染織の歴史を過去から未来へ紡ぐ「美しき色、いにしへの裂―〈ぎをん齋藤〉と〈染司よしおか〉の挑戦―」
京都の呉服専門店「ぎをん齋藤」七代目当主 齋藤貞一郎氏(1948-2021)と、植物染の「染司よしおか」五代目当主 吉岡幸雄氏(1946-2019)。
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京都の呉服専門店「ぎをん齋藤」七代目当主 齋藤貞一郎氏(1948-2021)と、植物染の「染司よしおか」五代目当主 吉岡幸雄氏(1946-2019)。
京都・細見美術館において、2021年1月5日(火)~4月11日(日)まで、特別展「日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集—」が開催されています。本展覧会は、2019年秋に急逝した染織史家の吉岡幸雄氏を追悼し、その業績を回顧する没後初の展覧会です。
吉岡氏は、1946年、京都市生まれ。早稲田大学を卒業後、図書出版「紫紅社」を設立。1988年42歳のとき、京都で江戸時代末期から続く染色工房「染司よしおか」を継いで五代目当主となり、また染織史の研究者としても活躍しました。
吉岡氏は古来の文献を紐解き、伝世の染織遺品をはじめ、古今東西の美術工芸を学んで、伝統の色彩を求めました。各地に伝わる染料・素材・技術を訪ねて、その保存と復興に努め、社寺の祭祀、古典文学などにみる色彩や装束の再現・復元にも力を尽くしたといいます。著書の中で自らを「日本の伝統色にこだわり、真に美しい色を求めて、時代をさかのぼろうとあえいでいる染屋」と称した吉岡氏。そんな吉岡氏の美への憧憬と本質を見極める眼、そしてあくなき探求心によって成し遂げられた仕事と蒐集の軌跡を紹介する本展は、以下の4章で構成されています。
自然史と日本文化をクロスオーバーさせた新感覚の展示
京町家で「JAPAN COLOR」を体感する
ICOM(国際博物館会議)京都大会に合わせて、8月30日(金)~9月16日(月・祝)の間、京都市指定有形文化財「野口家住宅(花洛庵)」で、「JAPAN COLOR」をテーマにした企画展「Where culture meets nature~日本文化を育んだ自然~」が開かれています(主催:自然史博物館11館が連携する「自然史レガシー継承・発信実行委員会」など)。
同企画展シリーズとしては4回目。京町家の伝統的な建築空間と自然史標本を融合し、色を通して自然と日本文化の関わりを紹介します。日本の自然が生み出す色の不思議さ。日本人が自然をどう表現してきたのか。昨年12月に掲載した記事に続いて、自然史博物館の新たな試みに密着しました。
culture×nature→future
暮らしもアートもすべての源は自然にある。art×somethingの一つの試みとして、culture×natureをテーマに記事をお届けします。前編は「日本の色」と題して日本の伝統の色を巡る取り組みを、後編は「Where culture meets nature」展をご紹介します。
茜色、刈安(かりやす)色、柳色…。日本古来の植物染めで再現した「日本の色」が、イギリスのヴィクトリア&アルバート(V&A)博物館に永久コレクションとして収められ、2019年1月27日まで「Fashioned from Nature」展の一環として特別展示されています。