2010年より毎年京都市内で開催され、今回で11回目を迎える国際舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」。毎年秋に行われていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、2020年秋に「KYOTO EXPERIMENT 2020」として開催を予定していたフェステイバルの会期を変更し、「KYOTO EXPERIMENT 2021 SPRING」として、2021年2月6日(土)から3月28日(日)の期間、ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都伝統産業ミュージアム他で開催予定となっています。
川崎陽子、塚原悠也、ジュリエット・礼子・ナップの3名の共同ディレクターによる新体制のもと、国内外の「EXPERIMENT(エクスペリメント)=実験」的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を新しい形の対話でつなぐことを目指しています。演劇、ダンス、音楽、美術、デザイン、建築など、ジャンルを横断した実験的表現が集まり、そこから生まれる創造、体験、思考を通じて、舞台芸術の新たな可能性をひらいていきます。
新たな出発に際して、フェスティバルの骨組みも刷新。多様な視点で社会と実験的な舞台芸術を結びつけることを目指し、実施する3つのプログラムを柱に構成されます。
プログラムの1つ目となる「Shows」は、国内外から先鋭的なアーティストを迎え、いま注目すべき舞台芸術作品の10作品を上演するプログラム。京都および関西における舞台芸術の変遷と動向に注目しながら、ダンス、演劇、音楽、美術といったジャンルを越境した実験的作品を紹介します。参加アーティストには、小原真史、カナダのデイナ・ミシェル、垣尾優、オーストリアのフロレンティナ・ホルツィンガー、山本精一、インドネシアのナターシャ・トンテイ、音遊びの会×いとうせいこう、中間アヤカ&コレオグラフィ、タイのウィチャヤ・アータマート、カナダのママリアン・ダイビング・リフレックス/ダレン・オドネルが名を連ねています。
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2つ目の「Kansai Studies」は、アーティストが中心となり、地域市民、プロデューサーや研究者と一緒に、「KYOTO EXPERIMENT」が開催されている京都および関西地域を年間を通じてリサーチし、未来の創作基盤につなげていく試み。dot architects、和田ながらが参加し、2020年度は「水」をテーマとしたリサーチの過程を、特設ウェブサイトにおいて公開。フェスティバル会期中にパブリックイベントを行います。2021年度以降は、ワークインプログレス公演や展示の開催、ウェブサイトでのリサーチ過程の公開を行い、3年目を迎える2022年度に3年間の成果を発表する予定です。
また3つ目として、実験的な舞台芸術作品と社会をつなぎ、化学反応から新たな思考と対話、フレッシュな問題提起など、未来への視点を獲得していく「Super Knowledge for the Future[SKF]」も開催されます。参加者はトークやワークショップなどを通じて、実験的表現が示し出すアートの世界の問題だけでないさまざまな社会問題を知り、共有、交換、対話、議論などで役立つナレッジを深めていきます。ここで獲得できるスーパー知識(ナレッジ)は、いまの社会において重要な問題や予測不能な未来に、立ち向かい考えるための拠り所となるはずです。なお「SKF」のトークプログラムは一部を除き、「KYOTO EXPERIMENT」の公式YouTubeチャンネルにて無料料オンライン配信される予定となっています。
この他、ミーティングポイントの設置やブックフェア、提携プログラムなども実施されるなど、見どころ満載。
以上のようなプログラムを通じて、実験的な舞台芸術を鑑賞し、またそれを生み出す環境やそこから社会に派生する出来事についても共に思考する場をひらいていくことで、フェスティバルと人々の間に交感しあう、新たな関係性を築くことを目指していくそう。
本フェスティバルの共同ディレクターは、次のように述べています。
KYOTO EXPERIMENTは、文字通り京都という街において実験的な舞台芸術を紹介するフェスティバルです。「実験的」とはどういうことなのか、京都という都市において実験的表現を創作し共有していくことにどんな意味があるのか。共同ディレクションの始点からこれらの問いを持ち続ける中で、社会の様相も変化を遂げていきました。国内においても国際的な社会においても、他者に対する非寛容性や分断、経済格差、環境危機など、グローバリゼーションがもたらす負の側面ともいえる諸問題が叫ばれる中で、なぜ「実験的」表現を国際舞台芸術祭という場で追求していくべきなのか。こうしたことを考える中で、ますます分裂し、また二極化していく世界においては、KYOTO EXPERIMENTという国際性と創造性を有するプラットフォームからこそ、何かと何かの間、未知やわからないこと、曖昧さ、つまりそうした実験的表現に焦点を当て、生み出していくことが重要ではないかと考えるようになりました。
(中略)実験的表現は、ひとつの形を規定するのではなく、常に変化を続けていくものでしょう。まさにその変化し続ける表現のあり方こそ、「いま」を規定することなく複数の形で具現化しながら、未来に向けてさらなる変容を続ける可能性を秘めているものだと信じます。その変容のプロセスにみなさんと共に参加していくことこそ、このフェスティバルの目的であり、これからの新たな挑戦を共有し、共にエクスペリメンタルな日々を過ごすことを楽しみにしています。
ぜひ、実験的な舞台芸術を体感して、鑑賞体験だけにとどまらない対話を感じてみてはいかがでしょうか? コロナ対策に万全を期して開催されるので、安心して楽しめます。新たな価値観が提示される本フェスティバルを通じて、思考のしなやかさを得て、思考の領域を広げてみてください。
開催概要
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会 期:2021年2月6日(土)~3月28日(日)
会 場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都伝統産業ミュージアム、京都府立府民ホール“アルティ”、mumokuteki ホール 他
*2021年1月8日(金)11:00よりチケット発売開始
※詳細や最新情報はこちらからご確認いただけます。