育児・介護と仕事の両立は不可能? アートの現場のワーク・ライフ・バランスとは:アートをおしきせ 20180515

ARTLOGUE 編集部2018/05/15(火) - 23:52 に投稿

数年アートの制作、クリエーションの現場に関わらせてもらった実感として、女性の多い職場であると思います。

短い期間の自分の経験を振り返ると、朝日新聞の記事「育児・介護「仕事と両立難しい」5割 演劇・バレエ制作スタッフを調査」は身につまされました。

「日本芸能実演家団体協議会(芸団協)」がまとめた報告書によると、劇団やバレエ団の公演に携わる制作スタッフの内、5割の方が、育児や介護の必要性が生じた場合に仕事を続けられないと答えたのだそうです。 この報告書はもともと文化庁の委託で労働環境改善目的で行われた調査によるものとのこと。1132人に調査票が送られ、女性が7割を占める282人から回答がありました。 同団体が2016年度、公共劇場スタッフ向けに行った調査では、6割の方が同じ答えを出しています。

人生を進めていく中で、育児も介護も起こり得るもの。それだけでなく自身が体調を崩してしまうことも十分あり得ます。いずれも生きていればあるだろうという環境、状況の変化ですが、それに応じて仕事の方をコントロールすることが難しく、やめざるを得ないのはとても残念です。

内藤正敏 異界出現

ARTLOGUE 編集部2018/05/15(火) - 05:42 に投稿
《死者供養をする老婆、恐山》〈婆バクハツ!〉より 1969年 
ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

 

このたび東京都写真美術館は、「内藤正敏 異界出現」展を開催します。本展は異色の写真家・内藤正敏の50 年を超える軌跡をたどりご紹介します。作家は 1960 年代の初期作品において、化学反応で生まれる現象を接写して生命の起源や宇宙の生成の姿を捉えました。その後、山形県・湯殿山麓での即身仏との出会いをきっかけに、1960 年代後半から 80 年代にかけて、主に東北地方で民間信仰の現場に取材した〈婆バクハツ!〉〈遠野物語〉など刺激的な写真シリーズを次々と発表しました。「モノの本質を幻視できる呪具」である写真と、見えない世界を視るための「もう一つのカメラ」である民俗学を手段として、現世の向こう側に幻のように浮かび上がる「異界」を発見する人、内藤正敏。そのヴィジョンは、今日の私たちに大きな戦慄と深い洞察を与えてくれるはずです。本展は主な写真シリーズを通して、その 50 年を超える足跡をたどるとともに、その表現世界に通底する独自の世界観、生命観を捉えていきます。

 

美術館の閉館について:アートをおしきせ 20180514

ARTLOGUE 編集部2018/05/14(月) - 23:14 に投稿
朝日新聞で、東京の私設美術館「アミューズミュージアム」が今年度末で閉館するとの記事を読みました。

2009年に開館したこの美術館は、大手芸能事務所として知られる「アミューズ」と縁が深く、その名を冠しています。展示の中心は、青森県の歴史民俗研究家、田中忠三郎さんが収集した衣類や民具等が占め、身近で欠かせないものながら、日常に埋もれて消耗していく布にスポットライトをあて、そこから垣間見える営み、紡がれてきた文化を紹介してきました。収蔵品の中には伝統的な刺し子が施された貴重な衣類、また黒沢明監督の映画『夢』(1990年)に使用されたものもあるそうです。閉館の理由は、建物の老朽化。記事には「移転や国内外での巡回展などの形を検討しているという」とあり、継続して展示する道を模索することが綴られていました。

美術館の閉館。閉館だけでなく、主には財政難を理由に、規模縮小のニュースを聞くとやはり残念でなりません。

#MeTooとアラーキー告発に見る、作品至上主義のおわりのはじまり

nanchatic2018/05/14(月) - 19:30 に投稿

#MeToo 運動や元写真モデルによるアラーキー告発を見て感じるのは、作品と人権という2つのバリューの天秤の高さの今日的な変化です。MeToo運動は、TwitterやInstagramを通して拡大していったように、映画会社、プロデューサー、ディレクターが大きな影響をおよぼしていたマスメディアに代わって、SNSという個人発信の手段が可能にした運動でした。

「わたしたちは道具ではない」という映画作品や写真アートのキャストやモデルたちの主張は、それまでの創作側の作品至上主義、そしてアンタッチャブルな神聖と見なされてきた芸術作品に対する、「犯される側」からの「犯すべからざる領域」への反乱であるようにも見えます。

純文学とモデルの人権


アラーキー告発に関する記事の中に、島崎藤村(1872〜1943)の小説『新生』に登場するモデルに触れたものがありました。日本の純文学の歴史を振り返ると、藤村に限らず、登場人物のモデルとなった実在の人物(多くは女性)への人格権を侵害した事案が数多く発見できます。

GIRLS 毎日を絵にした少女たち

ARTLOGUE 編集部2018/05/14(月) - 17:18 に投稿
塔本シスコ《アロエの花は冬に咲く》1995 年撮影:塩田洋

 

大正生まれのシスコ、澄子、ゑい。時を超えて描いた少女のときめき――
本展に出展する3人は、大正初期に生まれ、激動の時代を生きています。彼女たちは、不思議なことに皆、歳を重ねてから過去を追憶し、堰を切ったように大量の絵を描いています。川で遊んだ日、親戚がたくさん集まった日、妖精を見つけた日、戦時中のある日。それから妻となり、母となり、やがておばあさんとなって過ごした日々。在りし日の瞬間瞬間に宿るときめきを絵にしたためていきました。今そこにある暮らしや、過去からの出来事の一つ一つを肯定していく姿は、彼女たちによって描かれた絵のごとく美しく、歳を重ねてなお少女のようにきらきらと輝いているように見えます。3人の少女の眼を通して見つめられた大事な瞬間を伝える絵は、私たちに毎日がかけがえのないものであることを伝えてくれるでしょう。

 

展覧会概要

-----------------------------------------------------------

今日は母の日ー子どもと一緒に美術鑑賞「フリートークデー」って何?:アートをおしきせ 20180513

ARTLOGUE 編集部2018/05/13(日) - 23:52 に投稿
今日は母の日。
私の周囲でもお母さんになった友人が随分増えました。結婚でライフスタイルはおのずと変わりますが、時間が許せば、それまで同様、展覧会や芸術祭、公演、ライブ、とそれまでよく参加していたイベントにも引き続き出かける友人が殆ど。
とはいえ赤ちゃんが生まれると、子ども連れでも気兼ねなく行ける場所という選択肢がどうしても外せません。

蘇る身体の器官から思うこと-テクノロジーとアート、身体の「拡張」:アートをおしきせ 20180512

ARTLOGUE 編集部2018/05/12(土) - 21:48 に投稿
 レオナルド・ダ・ビンチ(Leonardo da Vinci, 1452~1519)による理想の人体像。
《ウィトルウィウス的人体図》1487頃、 紙にペンとインク、 34.4 cm × 25.5 cm、 ヴェネツィア、アカデミア美術館)[Public domain], via Wikimedia Commons

 

アメリカ陸軍で失った耳を腕で培養して再建、移植する手術が成功したと報じられていました。アメリカ陸軍の事例としては初とのことです。

参照:CNN.co.jp「腕で耳を培養、事故で左耳失った米兵に移植手術」https://www.cnn.co.jp/usa/35119000.html、2018年5月12日アクセス


移植した耳は、患者本人の肋骨から取り出した軟骨を耳の形に彫刻し、自らの腕の皮下で育成したものだそうです。

無料で美術鑑賞!?案外あった美術館の無料開放日:アートをおしきせ 20180511

ARTLOGUE 編集部2018/05/11(金) - 23:34 に投稿
毎週金曜午後4時~午後8時の入館料が無料になるニューヨーク近代美術館(MoMA)の「ユニクロ・フリー・フライデー・ナイト」。美術館の無料開放は、日本も例外ではありません!

 

5月11日付の読売新聞で「中山道広重美術館、「金曜無料」で手応え」の記事を読みました。

岐阜県恵那市の中山道広重美術館が、金曜日の入館料が無料となる「フリーフライデー」を導入し、入館者数が増加したことが取り上げられていました。

「フリーフライデー」というと、ユニクロがスポンサーになって実施しているニューヨーク近代美術館(MoMA)の「ユニクロ・フリー・フライデー・ナイト」を思い出しましたが、中山道広重美術館の取り組みはここから着想を得たものだそう。ちなみにユニクロはMoMAとパートナーシップを結んで所蔵の現代アート作品をモチーフにした商品を販売しています。無料開放といい、アート作品を取り入れたファストファッションといい、肩の力を抜いてアートと親しめる試みですね。