岡村淳平

<アトリエ劇研提携公演> N₂ Tab.2 - 書き言葉と話し言葉の物性を表在化する試み 『火入れの群』- He returns to his sheep.

ARTLOGUE 編集部2017/05/26(金) - 00:43 に投稿

わたしたちの小さな火種は大きな波に浚われた――と、まだ言い続けなければならないだろうか。水平でなくなった海へ温存されるのは、メスの挿入を伴わない非侵襲的な公約であり、独り善がりの不正である。(戯曲『火入れの群』より)

――戯曲の「不全性」を前提とした上演への照明は、先天的な盲信に閉ざされたブラックボックスを暴露する。

上演のたびに更新される創作と上演『居坐りのひ』への従事を終え、2016年より始動した「書き言葉と話し言葉の物性を表在化する試み - Tab.(タブ)」の第二作目。個としての俳優をドキュメントした前作『水平と婉曲(すいへいとえんきょく)』に続き、集団の中にある個へ焦点を当てる『火入れの群(ひいれのむら)』。
第15回AAF戯曲賞にて「大賞の次点」であると高評価を受けた、劇作家・杉本奈月による最新作。夏で閉館となるアトリエ劇研にて、窒素の名を冠するN₂(エヌツー)よる二度目の京都公演。