足立美術館 開館50周年記念 横山大観の全貌
足立美術館は、島根県安来市出身の実業家・足立全康(1899-1990)が蒐集した美術品をもとに、1970年(昭和45)11月に開館しました。雄大な自然を借景にした日本庭園と横山大観をはじめとする近代日本画コレクションを柱とし、開館以後もその拡充に努めてきました。特に大観の作品は初期から晩年に至る約120点を所蔵し、その中には院展出品作など各年代の代表作が含まれることから、「日本一の大観コレクション」とも評されています。
横山大観(1868-1958)は、明治・大正・昭和の画壇を牽引した近代日本画の第一人者です。70年に迫る画業の中、常に画壇の第一線に立って活躍し、近代美術史に数多くの名作を遺しました。没後60年以上を経た現在も、その名声は色あせることなく生彩を放っています。
本展では、足立美術館が誇る横山大観コレクションの中から、本画※のみを100点選び、展示替えなしで一挙公開されます。同館ではこれまで10年おきに大規模な大観展が開催されてきましたが、本展は2010年(平成22)に開設した新館で初めて行う過去最大の展覧会です。これまで全国の美術館で開かれてきた大観の回顧展の中でも、100点もの本画が一堂に会するのは初めてのこととなります。
初期の出世作として名高い「無我」から、朦朧体の傑作「曳船」、当館の大観コレクションを象徴する「紅葉」、画業50年を記念して描かれた連作『山海二十題』(通称「海山十題」)のうち「雨霽る」「海潮四題・夏」を含む8点、最晩年の名作「霊峰夏不二」「山川悠遠」まで、横山大観の本画100点が展示されます。
横山大観の画業の全貌、そして足立美術館の大観コレクション
の全貌を一望する絶好の機会となることでしょう。
※「本画」とは、日本画の完成作品のこと。写生や下図を含まない。