当美術館は、昭和52年、92歳で他界した一人の古美術研究家の遺志を実現するものとして、同年秋に開館されました。故島田真富翁は生前、武蔵会会長、熊本城顕彰会常務理事として、また在野の古美術研究者として、熊本に残る武人文化の保存・研究に打ち込む一方で、それらにかかわる歴史資料や古美術品を精力的に集めてきました。晩年には、私蔵が死蔵に墜することを危惧し、生涯を通じての収集品を国民共有の財産として末永く保存し、また広く一般に公開して郷土の歴史と伝統を語り継ぐよすがにしたいと考え、当館設立の基を築きました。故翁の旧宅の跡地に建つこの小さな私立美術館が、来館者の方々に長い歴史の重みを語りかけ、ひいては温故知新の道場となれば幸いです。