熊谷守一美術館 収蔵作品展

ARTLOGUE 編集部2017/12/20(水) - 16:28 に投稿
「アゲ羽蝶」 1976年 豊島区立熊谷守一美術館蔵

 

来年4月1日(日)まで豊島区立 熊谷守一美術館では、特別企画〔熊谷守一美術館 収蔵作品展〕が開催されます。常設の第1・2展示室のほか、3F貸ギャラリーも第3展示室とし、油彩29点を含む110点程の熊谷守一作品を鑑賞できます。公開する機会の少ない収蔵作品(クレパス画・鉛筆画)が展示され、この特別展にあたり個人の所蔵家から借用した油彩「野菜」「百日草」「仏画下絵」3点(岐阜県美術館寄託)も見られます。 

熊谷守一美術館は、熊谷守一が晩年45年間家族と暮らした家の跡地に建っています。熊谷守一の没後、1985年に二女である熊谷榧(現館長)が設立し、2007年には豊島区立となりました。収蔵作品は、熊谷守一のアトリエに残されていた数点の油彩と、ご好意で寄贈を受けたものが中心とのこと。旧熊谷邸のなごりは前庭のケヤキ1本ですが、不思議と熊谷守一を感じられる美術館です。

野原 邦彦「ステキな時間」 KUNIHIKO NOHARA Have a good time !

ARTLOGUE 編集部2017/12/20(水) - 05:01 に投稿

この度、上野の森美術館では、2017 年12 月24 日(日)から2018 年1 月2日(火)まで、『野原邦彦「ステキな時間」』(主催:上野の森美術館、野原邦彦展実行委員会 企画:Laissez-faire Japan 事務局)を開催いたします。

野原邦彦(のはら・くにひこ/1982 生まれ)は、楠や欅などの木を用いて、自身の何気ない瞬間や状況を反映した作品を制作しています。従来の具象彫刻に捉われず意表を突く造形的センスや抽象的な表現として作品に施す鮮やかな色彩感覚が独創的なアーティストです。野原は、国内外のギャラリーでの企画展や、アートフェアー東京をはじめ海外のアートフェア―にも多数出品するなど注目を集めています。

本展では、新作と共に国内外に収蔵された立体・平面合わせて200 点以上の作品を一堂に会し、展示いたします。その一部の作品を直接触れることのできる” 手で鑑賞” するエリアを設置。殆どの美術館では作品に触れることは禁止されていますが、手で触れることで木の温もりや匂い、彫り跡などのディティールをダイレクトに感じていただけます。また、野原が普段制作をしているアトリエ・バンクハウスを美術館内に再現し、公開制作を行います。作品ができる過程を間近でご覧頂ける貴重な機会となります。本展を通して、野原の一貫した世界を紹介いたします。

ヘレンド展―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯

ARTLOGUE 編集部2017/12/16(土) - 10:08 に投稿
色絵金彩「伊万里」様式人物飾り蓋容器 1860年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

ヘレンドとは、ハンガリーの首都・ブダペストから南西に約110キロを隔てた静かな村にある磁器製作所です。1826年に創設され、ハプスブルク皇帝の保護を受けて発展し、各国の王侯貴族が愛好した名窯として今日に至るまで高い評価を得るハンガリーを代表する高級磁器窯です。
「オーストリア帝室・ハンガリー王室御用達」であったヘレンドは、19世紀後半、当時盛んに開催された万国博覧会へ積極的に出品します。万博での好評は、大英帝国のヴィクトリア女王からのディナーセットの発注やフランスのナポレオン三世妃ウージェニーの買上げなどにつながり、名声を高めていきます。その後も、時代の変化に柔軟に対応しながら、世代を超えて継承された最高の技術と品質で現在も製造が続いています。
本展では、開窯初期の希少な逸品から、バロックやロココといった伝統的な様式を踏襲した名品に加え、中国や日本の陶磁器に学んだ東洋風の作品群、そして現代の製品までおよそ150件、約230点(※)が一堂に集まります。ヘレンド190年余の歴史と、優雅で華やかな磁器の魅力をご堪能ください。

 

木の国フィンランドの伝統と革新 工芸村フィスカルスとニカリの物語

ARTLOGUE 編集部2017/12/16(土) - 09:29 に投稿
ニカリ本社 社屋 ©原田智香子

 

森の国フィンランドでは、木は日常生活の一部として欠かせない存在です。フィンランドデザインは、何世代にも渡る人々の日々の暮らしの中で、自然、シンプル、質素、美と機能性の調和から生まれました。フィスカルス村に拠点をおくニカリ社は、熟練した職人の技を家具製作に活かしたデザインが特徴の会社で、フィンランドの現代文化の先駆者といわれます。伝統と革新を融合させるユニークな発想は、多くの若い才能を引き寄せ、フィンランドの現代デザインでもっとも注目される存在となりました。本展覧会ではフィスカルス村に住んで創作活動を行っている作家とその作品も展示します。ニカリとともに育んだ工芸村フィスカルスの歴史。その物語についてご紹介します。

 

岡本敦生 展「水を彫る」“ excavate a water-2017 ”

ARTLOGUE 編集部2017/12/14(木) - 23:38 に投稿
column and cube water / 四角水と円柱 (1985 / 黒御影石 / w18 × D14 × H19cm)

 

展覧会について

 

国内外にて活動する彫刻家、岡本敦生の展覧会を開催します。彫刻館 宇空(うくう)にて同時開催中の岡本敦生「旧作展」とともに、岡本作品の特徴である御影石を使った新作の展示を行います。メインとなる石彫作品(“excavate a water - 2017 - 1~7 ”)は、水の屈折率を計算して形作られたもので、水深40cm の水の中に作品が置かれた状態を、水の無い空間の中に表現しています。

 

吉本直子 Naoko Yoshimoto   - 転生 Reincarnation -

ARTLOGUE 編集部2017/12/14(木) - 01:37 に投稿
「賽の河原のたまご積み」(2017) 

 

賽の河原では子供たちが石を積むという。
「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため、三つ積んでは・・・」。
生と無生のへだたりを埋める行為が石積なのかもしれない。着る人のいなくなった衣服を漂白し丸く固めた。漂白によって過去の痕跡を消しつつもかすかなぬくもりを内包した原初の形、たまごにする。賽の河原の石積み気分で、たまごをどんどん積み広げる。
「一つ積んではいつか目を覚ます者のため、二つ積んではこれから来る季節のため、三つ積んでは・・・」。
横たわるたまご、転がるたまご、伸びるたまご。いつか孵化するときまで、鬼が来ませんように。

 

前回の個展では白い古着のシャツを用いて記憶を掬い上げ、在と不在の間に思いを馳せる発表をした吉本が、今回は「転生」をテーマに作品展開いたします。命の円環を綴った「洗う女考」を含む新作三点をはじめ、遺服を用いて再生の祈りを形にした「翅」(2015年制作)など、新たな想いのもと、衣服を素材・媒介として浮かび上がらせた生と再生の風景を二つのスペースを使ってご覧いただきます。