アートとしての「アンティキテラ島の機械」
1世紀以上前に海底から引き揚げられた「アンティキテラ島の機械」は、古代ギリシアの技術力に対する現代人の認識を根底から覆す遺物でした。この機械に触発され、これまで多くの研究者やアーティストが、復元模型やアート作品を制作してきました。本稿では、そうした作品をいくつか紹介します。
アンティキテラ島の機械とは?
アンティキテラ島と聞いて、その場所をぱっと思い浮かべられる日本人は、ほとんどいないかと思います。これは、ギリシャ南部をかたちづくるペロポネソス半島最南端から、南へ100キロメートルほど沖合に位置する小さな島です。この島からさらに南へ100キロメートルほどのところにクレタ島があります。言い換えれば、アンティキテラ島は、ペロポネソス半島南端とクレタ島の中間地点にあることになります。上空から見た島の形状は菱形で、面積は約20平方キロメートル。東京都多摩市とほぼ同じ広さがありますが、人口は数十人ほどで、たまにフェリーが立ち寄る程度の僻遠の孤島です。大半のギリシャ人ですら、この島の場所を知りません。しかし、ある遺物の発見によって、一部の人たちによく知られるようになりました。
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