丸木位里・俊 ―《原爆の図》をよむ

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 18:55 に投稿

水墨による独自の表現を探究していた広島出身の丸木位里(1901-95)と、女子美術専門学校で油彩画を学んだ北海道出身の俊(赤松俊子・1912-2000)は、1941年に結婚します。ふたりは1945年8月に原爆投下後の広島を訪れたのち、自らの体験と家族などから聞いた話をもとに《原爆の図》初期三部作である《第1部 幽霊》、《第2部 火》、《第3部 水》を制作しました。これらは報道規制が敷かれた1950年代初頭に日本全国を巡回し、いち早く人々に被爆の惨状を伝えたことで反核反戦の象徴となっていきます。《原爆の図》は、作品が担った社会的役割の大きさだけでなく、洋画家の俊による繊細な人体描写と、日本画家の位里による大胆な水墨技法が融合した表現である点においても希有な作品といえるでしょう。 本展では《原爆の図》より、初期三部作に加え、《第4部 虹》、《第5部 少年少女》とともに、《原爆の図》の需要が高まる全国巡回展中につくられた初期三部作の「再制作版」を同時にご覧いただきます。丸木位里と俊、それぞれがこれらの作品の前後に単独で制作した作品もあわせて紹介し、ふたりの画業の連続性のなかで、《原爆の図》にみられる絵画的表現の試みを読み解きます。
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第65回日本伝統工芸展

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
日本伝統工芸展は、工芸界最大規模の公募展として知られ、日本の優れた工芸技術の保護育成を目的に、昭和29年以来毎年開催されてきました。陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工・人形・諸工芸の7部門から、厳正な審査を通過した作品が全国12会場で展覧されます。松江展では、入選作全625点の中から、重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品

特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」 - 特集 大宿所 -

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
春日若宮おん祭は、春日大社の摂社(せっしゃ)である若宮社の祭礼です。長承4年(1135)の若宮社御遷座(ごせんざ)を承(う)け、翌保延2年(1136)9月17日にはじまったとされています。その後、祭日は室町時代から11月27日、明治11年(1878)からは現行の12月17日と変わりながらも、祭礼は古儀の伝統を守り続け、

サラ・ベルナールの世界展 ─ ロートレック・ミュシャ・ラリックとともに ─

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
19世紀末から20世紀初頭にかけて、演劇・芸術・ファッションで人々を魅了していた大女優サラ・ベルナール(1840/1844-1923)。彼女は、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)が一躍パリで売れっ子のデザイナーになるきっかけとなった人物です。本展はサラ・ベルナールを大々的に紹介する日本初の巡回展です。サラ・ベルナールの芸術と栄光、その社会的影響を、写真、肖像画、ポスター、そして、ミュシャ、ラリック、ロートレックなど同時代の作品を通じて再発見し、その足跡を辿ります。

堀内正和展 おもしろ楽しい心と形 [同時開催]コレクション展 モダンなフォルム

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
堀内正和(1911-2001)は、日本の抽象彫刻を代表する作家のひとりで、次世代の彫刻家たちに大きな影響を与えました。東京高等工芸学校在学中の1929年に18歳で第16回二科展に初入選。早くから抽象彫刻を志した堀内は、戦争中に一時制作を中断しますが、戦後、活動を再開させると、サンパウロ・ビエンナーレやインド・トリエンナ

コレクション展 モダンなフォルム [同時開催] 堀内正和展 おもしろ楽しい心と形

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
同館の名称にも掲げられた「モダン」(近代)という言葉。日本では一般に「現代的」、転じて「洒落た」イメージを指して使われ、一方では「モダン」という言葉自体がもはや「レトロ」な響きをも感じさせますが、本来は「新しさ」を意味するものです。 古典的な美や、それまでの潮流に対する新しさを追求した表現は、つねにモダンなものであっ

印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
産業革命期に英国随一の海港都市として栄えたグラスゴー出身の海運王ウィリアム・バレル。彼は古今東西におよぶ様々なジャンルの芸術作品を集めてコレクションを築き、グラスゴー市に寄贈しました。その後、同市に美術館「バレル・コレクション」が設立し、一般公開されています。 本展では、9,000点以上にも及ぶバレル・コレクションの

小原古邨

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
小原古邨(1877~1945)は、明治末から大正、昭和にかけて活躍した絵師です。可愛らしい鳥や動物、花といった身近な自然を、木版画で表現しました。 本展では、明治末から大正にかけて、松木平吉の元から刊行された古邨落款の木版画や、昭和前半に、渡邊庄三郎の元から刊行された祥邨落款の新版画を展示。さらに、制作工程が分かる、

企画展「列島の祈り―祈年祭・新嘗祭・大嘗祭―」

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
古代から、日本列島各地では、神々に食べ物や捧げ物を奉り、豊かな稔りや人々の幸せを祈り感謝する祭祀・儀礼が行われてきました。 10世紀に作られた法制書である『延喜式』には、祈年祭(2月)、広瀬大忌祭・龍田風神祭(4月・7月)、新嘗祭(11月)といった国家が行う祭祀についての詳細な記述があります。これらは、稲作に関わるも

春日明夫コレクション「人はあそぶ―メキシコ民芸玩具展」

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 02:30 に投稿
日本から約1万kmも遠く離れているメキシコ合衆国。しかしその交流の歴史は400年も前に始まり、今年は外交関係樹立130周年の記念年を迎えます。国土は日本の約5倍。多種多様な気候風土と民族の歴史が、豊かな手仕事を育んできた土地でもあります。 本展では、造形教育学の視点から世界の玩具を蒐集する春日明夫氏のコレクションより