私たちの暮らしにはさまざまな絵(ピクチャー)があふれています。道路標識やお店を示すアイコン。テレビやコンピューターの画面のみならず街角でも見かける動画(ムーヴィング・ピクチャー)。手元のスマートフォンで 遠く離れた場所のようすを見ることもできますし、お互いの暮らしや気持ちを絵で伝えあうこともしばしばです。私たちはサインや動画をひと目見て、その意味を読み取り、毎日の暮らしに役立てているのです。
それほどに絵があふれる中で、私たちは1枚の絵を見るために、美術館に出かけ、ときには何時間も行列に並んで絵を見ます。私たちはそこに何を見るのでしょう。メディアで何度も見慣れたイメージの「本物」を確認するためでしょうか。何億円もの値打ちがあるという実物を見てみたいからでしょうか。話題のイベントに出かけたことを「インスタ映え」する絵で伝えたいからでしょうか。
もともとは一人の画家がアトリエでコツコツと描いた絵。そこにはさまざまな背景があるはず。そしてまた、その絵が今日まで伝えられてきた陰にはいろいろな物語もあるはず。この展覧会では「顔」や「情景」といったテーマを立てて、どのようにして絵は生まれてきたのか、私たちはそこに何を発見するのかを探ります。目の前を通り過ぎていくたくさんの「絵」と今まで以上に豊かに接するための、楽しいレッスンです。
【関連企画】
◆ 講演会「藤田嗣治:自画像を通して考える、画家のセルフ・ブランディング」
講師:林 洋子(美術史家)
7月20日(土)午後2時から 集会室
(13時30分開場、事前申込み不要、先着100名)
◆ ギャラリー・トーク(担当学芸員による解説)
6月29日(土)午後3時30分から(1時間程度)
企画展示室(要企画展観覧料、事前申込み不要)
◆ 体験型作品鑑賞 「いきなり!なりきり」
7月15日(月・海の日)午後2時から(1時間程度)
企画展示室(要企画展観覧料、事前申込み不要)
清水登之の《ニューヨーク、夜のチャイナタウン》の登場人物のポーズをまねて、その人物に「なりきり」ます。その後でその人が言うだろうことを想像します。絵を「体で見る」鑑賞体験です。
◆ 対話型ギャラリー・トーク 「3分だけ見つめて」
8月11日(日・山の日)午後2時から(1時間程度)
企画展示室(要企画展観覧料、事前申込み不要)
参加者が選んだ作品を全員が何も言わずに3分間見ます。その後でそれぞれ見えてきたものについて語り合います。