岡崎和郎「御物補遺」展
2018年11月20日から2019年1月19日まで、岡崎和郎「御物補遺」展が開催中です。
Galerie Ashiya Schuleでは、2015、2016に続いて三度目の個展となる本展は、半世紀以上に及ぶ活動の作品に一貫して展開される「御物補遺」思想に再び焦点を合わせた展覧会となります。
岡崎和郎は、1950年代なかばにオブジェ制作をはじめてからほぼ60年間、独自の造形思想のもとに多種多様なオブジェを制作しています。「内部」を制作の基本とした初期のオブジェは、外と内、表と裏、虚と実をめぐる問いかけを示していましたが、次いで手の痕跡や人間の痕跡といった人間全般へと対象が広がり、その後一貫して「御物補遺」(Object Supplements)と呼ばれる造形思想のもとに制作を続けています。
グラフィックで科学を学ぼう 進化のものがたり展
「グラフィックで科学を学ぼう 進化のものがたり展」では、京都芸大ビジュアル・デザイン専攻の学生たちが、生物の進化について書かれた専門書を読み、その内容を子供たち(小学校 中・高学年)に伝えるためにデザインした作品を展示します。学生たちがデザインした作品は、ゲーム、映像、絵本など多岐に渡ります。
科学の知識は正確に伝えられなければなりません。説明文、図版、写真、どれも正確を期すことが求められますが、学生たちが子供たちに進化について伝えようとしたこれらの作品には全て、なんらかの「ものがたり」が加えられています。
また、この展覧会には、京都大学総合博物館所蔵近代教育掛図をパネルと画像で紹介しています。近代教育掛図は、京都帝国大学の学生たちが植物などを学ぶために世界各地から集められた図版です。通常このような図版は、正確である一方でやや退屈と感じることがあるものですが、近代教育掛図は、科学的視点から事実を伝えるという使命を超え、世界の深遠さを多角的に示唆する芸術性を感じさせる「作品」に昇華しているように感じられます。
学生たちが作った作品と近代教育掛図の図版からは、楽しく、美しく、情報が伝わります。
ミュージアムとの創造的対話02 空間/経験 そこで何が起こっているのか?
烏取県立博物館は、1972年の開館以来今日まで、調査研究に基づく資料の収集や展覧会及び教育普及プログラムを通して、文化芸術を保存し、次世代へ継承していくための活動を行ってきました。これをさらに広げ、これからのミュージアムの可能性を開く試みとして、2017年よりシリーズ展「ミュージアムとの創造的対話」を開始しました。本シリーズでは、ミュージアムを巡る問いを契機に、国内外の優れたアーティストによる実験的で多彩な表現を展示室の内外に展開させることで、思考を促し、人やモノ、場との対話を重ねながら、その現代的な意味を探っていきたいと思います。
第2回日の今回は、ミュージアムの重要な要素/機能のひとつである「空間」とそこでの「経験」のあり方に着目し、作品と鑑賞者 との間の関係性の問い直しを図ります。あらゆるミュージアムには展示室という空間が備えられ、そこで催される展覧会では来場者それぞれが作品と対峙し、吟味し、意味や文脈を読み取り、自分の経験を動員して様々に想いを巡らす―「鑑賞」が行われます。このような行為は、日常生活においてはほとんどなされない独特の経験であり、それゆえミュー ジアム が特別な場所であることを物語っ ています。こうしたミュージアム空間における経験のあり方は、美術における表現の多様化によって著しく変化してきました。
アラワシの詠(うた)
本展は、詩人吉増剛造の多様な創作スタイルと、企画展「涯テノ詩聲 詩人吉増剛造」に着想を得て構想しています。
「詩人」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょう。
文字を推敲して詩作をしたり、できた詩を朗読する人、でしょうか。従来の詩のイメージで吉増を見ると、活動の多様さと幅の広さに驚かされます。「全身詩人」とも評されるその多様な仕事は総じて「詩」であり、他にない存在感を放っています。いつのまにか「詩人」や「詩」というものの持つイメージは崩れ、なにかを表現することに「決まったかたちはない」ということに気付かされます。
では「詩」が詠まれるとき、そこではなにが起きているのでしょう。
隠されていた大切な「なにか」が顕わにされ、もしくは未知の価値がたち現わされているような、そんな感覚を覚えます。そしてそれらは愛おしまれるようにして、ここに詠い留められ、もしくは解き放たれ、私たちに届けられているようです。
本展では、吉増をはじめ、様々な手法でなにかをアラワし、詠うように留める7組の作家を紹介します。それぞれの「なにか」を味わいつつ、表現というものの多様さと、その力を感じていただければ幸いです。
[出展作家]
筑波大学附属図書館 貴重書展示室
Chim↑Pom「グランドオープン」
ANOMALYにて、2018年11月22日より、グランドオープン第一弾の展覧会、Chim↑Pom「グランドオープン」が開催されます。
「グランドオープン」展では、デビュー以来、積極的かつ変則的に、社会と個人の関係、ボーダー、今を生きる矛盾を、忖度なくあぶり出す作品を発表し続けてきたChim↑Pom特有の視点から「都市論」を展開します。
オリンピックを2年後に控えた東京の街が急速に変化していく中で、何が採択され、何が排除されているかを日々痛感し続けているChim↑Pomが、これまで連発してきた都市論にまつわるプロジェクトの集大成を、ANOMALYで結実させます。
10月に東京・歌舞伎町で開催されたイベント「にんげんレストラン」で制作された総重量トン級の新作『ビルバーガー』や、2017年台湾で開催されたアジアアートビエンナーレでの発表作された『道』を運び入れる他、会期中、現場で即興的に作品制作も行います。
今回Chim↑Pomが展開する「都市論」は、公から個という昨今の東京のまちづくりに反して、個から公への回帰と刷新を念頭に、「おもしろい個が、おもしろい公をつくる」と語っています。