辰野登恵子 オン・ペーパーズ

ARTLOGUE 編集部2018/10/13(土) - 11:38 に投稿

1950 年に長野県岡谷市に生まれ、東京藝術大学に学んだ辰野登恵子は、1970 年代にドット(点)やグリッド(格子)、ストライプなどの規則的なパターンを用いて、理知的で抑制された表現の版画を発表し、若くして注目を集めました。
ほどなく制作の中心を油彩に移し、豊潤な色彩で有機的な形象を描く独自の抽象表現を追求、2014 年に亡くなるまで、自らの絵画を深化させ続けました。

大型の油彩が高く評価された辰野ですが、この展覧会では版画やドローイングなど紙の上の表現に光を当て、辰野の画業を再検証します。
初期のシルクスクリーンによるコンセプチュアルな版画に始まり、油彩の制作を本格的に開始したのちも、辰野はそれと並行してエッチングや木版、リトグラフなどさまざまな版種による版画の制作に取り組んでいます。
油彩での試みを版画で追体験し、あるいは版での成果を油彩に反映させる制作によってもたらされた、油彩と版画の豊かな並行関係は特筆すべきことです。
また、油絵具やパステルによる大型のドローイングは、単に油彩のためのエスキースにとどまらない、画家にとって重要な実験の場となっていたことも窺えます。

紙の仕事を傍らに、辰野登恵子の絵画をとらえなおすこと。
これまでまとまった展観の機会が限られていた紙の仕事を中心に、油彩 30 点を含む約 220 点の作品で 40 年余りの軌跡を振り返るこの展覧会が、辰野の画業のクロノロジーに新たな視座を与えてくれるはずです。

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辰野登恵子 オン・ペーパーズ
展覧会ジャンル
展覧会
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