荘司福・荘司貴和子展
本展では、92歳で没するまで人間や自然と真摯に向き合った荘司福と、若くして没したがゆえに広く知られることがなかった荘司貴和子の作品、あわせて約50点を紹介します。
日本における西洋美術のコレクションは今から百年ほど前、第一次世界大戦が終了した1910 年代の末に始まります。松方幸次郎、大原孫三郎、福島繁太郎といった人々が、日本の西洋美術コレクションの中核となる作品を収集したのがこの時期です。その後も日本人の西洋美術に対する情熱は衰えず、数々の優れたコレクションが形成され、現在に至っています。
石膏建材メーカーとして知られる吉野石膏株式会社は、1970年代から本格的に絵画の収集を開始し、2008年には吉野石膏美術振興財団を設立。コレクションのさらなる拡充と調査研究を推進してきました。そうして形成された西洋近代美術のコレクションは、質量ともに日本における歴代のコレクションに勝るとも劣らぬ内容を誇っています。現在、その多くは創業の地、山形県の山形美術館に寄託され、市民に親しまれています。
松本竣介没後70年を記念して、当美術館では、「松本竣介アトリエの時間」につづき、「松本竣介読書の時間」を開催します。 「アトリエの時間」では、画家がアトリエで過ごした時間に思いをはせながら、画家と作品(創作)との間を結びつけ、創作の内側を考察しました。 今回「読書の時間」では、大切に保管されてきた画家の蔵書に注目します。900冊を超える蔵書は、美術ばかりではなく、恩想、哲学、文学等、多岐にわたります。 松本竣介は、画家であり、読書家であり、愛書家であったといってもいいでしょう。 そして、今Hまで保存された蔵書全体は、昭和戦前、戦中期に育まれた市井の知性のひとつの集積であり、その時代の貴重な資料ともいえます。 本展では、これらの蔵書を、今日的な視点から見つめなおし、松本竣介という画家の創作と思想の形成を再考します。