没後60年特別展「北大路魯山人 古典復興ー現代陶芸をひらくー」

ARTLOGUE 編集部2019/08/06(火) - 02:31 に投稿
明治時代以降の日本の陶磁器は、江戸後期に発達したを引き継ぎながら次第に近代的な個性のある作風を目指しました。大正から昭和前期にかけての時代には中国、朝鮮および日本の古陶磁に注目する陶芸家たちが現れるようになります。それはちょうどヨーロッパにおいてギリシア、ローマの古典を復興しようとしたルネサンスが新しい芸術世界を開いたことと同じであるといえるでしょう。陶芸家たちは近世から続く考証や新しい陶磁史の視点などを背景に、古陶磁の作風や過去の技法の復元を目指し、それを自からの足場とすることで、次第に新しい造形を築き上げました。 京都に生まれた北大路魯山人(1883-1959)は、はじめ書や篆刻の分野で活動し、30歳代終わりの1922(大正11)年に、生来の食に対する関心から「料理の着物」としての作陶に向かいます。それは単なる食器づくりではありませんでした。彼は中世以来日本文化の核となっていた茶道を基軸とするわが国の伝統に触れ、一挙に陶芸の古典復興を代表する存在となりました。その活動はまさに<『美』を食す人>と形容できるものです。かつて中国大陸や朝鮮半島からもたらされ、日本人によって守り伝えられたやきもの、そして日本で生み出された素朴な焼締めのやきものから鮮やかな色絵まで、長い年月をかけて積み重ねられてきたやきものの様々な美をすくい上げた魯山人の制作は、絶えず同時代の陶芸家たちを触発しました。 本展覧会では、魯山人を中心に同時代の陶芸家たちの作品と、中国、朝鮮、日本陶磁など古典の名品も併せて展示し、現代陶芸の礎となった昭和時代を展望します。

古代東海道駅伝展

ARTLOGUE 編集部2019/08/06(火) - 02:31 に投稿
伊場遺跡群を中心に遠江国、駿河国など古代の東海道諸国と平城宮の発掘出土品を紹介します。 昭和24年の伊場遺跡発見から70年になるのを記念し、特別展を開催します。 古代の道を通って中央から各地へと浸透していった、新しい時代の新しい造形に着目し、伊場遺跡群を中心に遠江国および他の東海道諸国、そして都における発掘出土品と調査研究の成果を紹介します。 浜松市の伊場遺跡群は、地方で初めて100点を超える木簡が見つかったことで知られています。地方に関する古代の文献史料がほとんど伝わっていない中、伊場遺跡群での文字史料の発見は古代史学界に大きなインパクトを与えました。 調査と研究が進むにつれ、伊場遺跡群には飛鳥・奈良・平安時代の郡の役所「敷智郡家」と軍団が置かれ、そして東海道駅路の駅も付近に配置されていたであろうことが明らかになっていきました。では、古代における東海道とは、駅・駅伝とはどのようなものだったでしょうか。この展覧会では古代の道と交通をテーマに、敷智郡、遠江国の姿や、他の地域との交流などについて探っていきます。

剣精霊貫白虹

ARTLOGUE 編集部2019/08/06(火) - 02:31 に投稿
幕末動乱期、江戸と京の間に位置する美濃には、水戸天狗党や東山道鎮撫隊、和宮降嫁の往来があり、一党が敵味方に分かれる郡上・凌霜隊や高須四兄弟の悲劇がありました。 新撰組・近藤勇を斬首した旗本岡田家剣術指南役・横倉喜三次を中心に、幕末美濃の群像を取り上げ、併せて、騒乱の時代に活躍した同時代・幕末から明治期の新々刀を紹介します。この時代の名工・源清麿や美濃の御勝山永貞の名刀を出品します。 幕末の美濃飛騨の人物・事物多数を取り上げ、幕末維新動乱期の息吹を感じられる展覧会です。

柳宗悦と古丹波

ARTLOGUE 編集部2019/08/06(火) - 02:30 に投稿
日本六古窯の一つである丹波焼に、いち早く正しい評価の光を当て、「最も日本らしき品、渋さの極みを語る品」と評したのは柳宗悦でした。本展では、当館ならびに丹波古陶館の優品の中から、中世期の自然釉の壺や江戸期に発達した赤土部釉・流し釉・線彫・白絵掛の壺や甕・徳利・皿などを厳選し、古丹波の魅力に迫ります。

ノンフィクション作家・保阪正康の仕事

ARTLOGUE 編集部2019/08/06(火) - 02:30 に投稿
年表の一行を一冊に 「昭和」とは、あの「戦争」とは何だったのか。ノンフィクション作家・保阪正康は「歴史」と向き合う日々を送ってきました。「歴史の年表に残る一行を一冊に」との思いの下、昭和を中心に日本の近現代史を問い続けています。 デビュー作の『死なう団事件 軍国主義下の狂信と弾圧』(1972年)を皮切りに、『東條英機と天皇の時代』上・下(1979・80年)、『昭和陸軍の研究』(1999年)、『ナショナリズムの昭和』(2016年)…。「昭和」を生きた政治家、軍人、活動家などに取材を重ね、証言や資料でその実態を読み解いてきました。 本展では、これまでに発表したおよそ150冊の著作群を通して保阪が見た「昭和」の実像に迫ります。その一方で、「昭和史を語り継ぐ会」を主宰し、講演活動などで見せる歴史の「語り部」としての側面も紹介。また、札幌市に生まれ、その後の歩みにつながった保阪の背景にある「昭和」を北海道での幼少期、さらにはその目に映ってきた北海道から探ります。現在も日本の近現代史を検証し続ける保阪の思いとは…。次代に語り継ごうとしている歴史の教訓を考えます。

特別展 聖域の美―中世寺社境内の風景―

ARTLOGUE 編集部2019/08/03(土) - 02:31 に投稿
寺社の境内は、神仏の坐います聖域であるとともに、人々のやすらぎの場ともなってきました。 赤い鳥居、古寺の塔、掃き浄められた参道など、誰の思い出の中にも、懐かしい境内の風景が息づいていることでしょう。 そして、その風景は、ふるくから絵にも描かれてきました。 美麗で精緻な絵画から朴訥ぼくとつな味わいの絵図まで、多彩な表現で寺社を描く作品を一堂にそろえます。

特別展「日本の素朴絵」

ARTLOGUE 編集部2019/08/03(土) - 02:31 に投稿
日本では昔から、さまざまな形式の作品がゆるやかなタッチでおおらかに描かれ、大切にされてきました。 それらは「うまい・へた」の物差しでははかることのできない、なんとも不思議な味わいをもっており、見る人を虜にするのです。 本展では、ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれたこのような絵画を「素朴絵」と表現します。 これまで本格的に取り上げられることのなかった、さまざまな時代・形式の素朴絵を紹介することで、名人の技巧や由緒ある伝来に唸るだけではない、新しい美術の楽しみ方をご提供します。

戦争とやきもの

ARTLOGUE 編集部2019/08/03(土) - 02:31 に投稿
戦後74年目を迎えた今年、戦争とやきものの関係をみつめる企画展を実施します。 今回の展示で最も大切にすることは、鑑賞者が実物(展示品)を「みつめる」「感じる」ことで、自然に自分の思いを立ち上げ、「考える」ことへと誘う構成です。 そのために、「戦争」という巨大なテーマに向き合ったとき、事実(史実)を「~があった」という知識として受け止めるだけではなく、個々の立場から誰もが主体的にアプローチできる展示を心がけました。 昭和20年米軍機の機銃掃射を受けた、現昭和小学校の当時の資料から展示は始まります。 そして、子どもたちが食事に使用してきた、戦前・戦中・戦後の “子ども茶碗”を時代順に展示し、その絵柄から子どもたちを包み込んでいた、当時の空気感を伝えます。 さらに太平洋戦争最末期に軍部の命により多治見市笠原町で製造され、あの硫黄島へ送られたという「陶製手榴弾」を展示します。 鑑賞者の皆様には、こうした展示の中から感じ取り・見つけ出した価値をぜひ伝えてほしいと思います。そして、多くの鑑賞者が価値を共有し、自分の中でより深めていくことができればと願っております。

明治金工の威風―高岡の名品、同時代の名工

ARTLOGUE 編集部2019/08/03(土) - 02:31 に投稿
加賀藩二代藩主・前田利長以来の金属工芸のまち・高岡では、明治時代にはじまる工芸振興の大きなうねりのなかでわざが向上し、高い発信力をもちました。多くのすぐれた作家や職人、銅器商たちによって「高岡銅器」が発信され、国内外の博覧会などで多くの賞を受けました。 本展では、この威風にみちた時代における金工の名品が勢揃いします。高岡で生まれた名作を展示して地域の工芸史に光を当てつつ、国際的に活躍した同時代の金工家による仕事も紹介。「東京国立博物館所蔵品貸与促進事業」の一環として行われる本展の目玉は、高岡の名工が制作し1873年のウィーン万国博覧会にも出品された高さ約127cmの大作の里帰り展示です。 ダイナミックな人・もの・わざの交流と洗練の歴史を経て現在まで受け継がれてきた超絶技巧の世界を、お楽しみください。

写真の時間

ARTLOGUE 編集部2019/08/03(土) - 02:30 に投稿
TOPコレクションは東京都写真美術館の収蔵作品を紹介する展覧会です。今年のテーマは「イメージを読む」。 作品という視覚的なイメージとその読み解き方を考えます。本展は35,000点を超える当館コレクションから選び抜かれた個々の作品や、複数点からなるシリーズ作品が語りかけてくる物語に着目します。作品の背後にある意味やイメージを結びつける関連性を浮き上がらせることで、さらに写真というメディア自体が内包している普遍的な物語に目を向けることで、「イメージを読む」という豊かな鑑賞体験へと観客の皆様を誘います。 「写真の時間」展では、写真が持つ時間性と、それによって呼び起こされる物語的要素に焦点を当ててご紹介するものです。写真とは、一瞬の時間を切り取ったものと捉えられるかもしれません。しかしながら、例えば私たちがある写真を目にする際、そのイメージは記憶の奥深くにまで働きかけ、現在だけでなく、過去や未来、はたまた音や匂いといった視覚以外の感覚をも喚起することもあるでしょう。そのようにして、私たちは写真に時間の流れや物語を感じとるのです。 この展覧会では、写真と時間、そしてそこに横たわる物語との関係性を、「制作の時間」、「イメージの時間」、「鑑賞の時間」という3つのキーワードによって探ります。「写真の時間」を、どうぞお楽しみください。