小磯良平と吉原治良
田中千代学園芦屋校アトリエ開き・寄せ書きに描く吉原とそれを見つめる小磯
1952 年7 月 写真提供:学校法人田中千代学園
小磯良平(1903-1988)と吉原治良(1905-1972)は、ともに戦 前から戦中、そして戦後にわたって阪神間を主な拠点として活躍 した画家です。小磯は東京美術学校を卒業後渡欧し、アカデミッ クな西洋美術の正統な継承者をめざし、官展や新制作派協会にて 類いまれなデッサン力を駆使した珠玉の人物画を数多く制作・発 表し、日本を代表する具象絵画の巨匠として活躍してきました。 一方の吉原は、家業である製油会社を経営しつつ、ほぼ独学で絵 画の技法を習得し、戦前の海外の抽象絵画に影響を受けた前衛的 な作品を二科会の九室会で発表、戦後は日本の前衛美術を代表す る具体美術協会の主宰者として数多くの抽象絵画を手がけました。 このようにほぼ同時代を地理的にきわめて近い位置において制作 してきたにもかかわらず、彼らを同時に評価する機会はほとんど ありませんでした。