中村キース・ヘリング美術館
ごあいさつ
キース・へリングが活躍していた1980年代のアメリカは、日本の好景気とは裏腹に、インフレの激化と経済の混乱とともに治安が悪化し、まさに混沌とした社会でした。しかし反面ではアンディ・ウォーホールを筆頭にアメリカ現代美術が勢いを増していた時代でもありました。こうしたアメリカの「光と影」を背景にキース・ヘリングのアートは生まれました。へリングはストリート・アートから独特なビジュアルコミュニケーションを確立し、混沌とする社会へメッセージを投げかけたのです。
生涯を通して世界中で子どもたちとのワークショップや、壁画を含むパブリック・アート、ポスター・アート、そして社会的なプロジェクトにも力を注ぎました。当館でもエイズ・ウォークをはじめとするHIV/AIDS予防啓発のイベント、国際絵画コンクール、災害募金など、へリングの遺志を継承する活動を行っています。
アンドレアス・スロミンスキー「GOOOD LUCK」
《The Horse Shoe》
2017, plastic, rivets, 215 x 138 x 26 cm
© Andreas Slominski
Courtesy of WAKO WORKS OF ART
Installation view at Museum Jorn, Silkeborg
Photo: Robert Schlossnickel
ワコウ・ワークス・オブ・アートではこの度2017年11月1日(水)から、ドイツのアーティスト、アンドレアス・スロミンスキーの個展を開催いたします。当画廊で4度目となる本個展は「GOOOD LUCK」展と題し、アジア初公開となる全11点の作品を展示いたします。スロミンスキーは1959年に西ドイツのメッペンに生まれ、ベルリンとハンブルクを拠点に1980年代から彫刻作品やパフォーマンスの制作を続けています。ドイツ、フランス、イタリアなど、ヨーロッパを中心にこれまで数多くの主要な現代美術館で個展が開催されてきました。
大分県立美術館
ディエゴ・リベラの時代 メキシコの夢とともに
ディエゴ・リベラ《裸婦とひまわり》1946 年/ベラクルス州立美術館蔵/Museo de Arte del Estado de Veracruz/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico,D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.
メキシコの美術は革命後の1920‐30年代に独自の展開を遂げて隆盛を極め、世界の注目を集めました。その歴史を語る上で欠かせない画家が、ディエゴ・リベラ(1886-1957)です。画才に恵まれたリベラは10歳の頃から美術学校に通い始め、1907年にヨーロッパに留学すると、キュビスムなどの最先端の画風を試み、ピカソとも交流しました。
1921年に帰国すると、メキシコの社会の動きに眼を向け、公共空間に絵画を描く「メキシコ壁画運動」に積極的に携わります。また、メキシコ固有の題材を採り入れた風俗画や肖像画においても、優れた作品を数多く残しました。
北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
日本発、世界初。
西洋と北斎の名作、夢の共演。
19世紀後半、日本の美術は西洋の人々を魅了し、"ジャポニスム"という現象が生まれました。なかでも注目された存在が、天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)。その影響は、印象派の画家をはじめとして欧米の全域にわたり、また絵画だけでなく彫刻や装飾工芸などあらゆる分野に及びました。北斎は、西洋美術の近代の扉を開ける原動力となったのです。
本展は、西洋近代芸術の展開を"北斎とジャポニスム"という観点から編み直す、世界初の展覧会です。国内外の美術館や個人コレクターが所蔵するモネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをはじめ西洋芸術の名作約220点と、北斎の錦絵約40点、版本約70冊の計約110点(会期中展示替えあり)による"東西・夢の共演"で、北斎が西洋に与えた衝撃をご覧いただきます。
大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》1538 年
©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18
開催趣旨
ロシア帝政時代の首都、サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館は、絵画作品約1 万7 千点を含むコレクション310 万点を誇る世界有数の美術館です。本展は、この膨大なコレクションの中でも特に充実している16 世紀ルネサンス、17・18 世紀バロック、ロココの時代に活躍した、「オールドマスター」の絵画85 点をご紹介します。「昔日の巨匠」を意味する「オールドマスター」とは、西洋美術の歴史において揺るぎない評価を得た作家たちのことです。西洋美術史に燦然と輝く巨匠たちの優品を堪能できる、またとない機会となります。
レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
森美術館(東京都港区 六本木ヒルズ森タワー53階)は、 2017年11月18日(土)から2018年4月1日(日)まで 「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を開催します。
レアンドロ・エルリッヒは、国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代 アーティストで、日本では金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》の作家として知られています。本展は、エルリッヒの四半世紀にわたる活動の全容を紹介する、世界でも過去最大規模の個展です。新作を含む40点を超える作品を展示し、その8割が日本初公開となります。
本展は、エルリッヒの四半世紀にわたる活動の全容を紹介する、世界でも過去最大規模の個展です。初期の作品から新作まで40 点を超える作品を紹介し、その8 割は日本初公開となります。
大型のインスタレーションから映像まで、エルリッヒの作品は視覚的な仕掛けを用いて、わたしたちの常識に揺さぶりをかけます。
作品を通してわたしたちは、見るという行為の曖昧さを自覚し、惰性や習慣、既成概念や常識などを取り払い、曇りのない目で物事を「見る」ことで、新しい世界が立ち現われてくることを、身をもって体験することになるでしょう。
ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉しみ、画家のたくらみ 日本近代絵画との出会い
黒田清輝 「木かげ」 1898年
絵の見方がよくわからない…そんなあなたに、
絵画を愉しむコツ、お伝えします。
オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代
知られざるスイスの画家“オットー・ネーベル”日本初の回顧展
スイス、ドイツで活動した画家オットー・ネーベル(1892-1973)。1920年代半ばにワイマールに滞在したネーベルは、バウハウスでカンディンスキーやクレーと出会い、長きにわたる友情を育みました。ベルンのオットー・ネーベル財団の全面的な協力を得て開催される、日本初の回顧展となる本展では、建築、演劇、音楽、抽象、近東など彼が手がけた主要なテーマに沿って、クレーやカンディンスキー、シャガールなど同時代の画家たちの作品も併せて紹介することで、ネーベルが様々な画風を実験的に取り入れながら独自の様式を確立していく過程に迫ります。バウハウス開校100周年(2019年)を前に、若き日のバウハウス体験に始まり、素材やマチエールを追求し続けた画家ネーベルの知られざる画業を紹介します。
JAPAN KOBE ZEROの軌跡
《白布400 ㎡》1972 年
本展は、神戸の前衛的な美術グループ、「JAPAN KOBE ZERO」の活動に焦点を当てます。
同グループは、古川清をリーダーとして、榎忠、松井憲作たちによって1970年に結成されました。もともとデッサン教室での活動でしたが、その中から先鋭的な表現を行う動きが生まれました。街中で大規模なパフォーマンスを行ったり、美術の枠を破るような展示を行ったりしました。1975年には兵庫県立近代美術館での「アート・ナウ」に参加し、松の木がピロティから屋上に突き抜けたかのような作品を出品しています。集団での活動ゆえに多彩なアイデアと旺盛なエネルギーが生まれましたが、メンバーの入れ替えもあり、1979年頃に解散しました。
グループのメンバーからの聞き取りによって主な活動をまとめ、当時の写真や印刷物、展示物の一部、記事が掲載された雑誌などの資料展示によって紹介します。