春季特別展 「猿楽と 面 ―大和・近江 および 白山の周辺から ―」

ARTLOGUE 編集部2018/02/27(火) - 21:17 に投稿
旧金剛宗家伝来 翁(白式尉) 〔重要文化財〕 室町時代 東京都・三井記念美術館蔵 展示:4/10~5/6

 

猿楽(さるがく)とは、古くは「さるごう、さるがう」とも読まれ、能と狂言で構成される現在の能楽(※1)のかつての呼び名です。猿楽の起源は、通説では大陸伝来の散楽(さんがく)に由来し、日本古来の芸能と融合しながら芸術的完成度の高い歌舞劇へと進化して、今に至ったとされています。

平安後期に書かれた藤原明衡(あきひら)(989-1066)の著作『新猿楽記』には、奇術、曲芸、歌や舞、人形劇、滑稽な物まね芸を伴う寸劇など、多種多様の演目が紹介され、当時の人気ぶりが伝えられています。やがて田楽(でんがく)、傀儡(くぐつ)、猿楽などそれぞれが職業化していき、有力な猿楽師は大社寺に所属して座を形成し、祭礼や法会の儀式の一部や余興を担っていくようになりました。

兵庫県政150周年記念事業 開館5周年記念展 横尾忠則の冥土旅行

ARTLOGUE 編集部2018/02/25(日) - 23:51 に投稿
 ポスター(デザイン:横尾忠則)

 

展覧会について

 

「人は死んだらどこへ行くのか?」とは、いずれ死にゆく私たちが抱かずにはいられない謎に満ちた疑問です。「死」を自らの重要なテーマと位置づけ、様々な死のイメージを作品に投影してきた横尾忠則が、グラフィックデザイナー時代から現在にいたるまで一貫して関心を持ち続けたのも「死後の世界」のあり方でした。

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展

ARTLOGUE 編集部2018/02/23(金) - 02:18 に投稿
作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《タヴォラ・ドーリア》 ウフィツィ美術館 
Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

 

フィレンツェのヴェッキオ宮殿を飾っていたレオナルド・ダ・ヴィンチによる未完の大壁画「アンギアーリの戦い」。《タヴォラ・ドーリア(ドーリア家の板絵)》は、この壁画の中心部分を描いた16世紀前半の油彩画です。本展では、日本初公開の《タヴォラ・ドーリア》を中心に、壁画の模写や派生作品、またレオナルドの多岐にわたる活動を紹介し、失われた壁画の謎に迫ります。さらにミケランジェロがダ・ヴィンチと同じ場所に構想した壁画の下絵の模写《カッシナの戦い》(日本初公開)を加え、ルネサンス二大巨匠による競演の実現を目指します。後世に絶大な影響を与えた天才の大壁画構想。美術史上に刻まれた一大スペクタクルをご体感ください。

 

ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡

ARTLOGUE 編集部2018/02/23(金) - 01:30 に投稿
デザイン:ウィリアム・モリス 内装用ファブリック《メドウェイ》1885年 
木版、色刷り、インディゴ抜染、木綿 photo©Brain Trust Inc.

 

ウィリアム・モリス(1834-1896)は、ロンドン近郊に生まれ、オックスフォード大学在学中に思想家・ジョン・ラスキンの影響を受けて中世に憧れ、同時代、産業革命のもたらした芸術の機械化、量産化の傾向に反発し、純正な素材、誠実な手仕事の重要性を訴え、友人のロセッティ、バーン=ジョーンスらとモリス・マーシャル・フォークナー商会を設立しました。

モリスは同商会(後のモリス商会)で、陶板、壁紙、織物、刺繍、ステンド・グラスなどのデザインを手掛け、自身の理念を実践しました。また、1891年にケルムスコット・プレスを創設し、優れたデザインの書籍を多数手がけたことでも知られます。

本展では、モリスおよび仲間たちのデザインした家具、テキスタイル、書籍などを紹介するとともに、世界を旅しながら撮影する写真家・織作峰子が捉えたゆかりの地を合わせて紹介し、「生活と芸術の一致」を唱えたモリスを取り巻く環境を紐解きます。

ターナー 風景の詩(うた)

ARTLOGUE 編集部2018/02/22(木) - 18:27 に投稿
J・M・W・ターナー《セント・オールバンズ・ヘッド沖》 1822年頃 水彩・紙 
ハロゲイト、メ―サー・アート・ギャラリー 
©Mercer Art Gallery, Harrogate Borough Council

 

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)は、イギリスで最も偉大な画家であるのみならず、風景画の歴史のなかで最も独創的な画家のひとりです。卓越した技法によって、嵐の海景、崇高な山、穏やかな田園風景など、自然の多様な表情を描くとともに、歴史風景画にも取り組みました。光と空気に包まれた革新的な風景表現は、今日においても多くの芸術家にとって、インスピレーションの源になっています。

本展は、スコットランド国立美術館群などイギリス各地と日本国内の美術館から選りすぐった油彩画、水彩画約70点や版画をご紹介するとともに、最新の知見をもとにターナー芸術を再考し、その核心と魅力に迫ります。

 

青山義雄展 きらめく航跡をたどる

ARTLOGUE 編集部2018/02/21(水) - 02:19 に投稿
《北洋落日》1938年、東京国立近代美術館

 

海軍に奉職する父の長男として生まれた青山義雄(1894-1996)は、8歳まで横須賀で育ちました。早くから画家を志し、1921年に渡仏、直後にサロン・ドートンヌに入選を果たしました。肺病の療養のため訪れた南フランスでマティスに出会い、「この男は色彩を持っている」と高く評価されます。その後もパリを中心に画家として活動を続け、現代にも通じる叙情的な作風で注目される存在となりました。1930年には春陽会に作品を送って国内でも注目を集めます。1935年に帰国、国画会に特別陳列した滞欧作27点は、称賛をもって迎えられました。しかし、戦後は再び、第二の故郷と言うべき南フランス・カーニュにわたり、そこを拠点として、優れた風景画を描き続けました。
青山は1996年に102歳の長寿を全うしました。没後20年を経ても、きらめきを放ち続けるその航跡―画家の70年以上にわたる画歴をあらためて振り返る展覧会です。