国境なき医師団企画による「エンドレスジャーニー展 ~終わらせたい、強いられた旅路~」。詩人の谷川俊太郎と現代美術作家の諸泉茂のコラボレーション展示も。

遠藤 友香2019/12/21(土) - 13:39 に投稿

世界各地ではいまも多くの人が紛争や迫害、暴力や貧困によって住まいを追われ、難民や国内避難民となる人が世界で戦後最多の7000万人を超えています。移民を含めるとさらに多くの人びとが安全な生活を求める移動を強いられています。国境なき医師団は、こうした人びとに寄り添い医療を提供しています。

日本では、そんな生きるために移動を強いられた人びとに関する広報キャンペーン「エンドレスジャーニー ~終わらせたい、強いられた旅路~」を実施し、その一環として展覧会イベントを開催。エンドレスジャーニー展の見どころとして、国境なき医師団のテント式手術室や四輪駆動車など実物を展示、各地における人道危機についての詳細な展示、人びとが生きるために使用していた道具や直筆の絵の展示があります。また、今回のテーマに寄せた谷川俊太郎さんの書き下ろし詩作品と、美術作家・諸泉茂さんと国境なき医師団のコラボレーション展示、そして作家・クリエイターのいとうせいこうさんによるトーク(12月21日に終了)など様々なイベントが予定されています。

谷川氏は今回の展覧会に次の詩を寄せています。

アラワシの詠(うた)

匿名 (未認証ユーザー)2018/11/21(水) - 10:04 に投稿

本展は、詩人吉増剛造の多様な創作スタイルと、企画展「涯テノ詩聲    詩人吉増剛造」に着想を得て構想しています。

「詩人」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょう。

文字を推敲して詩作をしたり、できた詩を朗読する人、でしょうか。従来の詩のイメージで吉増を見ると、活動の多様さと幅の広さに驚かされます。「全身詩人」とも評されるその多様な仕事は総じて「詩」であり、他にない存在感を放っています。いつのまにか「詩人」や「詩」というものの持つイメージは崩れ、なにかを表現することに「決まったかたちはない」ということに気付かされます。

では「詩」が詠まれるとき、そこではなにが起きているのでしょう。

隠されていた大切な「なにか」が顕わにされ、もしくは未知の価値がたち現わされているような、そんな感覚を覚えます。そしてそれらは愛おしまれるようにして、ここに詠い留められ、もしくは解き放たれ、私たちに届けられているようです。

本展では、吉増をはじめ、様々な手法でなにかをアラワし、詠うように留める7組の作家を紹介します。それぞれの「なにか」を味わいつつ、表現というものの多様さと、その力を感じていただければ幸いです。


[出展作家]