日本の近代文学は、明治以降、海外から押し寄せる新しい思潮や古くからの伝統がせめぎあう中で、また、関東大震災や戦禍、言論弾圧など数々の苦難をこえて、発展してきました。こうした歩みを示すかけがえのない資料は、敗戦から立ち直り経済成長へ向かう、激しい社会の変遷の中で、散逸しつつありました。それを憂えた高見順、小田切進ら有志の文学者・研究者が、文学資料を収集・保存する施設の必要を広く訴え、1962(昭和37)年5月、設立準備会を結成、翌1963年4月、財団法人 日本近代文学館が発足しました。その動きは大きな反響を呼び、15,000人にのぼる人から資料の寄贈や建設資金の寄付などの支援をいただいて、1967年4月、東京都目黒区駒場に、今の建物が