連載「ARTS ECONOMICS(アーツエコノミクス)」はARTLOGUEが提唱する文化芸術を中心とした新しい経済圏である ARTS ECONOMICS の担い手や、支援者などの活動を紹介する企画です。
アーティストや文化芸術従事者のみならず、ビジネスパーソン、政治家など幅広く紹介し、様々に展開されている ARTS ECONOMICS 活動を点ではなく面として見せることでムーブメントを創出します。
ARTS ECONOMICS バックナンバー
第一回 アートは ”人間のあたりまえの営み” マネックス 松本大が語るアートの価値とは…
第二回 リーディング美術館の提言をしたのは私だ。参議院議員 二之湯武史の描くビジョンとは
第三回 生粋のアートラバー議員 上田光夫の進める街づくり、国づくりとは
第四回 チームラボ 猪子寿之。アートは生存戦略。人間は遺伝子レベルで最も遠い花を愛でたことで滅ばなかった。
第五回 スマイルズ遠山正道。アートはビジネスではないが、ビジネスはアートに似ている。「誰もが生産の連続の中に生きている」の意味するもの。
アートは ”人間のあたりまえの営み” マネックス 松本大が語るアートの価値とは。 幼少期から現在までのアートとの関わりを聞きました。
史上最年少で外資系金融機関のゼネラルパートナーに就任、半年後の上場益獲得の権利を辞して、オンライン証券会社草分けのマネックス証券株式会社を立ち上げた松本大氏。
実は幼少期からモノクロフィルムの現像をしていたり、足繁くアートを観に行ったりと、知る人ぞ知る生粋のアートラバーでもあります。常に一歩先の未来を見つめ、革新的な挑戦を続ける松本氏にとってのアートとは。
マネックス証券が、社員啓発活動並びに現代アートの分野で活動する新進気鋭のアーティストを支援する目的で毎年開催している公募プログラム、「ART IN THE OFFICE」や、そこに込められたアートへの思いなど、大いに語っていただきました。
松本大少年は幼稚園時代からモノクロフィルムの現像をしていた
鈴木:松本さんは幼少の頃からモノクロフィルムを現像していたとお聞きしたのですが、アートとの出会いを教えてください。
松本:写真は好きで幼稚園生くらいの頃から、沢山撮り始めていました。親父が写真好きだったので、その影響で幼稚園生の頃からダークバック(暗室以外の場所で現像するのに必要な袋状の簡易暗室)の中に手を突っ込んでモノクロフィルムの現像していました。どちらかというとアートというよりも、現像液を作ったり、温度を測ったりと科学として面白かった思い出があります。
アートとの出会いは親父がアート好きで、美術館に連れて行かれることが多かったので、それでなんとなく観ていたという感じじゃないかな。
写真もアートの一つと言えばそうで、写真を撮っていると、やっぱり構図とか気になるし、親父が出版社勤務だったこともあって、家にも本や写真雑誌なんかもあったね。
家にあった写真雑誌を見ていると、昔のフランス人写真家の写真や、ロベール・ドアノーの写真が特集としてたまに載っていたりして「なんかいいな」というのがありました。中学生か高校生くらいの頃、確か出光美術館が学生の入館料が200円ぐらいでした。館内の皇居寄りの場所にラウンジがあってサービスで紅茶が飲めるし、涼しいのでよく行っていました。
出光美術館には、宋の時代の青白磁とか、中国の牧谿(もっけい)の掛け軸などが展示されていて、とにかくいろいろなものを観ていました。そういったものをまんべんなく観ていく内に、だんだんアートに親しんでいったという感じですね。
出光美術館に所蔵されている、伝牧谿《平沙落雁図》(重要文化財)
鈴木:最初に使われたカメラを覚えてらっしゃいますか?
松本:日本製のものだったと思う。昔は今と違ってカメラメーカーが沢山あったから、どこのメーカーだったのか覚えていないなぁ。形は覚えているんだけど。中学からはずっとニコンの一眼レフで撮っていました。
鈴木:今もニコンですか?
松本:フィルムカメラは全部ニコンでレンズも買い揃えています。最近はISO が40万9600 もあるソニーの「α7S」 にズームレンズをつけて使っています。ソニーはやっぱり機械を作るのが上手。デザインがすごく格好よくて、性能もめちゃくちゃいいので、それを最近使っていますね。
でも、個人的にはズームレンズで被写体を大きく写すよりも、ズームのできない固定焦点レンズで、自分で歩いて近づいたり、場所を変えて画角を変えたり、被写体に応じてレンズを変えて撮るというのが好きではありますね。
[caption id="attachment_22130" align="aligncenter" width="640"] 松本大さんも愛用しているソニー ミラーレス一眼 α7S ボディ[/caption]
写真芸術家の松江泰治に現像を教えたのは松本大だった
鈴木:中学校から大学までの同窓生に写真芸術家の松江泰治さんがおられたり、松本さんは高校では写真部の部長までされていたというお話ですけれども、松江さんとのご関係についても教えていただけますか?
松本:松江君とは中学1年生から一緒で、彼はずっと写真を撮っていました。でもフィルムの現像はプロラボに出していたので「外に任せるのはダサい」と、僕が、中学2年生の時に現像方法を教えてあげました。
僕は幼稚園生の頃から写真を撮っていたので、改めて写真部に入る発想はなかったです。家にアサヒカメラの現像、ラチチュード、構図、色温度など技術的なことを全て学ぶ事ができる写真の雑誌が全6~8巻あって、その雑誌から学んでいたので写真部に入る必要がなかったんです。
ところが高校1年生の時に、松江君から「このままだと俺が部長になる。部長は嫌だから、松本やってくれ」と頼まれて、仕方がなく写真部に入って部長をやりました。
鈴木:そのままお互い東京大学に入学されてからも、写真は続けていたのですか?
松本:僕は大学1年の時に少し活動をしたけど、酒を飲んで遊ぶのに忙しくなってしまって写真を撮る時間がなくなり止めちゃったという感じですね。松江君はその間もずっと撮り続けていて、「軍艦島=端島(Hashima)」を撮っていたのが1983年、大学1~2年の頃かな。
[caption id="attachment_22131" align="aligncenter" width="640"] 松江泰治が軍艦島=端島(Hashima)を撮り、松江本人がフィルム原版からデジタルリマスターした『Hashima』[/caption]
MoMA、メトロポリタン、ギャラリー街、ニューヨークはアート天国
鈴木:松本さんがニューヨークに居られた当時、アートと松本さんの関わりはどうでしたか?
松本:ニューヨークにいた頃はアート天国でした。メトロポリタン美術館があり、フリック・コレクションがあり、MoMA(ニューヨーク近代美術館)があり、グッゲンハイムだってある。絵画を中心にモダンアートをとにかく沢山観ていました。ソーホーに行くと、コンテンポラリーアートのギャラリーが立ち並んでいて、その時代に活動している無名の作家の作品を観る機会にも恵まれ、見識が広がった感じがしますね。
谷口吉生設計のMoMA(ニューヨーク近代美術館)新館 By hibino - Flickr, CC 表示 2.0,
日本にいる頃は、アートというよりはロベール・ドアノーや、マグナム・フォトのアンリ・カルティエ=ブレッソンみたいな報道写真やスナップ写真を多く観ていたり、陶磁器や絵画を鑑賞したり。一事が万事、僕はアートも音楽も雑食。あらゆるジャンルを観るし、聴いていますね。
鈴木:ニューヨークのビジネスパーソンは、一般的にアートに接する機会は多いのですか?
松本:それは本人次第。本人にその気があればニューヨークは本当にアート天国で、あらゆるアートも存在している。メトロポリタン美術館には世界に30数点しか現存しないと言われているフェルメールの作品が5点*もあるし、フリック・コレクションには3点*あって、ほんの少し歩くだけで貴重なフェルメールの作品がいつでも観られる(*いずれも当時の収蔵数)。
メトロポリタン美術館に所蔵されている、ヨハネス・フェルメール《水差しを持つ女》1662~63年頃
だから観る気になればいくらでもアートは観られる環境。でも果たしてビジネスパーソンがみんなアートに慣れ親しんでいるかというと、そうではなくて。本人が興味を持っているか次第だね。個人のアートへの関心というのは、家庭でアートに関連するような教育に触れていたかどうかの影響は大きいと思うけどね。
ウォールストリートの金融機関、例えばJ.P.Morganは元々ロックフェラーが作ったから、オフィスの廊下に、美術館に展示されているようなすごい絵画がある。コンテンポラリーアートなんかも案外オフィスに展示されていて、そういった意味ではビジネスパーソンの目にアートが触れやすい環境ですね。
株式会社という組織形態は株主に配当を出さなくちゃいけなかったり、アートを買うことへの理解を得るのがすごく難しい。だけど、昔のアメリカでは金融機関も弁護士事務所もパートナーシップの組織形態を取っている会社が多く、アートを買いやすかったという背景もあるかも知れないですね。パートナーシップというのは自分たちが持っている会社なので、アート好きがいると「アート置こうよ」「いいよ」みたいにすぐに買えてしまう。だから日本に比べると社内にアートも多いし、しかも洒落ている作品も多かったですね。
松本大がはじめた「ART IN THE OFFICE」にマネックス社員も総スカン
「ART IN THE OFFICE 2008」(第1回)作品 坂口恭平
《Dig-ital City(ディグ・アイタル・シティ)》2008年
コンセプト:キャンバスの上に油性ペンのみで描かれていく架空の都市
鈴木:「ART IN THE OFFICE」を始めた経緯を教えてください。
松本:20年前ぐらい前からコンテンポラリーアートのギャラリーが徐々に東京に増えてきて、みんな頑張っていました。当時、江東区佐賀町、永代橋の東岸近くに大正時代の古い「食糧ビルディング」というのがあって、中にはコンテンポラリーアートのギャラリーが多く入居していました。
2000年ごろ食糧ビルディングを壊すという話になり、一晩だけのパーティー、ガラナイトというイベントがあったんだよね。最後だからと言うことで、東京中のコンテンポラリーアートのギャラリーが一晩だけそこに作品を持ち込んだりして。今、ART IN THE OFFICEの運営協力をしていただいている塩見有子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長※以下「AIT」)などコンテンポラリーアート好きの仲間がガラナイトに集まって、食糧ビルディングの中庭で酒を飲んで大騒ぎしたの。それが本当に楽しかったんだよね。
食糧ビルディングの中庭 By Yuco, via Wikimedia Commons
当時は、仲間とアートを鑑賞した後に、誰かの家に集まって飲んだりしていて、どうしたらコンテンポラリーアートがもっと世の中に広まるかと、よく話をしていました。コンテンポラリーアートがもっとみんなの目に触れる機会を増やしたい、応援したいなという思いで色々支援もしていました。
そんな時、マネックスのオフィスが増床することになって。
このタイミングに合わせて、白い壁の円筒形のプレスルームをオフィスに作りました。プレスルームは取材を受ける部屋だから、ここに複数のグループ会社のロゴがあれば、僕の取材に来る時に背景を選択することで、違う会社の取材に使えると。しかしながら、湾曲した壁だったのでロゴがゆがんでしまうことに気が付いて断念しました。
そこで考えたのが、プレスルームにどういうアートを展開するかを公募して、公募で選んだアーティストに実際プレスルームで作品を創ってもらうという案。そうするとそこでアーティストと社員とのふれあいもできるし、作品が完成すると、今までアートとあまり接点のなかった金融系の記者が来てアート作品を観る。そうすることでアートと金融業界の接点もできる。
証券会社というのは、企業と投資家の間を取り持つ接点を提供する仕事なので、コンセプトが証券会社の生業にも関連しているところも面白いと思って。
「ART IN THE OFFICE 2009」(第2回)作品 松本力
《三囲(みめぐり)アニメーション だれもしらない映画
「何もしないことをおそれて 何もしないわけではない」》2009年
とは言え、いくら社長といえども、最初は社員の理解がなかなか得られず、社員はほとんど総スカン。「また社長が何かしているよ」という感じで全然駄目だったんだよね。「ART IN THE OFFICE」は毎年異なるメンバーの審査委員会を作って、議論と多数決を繰り返して受賞作品を選んできたので、作品のテイストは毎回変わるのだけど、毎年継続していく内に、「今年の作品、なかなかいいな」と少しずつ、「ART IN THE OFFICE」を理解してくれる社員が増えてきて。6年目くらいにようやく市民権を得た感じかな。社内で毎年開催している「ART IN THE OFFICE」受賞アーティストとのワークショップにも多くの社員が参加するようになり、11回目となる今回は、60人の社員が参加するまでになりました。
「ART IN THE OFFICE」のワークショップに参加するマネックス社員
鈴木:「ART IN THE OFFICE」には何名くらいのアーティストからの応募があるのですか?
「ART IN THE OFFICE」の応募総数は毎年80名~100名くらい。審査員5名で一日に3、4時間かけて審査します。各審査員が良い、と思ったアーティストを5名ずつ選び、次にその中から各自3名ずつ良いと思った作品を選び話し合う。それを繰り返して最終的に候補が5名くらい残ったところで「いっせいのせ」で、良いと思ったアーティストに指を指す。そうして完全に民主的に受賞作品を選出しているので、受賞作品の作風は、毎年ばらつきがあって、テイストも固定しないから「今年の作風は良いな」、といった感じに、社員が自分の好きな作品を見つけることができ、徐々に興味を持ってくれたんだと思いますね。
鈴木:「ART IN THE OFFICE 2018」受賞作家についてお聞かせください。
松本:作品を展示しているプレスルームには「GALAXY(ギャラクシー)」という名前が付けられているのですが、金子未弥さんの作品《見えない地図を想像してください》 からもギャラクシー、星座、ネットワークといったイメージが連想出来る。第二の創業を掲げている今のマネックスの世界観と作品がどこか通じるものがあり、これからのマネックスを先取りして語りかけているように思っています。
「ART IN THE OFFICE 2018」(第11回)作品 金子未弥
《見えない地図を想像してください》 2018年
鈴木:今後の展開は考えていらっしゃいますか?
松本:今年で「ART IN THE OFFICE」は11年目で、受賞作家も今年で11名です。毎年夏に「ART IN THE OFFICE」レセプションを開催していて、過去の受賞アーティストも毎年招待しています。レセプションを通じて、受賞アーティストの出会いの輪が広がり、ファミリーの様になり、「ART IN THE OFFICE」を軸としたコミュニティが形成されつつあります。いつか受賞アーティスト全員集合で同窓会のような展覧会も行ってみたいですね。とはいえ展覧会の開催はそんなに簡単ではないので、実施については今後考えていきます。これからも「ART IN THE OFFICE」は継続して行きます。
ART IN THE OFFICE 歴代作品
コレクションの趣味はなく、アートシーンの活性化を応援したい
鈴木:普段美術館やギャラリーにも足を運ばれていると思いますが、それ以外にアートやアーティストとどのような関わり方をなさっていますか?
松本:AITの塩見さんとETIC(NPO法人ETIC.)の宮城治男さんの二人に取締役に就いてもらっているボイジャー2号という小さい会社があります。3人で審査をして社会起業家やコンテンポラリーアーティストを選んでこっそり支援もしています。
松江君の作品も随分持っているけど、コレクション目的ではなく応援です。例えば松江君が空から青森県と秋田県を撮った《JP-02》、《JP-05》という110枚からなる写真シリーズがあります。 でも、ギャラリーもアーティストも売れるか分からないものって、なかなか現像出来ない。誰かが買わないとその110枚は全て現像されず、観ることも出来ないので、僕が買ったんです。
そのシリーズの青森県の写真は青森県立美術館に、秋田県の写真は東京国立近代美術館に寄託されています。今年はその松江君の作品が栃木県立美術館、広島県立美術館など4箇所の美術館で展示される予定です。
松江泰治《JP-05 12》2012年 44.7x56.3 cm © TAIJI MATSUE
鈴木:作品を購入されてもご自身でコレクションをするというよりも寄託されているんですね。
松本: 僕は所有欲がないのでコレクションの趣味はないのですよ。しかも110枚の作品なんて持っていても大変だから寄託できないと買えないです。ラッキーだったのはフレーム付きで作品を預かってくれたことです。これはすごく重要で、普通50枚の写真作品にもなると「フレームは外して中身だけにしましょう」という話になりがちですが、そうなると展示するのにもフレームを準備するコストがかかってしまい、作品が表に出る機会が減ってしまうのです。そこは本意ではないので。
鈴木:日頃はどのようにアートの情報を得ているのでしょうか?
松本: コンテンポラリーアートに限らず、古いクラシックなアートにおいても、やっぱり出会いだと思います。結局、美術館やギャラリーに行くしかないですね。昔の食糧ビルディングや六本木の芋洗坂を下りていったところにあった白いビルみたいな、今だと六本木にあるcomplex665のようにコンテンポラリーアートのギャラリーが密集してくれていると助かりますね。一箇所に集積していると目当てのギャラリーだけでなく、たまたま隣で開催されていた展覧会で面白い作家をみつけることもできるよね。
友達から「あれいいよ」など話を聞いて観に行く場合もあるし、ギャラリーから案内が沢山来るので、それをきっかけに足を運ぶ時もあります。先日も友達の結婚式のためにアムステルダムに行ったのですが、ついでにアムステルダム国立美術館に行ってレンブラントの《夜警》やフェルメールをみました。旅行をした際には美術館などはおさえるようにしていますね。
アートは” 人間のあたりまえの営み”で、あって自然なもの
鈴木: ARTLOGUEは、アーツエコノミクスという経済圏の概念を広げていきたいと思っています。経営者としてのビジョン形成やビジネス、経済にアートが影響しているとすれば何かありますか?
松本:僕は音楽が好きで車に乗っている時も、新幹線に乗っているときもずっと音楽を聴いています。ジャズが好きだけど音楽も雑食なので、クラシック、歌謡曲、ロックとなんでも聞きます。音楽が無い生活が考えにくいのと同じように、僕にとってアートが無い生活というのも考えられなくて、そこに尽きます。アートが経営に影響を与えるかは分からないけど、食事をしない生活や”垢”の無い人間が居ないのと同じ様に、アートのない生活もあり得ないです。逆に言うとアートのない環境というのは不自然だと思っています。
鈴木:松本さんにとってのスターアーティストはいらっしゃいますか?
松本:アートも雑食なので、古いものだとフェルメールも好きだし、ジャン・オノレ・フラゴナールやフランソワ・ブーシェなんかも好きですね。特に好きな絵は、ゴヤの《マヌエル・オソーリオ・マンリーケ・デ・スニガの肖像》。新しいものであれば、トーマス・ルフや松江泰治も好きだし、他にも色々あります。
検索して、フランシスコ・デ・ゴヤ《マヌエル・オソーリオ・マンリーケ・デ・スニガの肖像》1787~1788年 見せてくださる松本さん
フランシスコ・デ・ゴヤ《マヌエル・オソーリオ・マンリーケ・デ・スニガの肖像》1787~1788年
鈴木:最後にアートへの思いを聞かせて下さい。
松本:僕の通っていた高校は一応、美術、音楽、書道が用意されていたけど、完全にオプショナルで、高校3年生になるとそれらは選択しなくていいのです。 僕は絵が下手なので、美術を取ると点数が下がってしまうのですが、美術を選択しないというのは、リベラルアーツの観点から無いだろうというこだわりがあり、点数が下がるのを覚悟で選択していたのです。
さっきは少し照れもありアートを”垢”みたいと言いましたが、 自分の生活にアートが無いなんて考えにくいですね。
日本のコンテンポラリーアーティストの場合、すごくいいアーティストは沢山居るのに、あまりにも需要が足りない気がする。もっと世の中に知られてほしいと思います。
ARTLOGUEが是非ともムーブメントを起こしてください。
鈴木:ありがとうございます。我々もムーブメントを起こせるようにがんばります。
マネックス証券の「ART IN THE OFFICE」についてもっと知りたい方、また金子氏の作品を含む本年度プログラムの詳細、これまでの過去作品については、マネックス証券ウェブサイトからもチェック出来るそうです!
松本 大
1963年生まれ、埼玉県出身。1987年東京大学法学部卒業。ソロモン・ブラザーズを経て、1990年ゴールドマン・サックス入社、30歳で当時同社最年少のジェネラル・パートナー就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資でオンライン専業の株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。現在、マネックスグループ株式会社 取締役会長兼代表執行役社長 CEO、マネックス証券株式会社 代表取締役社長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカード(MasterCard Incorporated)、株式会社ユーザベースの社外取締役、Human Right Watchの国際理事会副会長を務める。
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第一回 アートは ”人間のあたりまえの営み” マネックス 松本大が語るアートの価値とは…
第二回 リーディング美術館の提言をしたのは私だ。参議院議員 二之湯武史の描くビジョンとは
第三回 生粋のアートラバー議員 上田光夫の進める街づくり、国づくりとは
第四回 チームラボ 猪子寿之。アートは生存戦略。人間は遺伝子レベルで最も遠い花を愛でたことで滅ばなかった。
関連記事
https://www.artlogue.org/art_in_the_office2018/
松本大さん寄託の松江泰治 《JP-05》も出展されている展覧会です。
https://www.artlogue.org/event/121/
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