知られざる!?大和文華館コレクション
大和文華館の主要なコレクションは、初代館長を務めた美術史家・矢代幸雄(1890-1975)によって収集されました。収集に際して矢代は、美術史を意識した観賞性の高さと、時代や地域、ジャンルに偏りがないことを重視しました。コレクションの特色はその分類にも反映されています。例えば、土器や土偶、埴輪といった日本考古の遺品は、土偶や埴輪といった立体物が彫刻に、土器は日本陶磁に分類されます。収蔵作品は少ないですが、日本美術史における縄文時代の重要性が認識され、その位置づけを試みる時代背景を読み取ることが出来ます。コレクションの中の重要文化財は31件を数えますが、埴輪が2件含まれます。
一方、類似する図様や表現が少ない、一点ものの作品が多い点も特徴です。中国・元時代に描かれた「六道図」は、登録名称が示すように収蔵当時は仏教絵画として理解されました。ところが、近年の研究により、当時のマニ教徒が描かせた世界的にも数少ない作品であることが判明し、その後のマニ教絵画研究の進展に大きな影響を与えました。
展覧会では、普段あまり展示されないながらも、近年の研究によってその重要性が再認識された考古遺品や絵画、彫刻に着目し、知られざるコレクションの一端をご紹介します。