贋作エトセトラ:アートをおしきせ 20180501

ARTLOGUE 編集部2018/05/01(火) - 21:04 に投稿

アートにまつわる色々を、(ほぼ)毎日紹介、おすすめしていきます。手帳ですら一年使い続けられなかったこともあり、毎日というタスクがとても不安、4月1日に始めればよかった…です。

今日は、南仏エルヌにある美術館の収蔵品が半数以上偽物であったというニュースから一冊。

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瀬木慎一『真贋の世界: 美術裏面史 贋作の事件簿』、河出書房新社、2017年

Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -

ARTLOGUE 編集部2018/05/01(火) - 14:23 に投稿

簡素で美しい生活様式やテキスタイルをはじめ、今日でも手仕事による技法や歴史、文化が色濃く継承されているインド。なかでも「カディ(Khadi)」と呼ばれる綿布は、ものづくりのオートメーション化が著しい近年も、手紡ぎ、手織りによってインド各地でつくられています。

つくり手によって紡がれる一本一本の糸、多様な織り目による白の表情。その美しいテクスチャーには、インドの近代史と哲学が織り込まれています。インド国旗に糸車が配された背景には、輸入品を断ち国産の綿布に身を包む不買運動から、独立、そして明日への希望の象徴となったカディがありました。

マルタン・シン(Martand Singh、1947-2017)は、インド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られています。シンは、インドの独立、雇用、死生、創造という観点からカディを「自由の布」と呼び、この綿布で仕立てられる衣服、カディ・クルタ(Kurta)を日常着として纏っていました。クルタは今日でも、セレモニーの正装として、ある時は寝間着として、多岐にわたる場面で着られています。

日常と表現について。元くるりのシンガーソングライター吉田省念に聞く

nanchatic2018/05/01(火) - 14:16 に投稿

その美しい旋律と歌声で、「京都の至宝」と賞賛されるシンガーソングライター吉田省念さん。2017年発表のセカンドアルバム「桃源郷」では、日常の中で見つけた桃源郷がテーマになっています。イラストレーションや写真など、音楽以外の表現も行う自由なクリエイティブライフについてお話を伺いました。

京都の緑豊かな自然に囲まれて

https://www.youtube.com/watch?v=Qt3AgZu2gFQ

京都の深い山の森の中。突然視界に入る巨大なコンクリートの箱が、省念さんの生まれ育った実家。父親の現代美術アーティスト、ヨシダミノル氏(1935~2010)の設計によるコンクリートの打ちっぱなしの建築物です。

産業と美術のあいだで 印刷術が拓いた楽園

ARTLOGUE 編集部2018/04/30(月) - 15:07 に投稿
高井貞二《感情の遊離》1932年 油彩、キャンバス

 

美術の表現は、美術の周辺からしばしば力を得ています。それは、私たちの生活の実用的な需要に応える産業であることも少なくありません。なかでも印刷術は、美術の表現にもっともよく影響を与えた産業技術のひとつと言えるでしょう。

日本は、おもに木版の技術により、古くから印刷文化を誇る国です。高度に洗練された浮世絵や書籍、身の回りの品々までが作られてきました。明治に入って、文字の印刷には活版が、図版の印刷には銅版、木口木版、石版の技術が西欧からもたらされて近代的な印刷産業が発展し、多様な技術による印刷物が発行されていきました。

ひとりひとりの生活のなかにもたらされた印刷物は、新鮮な視覚体験をもたらし、また産業としての印刷の担い手たちのなかにも、実用的な需要に応えるあいだに、印刷技術のなかにある版の創造的な側面に着目する人が現れました。

荒井茂雄展 人生の詩

ARTLOGUE 編集部2018/04/28(土) - 11:19 に投稿
荒井茂雄《楽園》1974年 丸山晩霞記念館蔵

 

長野県に生まれた荒井茂雄(1920- )は、幼い頃から絵を得意とし、同県上田市で友禅と日本画を学んだ後、猪熊弦一郎(1902-1993)に師事します。以降、洋画・日本画という区分や一つのスタイルにとらわれることなく、新たな表現への探求を続けてきました。

初期には花や鳥などをモチーフとした油彩画を制作しますが、80年代半ばより、色彩豊かで実験的な抽象表現や、身近な日用品を組み合わせた立体作品を手がけるようになります。そして近年では、自らの作品や浮世絵などのイメージを組み合わせたコラージュに着手するなど、その表現の展開は豊かな様相を呈しています。

一方で、いずれの時期においても、鮮やかな色彩を巧みに操る感覚や、素材やモチーフの意外な組み合わせ、日常の中にあるものへの新鮮なまなざしなど、猪熊の教えを受け継ぎつつ、荒井が確立した固有の精神が息づいています。

ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展

ARTLOGUE 編集部2018/04/28(土) - 01:58 に投稿
フランソワ・ブーシェ《勝利のクピド》

 

ユニマットコレクションは、オフィスコーヒーや介護、リゾートなどの事業を幅広く展開しているユニマットグループの創業者・髙橋洋二氏が収集した西洋美術の一大コレクションです。本展では、世界的な巨匠たちの作品を多数所蔵するコレクションの中から、主に19世紀から20世紀にかけてのフランス美術を中心に約100点をご紹介します。

芸術の本場として名高いフランスの美術の歴史において、19世紀から20世紀は歴史に名を残す優れた美術家が数多く登場した時代でした。

貴族好みの神話世界を捨て、自然の中に生きる農民たちの姿を描こうとしたミレーやコロー、明るい色彩の肖像画を通じて、あふれるような生命の輝きを表現したルノワール、現実を超えた大胆な色づかいによって「色彩の魔術師」と称えられたデュフィ、貧しい芸術家たちがひしめくパリのモンパルナスで活躍し、伝説となったモディリアーニや藤田嗣治、装飾性あふれるガラス工芸を発表して一世を風靡したルネ・ラリックなど、多くの美術家たちがそれぞれの時代で、自らが理想とする美を創り出し、感動を与えてきました。