆を中心に蒐集されたこのコレクションは、平成30年に熊野町が町制施行100周年を迎えたことを機に、筆の町・熊野町へ寄贈されました。このことを記念し、本展でコレクションを一堂に展示し、佐藤芙蓉が実践している学書の方法、書の見方、書の鑑賞法についても紹介します。また、今秋に開講から4半世紀、第50回を迎える写経教室の受講生展を同時開催します。

星とめぐる美術

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
この展覧会は、美術作品を占星学で用いられる10天体に関連付けて読み解こうとする試みです。美術には、作家の思考や時代のムードが反映されています。一方、占星学は、星の動きや配置によって世界を把握しようとする学問です。 星の中でも他の星々の間を大きく動く太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星は、そのカギを握るものとして重視され、それぞれの天体には、太陽であれば「自我・自主性」、水星には「知性・コミュニケーション」などといった性質が設定されています。 本展では、両者が人間の性質や社会の動きに焦点を当て成り立つという共通点に注目し、天体にまつわるキーワードを切り口として、絵画や写真、彫刻など、主に20世紀に制作された約60点の美術作品を紹介します。 豊田市美術館の協力により実現した本企画は、当館では開館以来初めての、現代美術を一堂に展覧する機会ともなっています。

茶道具の黒 かたちと質感

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
黒は光と対極にある陰の色であり、暗い、硬い、重いなどのイメージがあります。しかし、侘茶の成立から現代に至るまで、黒楽茶碗や黒漆の棗など、黒い茶道具は多くの茶人や数寄者により生み出され、愛されて続けています。 一見無機質なイメージの黒い茶道具には、洗練されたかたちを引き立てる黒ならではの効果や、色が限られた中で素材や仕上げが工夫されているなど、かたちや質感に注目すると様々な見どころがあります。ザラザラとした肌合いや光沢のある陶磁器の肌、また黒漆の光を反射する仕上げや下地の材の肌合いを活かしたものなど、黒ならではの陰影や奥行き感といった多彩な表情をお楽しみ下さい。 陰の色である黒は静かであると同時に力強さも感じさせる色です。黒に白や金の装飾を加えることでコントラストを効果的に活かした、動きや力強さを感じさせる造形の茶道具もご紹介します。 黒を効果的に使った館蔵品の茶道具約40点を展示します。黒い茶道具から、黒の効果やその魅力をお楽しみください。

東山魁夷館リニューアルオープン記念展

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
改修工事のため約2年半の休館を経てリニューアルオープンする本展では、長野県信濃町にある野尻湖を取材地とし、昭和30年度の芸術院賞を受賞した<<光昏>>や、唐招提寺壁画で挑んだ水墨画を経て生み出された<<春雪>>など、当館が所蔵するスケッチとともに作品が出来上がるまでの軌跡をご覧ください。

退任記念 手塚雄二展

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
手塚雄二は、1992年より東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻で教鞭をとり、2004年から15年間、本学日本画専攻の教授を務めています。2020年3月の退任を機に、この度「退任記念 手塚雄二展」を開催する運びとなりました。 手塚雄二は1953年に神奈川県に生まれ、80年に東京藝術大学絵画科日本画専攻を卒業しました。卒業制作ではサロン・ド・プランタン賞を受賞し、同大学院の終了制作では台東区長賞を受賞しています。 1989年~91年、再興院展にて日本美術院大観賞を受賞し、その翌年には39歳という若さで日本美術院同人に推挙されました。以来、現代の日本画壇を牽引するトップランナーとして、個展も積極的に行い、絶えず新しい日本画を探求するべくアグレッシヴな活動を展開しています。 手塚の描く日本画は、金泥や砂子など日本画の伝統的な表現技法を用いながら、光や空問を表現する西洋的な技法も取り入れ、日本の伝統美を高純度かつスマートな感性で流麗に描きあげていきます。 これらの新時代の日本画を切り開く作品群は高い評価を得ています。また、今年全国を巡回した「手塚雄二展 光を聴き、風を視る」では、「世紀の屏風」とも言うべき「明治神宮内陣御屏風(日月四季花鳥)」を展示し、大きな話題をさらいました。本展では、特別に本作の下図を披露します。 さらに本展では、人物をシュールな世界観で描いた卒業制作《夢模様》をはじめ、自然の風景をテーマに描き、院展で大観賞を受賞した《嶺》や《市民》、文部大臣賞を受賞した《海音》、内閣総理大臣賞を受賞した超大作の《風雲風神》など、これまでの代表作を展示します。さらには後進に日本画の制作過程を示唆するべく、本画に至るまでのスケッチ、下図、大下図を多数展示するなど、またとない貴重な内容になっています。 是非この機会に、ご来場者の皆様にあらためて日本画に親しんでいただき、その制作過 程も合わせてご高覧頂けたら幸いです。

椅子の神様 宮本茂紀の仕事

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
カッシーナ、B&B、アルフレックス、梅田正徳、藤江和子、隈研吾、アントニオ・チッテリオ、ザハ・ハディド…。彼らは、宮本茂紀さんがともに椅子の試作開発に携わってきたメーカーやデザイナー、建築家たちです。職人との間を繋ぎ、製品化を支える家具モデラーとして、宮本さんは「やってみなければ、分からない」と開発に挑み、デザイナーらの意向をかたちにしてきました。細部まで妥協せずに追及する、その姿勢にこそ不可能なことを可能にする力が宿るのかもしれません。これは、宮本さんが多くのクリエイターたちから信頼を置かれる所以でもあ ります。 しかし、そんな神業のようなことも、職人としての約 65 年のキャリアがあってこそ。過去には迎賓館や明治村に残された椅子の修復も行ってきました。宮本さんは経験から得た知識や新旧の技術を椅子作りに活かし、さらに次世代に継承することも怠りません。人一倍の探究心と好奇心で、宮本さんの職人魂は常に先の姿を見据えています。 本展では、宮本さんが携わった数多くの仕事を、モデラーの仕事、修復や自ら手がける椅子開発を含む椅子張り職人の仕事、そして次世代を育てる仕事の 3 つに分類し、それぞれ数例を試作開発の具体的な取り組み方とともに紹介します。完成した椅子に隠された職人の熟考、判断、技術の痕跡が垣間見られることでしょう。本展が、新たな角度から椅子の奥深さや魅力に触れることのできる機会となることを期待します。

辰野金吾と美術のはなし 没後100年特別小企画

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
日本の第一世代の建築家、辰野金吾(たつのきんご・1854-1919)が没して2019年で100年を迎えます。東京駅や日本銀行本店本館など日本近代を代表する建築を残した辰野について、今回は美術界での足跡をテーマに小企画展を開催します。 会期中はシンポジウムやトークイベント、ワークショップなども館内で実施予定です。 *本企画は、京都文化博物館、日本銀行金融研究所貨幣博物館との連携企画になります。

めぐろの障がい者アート展 日々のよろこび

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
本展では、目黒で暮らす障がいのある方たちの作った美術作品を紹介いたします。 目黒区美術館は、1987年の開館以来、地域に根差した美術館として、目黒にゆかりのある展覧会の開催や、どなたにでも来て頂けるワークショップなどの普及活動に力を注いできました。 その歩みに基づき、この度は区内の障害者通所施設を中心に、目黒で暮らす障がいのある方から募集した作品を展示します。また会期中には、障がいのある方もない方もともに美術を楽しむ機会を設けます。 この展覧会が、見過ごしがちな日々のよろこびに気づく機会となれば幸いです。 会場は目黒区美術館区民ギャラリーです。

今森光彦展 写真と切り絵の里山物語

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:31 に投稿
人と自然がともに生きる“里山”。 その中で生み出される豊かな営みを見つめつづけてきた写真家・今森光彦さん。琵琶湖を望む田園風景の中にアトリエを構え、 四季折々に移り変わる田んぼや里山に集まる生き物を撮り続けてきました。 今森さんはまた、蝶や鳥、植物をモチーフにした精緻で生き生きとした作品をつくる切り絵作家としても知られ、深い洞察力により、たった一本のはさみから生み出される作品には、植物の鮮やかさや昆虫の力強さが表現されています。 本展では、里山に暮らす今森さんのライフスタイルの紹介をおりまぜながら、写真と切り絵で里山の魅力に迫ります。 迫力ある大型作品を含む写真約80点、切り絵作品約30点をご紹介します。自然とそこに暮らす人々がつながる美しい里山の景色と、身近な自然と関わりながら暮らす喜びと魅力をお楽しみください。 9月1日(日)は19時30分まで 最終日は17時閉場・入場は閉場の30分前まで

谷本景展 古代からⅡ

ARTLOGUE 編集部2019/08/07(水) - 02:30 に投稿
谷本景氏は伊賀焼の窯元の家に生まれ、若き日にはフランス、パリで銅版画を学び、古伊賀の伝統の中に独自の現代性を表現する作家です。これまでも茶道具などの他に、銅鐸をイメージして生まれた、土に埋もれて朽ちかけるものの美を表現した造形作品「古代から」シリーズを制作してきました。 本展では谷本景氏の 2018 年より新たに始まった陶板のシリーズ 10 点を展示します。陶板は 1 点 40×30cm 程で、大地が乾燥してひび割れたようなもの、磨かれた黒石に白く粉がふいたようなもの、真っ赤に燃える溶岩が冷え固まる途中のようなものと、迫力のある土の表情を表現した圧倒的な存在感が見どころです。 家業の伊賀焼を継承しながら、一方で絵を描き、今日も平面作品の制作を続けている谷本氏。これまでの代表作「古代から」シリーズでは、銅鐸のかたちに、長い歳月土に埋もれ、腐食し朽ちかけゆく美を見出し、そこへ馳せる想いを独自の洗練された現代性で表現してきました。 新作ではより平面に近い矩形の支持体である陶板に、大地の力そのものを濃厚な密度で表現しています。