thinking tools. プロセスとしてのデザイン―モダンデザインのペンの誕生
©Christoph Niemann for C. Josef Lamy GmbH
ラミーデザイン50 周年を記念する
世界巡回展『thinking tools 展』
ドイツでの展示に続き、2018 年3 月3 日より開催
白隠禅師250年遠諱記念展 駿河の白隠さん
「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」と称えられた白隠慧鶴(はくいん えかく 1685~1768)禅師は、臨済禅の中興の祖で、特に禅の民衆化に努めたことで知られます。
白隠は、江戸時代中期、駿河国原宿(現・静岡県沼津市)の町屋に生まれるも、15歳で出家して原の松蔭寺に入り、諸国を行脚して飯山(現・長野県)で悟りを開き、32歳の時、請われて松蔭寺に帰り、これを復興。晩年は三島の龍澤寺を開山し、松蔭寺で84年の長寿を全うしました。
その間、特に60代後半以降(宝暦~明和期 1751~72)、達磨や観音、あるいは祖師のほか、様々な恰好の布袋や大黒をはじめとした七福神、親孝行などを説いた墨蹟や絵画を揮毫しました。宝暦・明和といえば江戸で錦絵が誕生し、京では白隠に参禅した池大雅や伊藤若冲が活躍した時代です。
本展は静岡の寺院や在家居士宅に伝来した白隠の書画を中心に、135件を一堂に会し、その画風の変遷や江戸絵画への影響を探るものです。江戸時代の社会における白隠、美術史的側面からみた白隠を改めて顕彰します。ご期待ください。
モダニストの日本美 石元泰博「桂」の系譜
石元泰博《桂離宮 新御殿外観南面部分》1981, 82年 国際交流基金蔵
©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center
三岸好太郎、ブルーノ・タウト、長谷川三郎・・・・
彼らは古い日本に最先端(モダン)を見た
サンフランシスコに生まれ、シカゴのインスティテュート・オヴ・デザイン(通称、ニュー・バウハウス)に学んだ写真家、石元泰博(いしもと・やすひろ1921-2012)は、1953、4年に桂離宮を撮影、1960年、建築家W・グロピウス、丹下健三との共著による写真集『KATSURA』を日米で出版し、内外から注目を集めました。これはモダニスト的な視点が日本の伝統美を捉えた代表的な作例と見なされます。
コレクション2 しかめっつら ドーミエ流パリっ子図鑑
1830年代後半からドーミエはいち早くパリの都市生活に取材し、人々の暮らしぶりを活写しました。“現代性(モデルニテ)”を帯びた一連の風俗諷刺画は、バルザックやボードレールといった文学者から称賛されたばかりでなく、リアリスム絵画の嚆矢となりドガやロートレック等後進の画家にも影響を与えました。
真実を捉える眼差しは、日々のニュースだけでなく人物描写にも遺憾なく発揮されます。当時文学の世界で流行した「生理学もの」にならい制作された連作《観相学画廊》(1836-37)や《パリっ子のタイプ》(1839-1843)では、パリっ子の様相や特徴をコード化するにとどまらず、動きや視線を交えて感情豊かに表現しています。そこにはよそ行きの顔ではなく、浮かれたり、眉をひそめたり、驚いては顔をしかめる素の表情が刻まれ、人間の本質そのものが照らし出されています。
─ ドーミエの笑いは率直にして闊達、彼の情け深さの徴(しるし)さながら輝き渡る─
ボードレールが讃えたこの言葉のとおり、彼が描く「しかめっつら」は、逞しい生命力に満ちあふれています。本展ではこうした人物表現に冴えを見せる風俗諷刺約110点を4つの連作を通して紹介します。醜さをも個性に変えてしまうドーミエの生き生きとした表現をご堪能ください。
永遠に、そしてふたたび
横溝静《Forever (and again)》、2003、ヴィデオ・インスタレーション
© Shizuka Yokomizo © GEIJUTSU SHINCHO photo: Tatsuro Hirose, Courtesy of Wako Works of Art
この度IZU PHOTO MUSEUMでは、当館のコレクション作品を中心とした企画展「永遠に、そしてふたたび」を開催いたします。私たちは日々、多くの人と出会い、ときに死をもって離別します。ひとりの生や死にかかわらず連綿と続く時間の流れに、私たちは抗うことができず無力感を抱くかもしれません。しかし人の心の奥底に深く刻まれた記憶は、ひとつの生命が途絶えても、残された人々に受け継がれ、新たな意味をもたらされながらふたたび生き続けます。流れ続ける時間のある一瞬の出来事をとらえる写真は、過去の集積を写し出し、記憶としての物語を観者にふたたび想起させるものでもあります。横溝静、野口里佳、川内倫子、長島有里枝、テリ・ワイフェンバックの5名の現代作家による作品は、時間と記憶のつながりや永続性について思考する手がかりを私たちに与えてくれることでしょう。
ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち
レギーナ・レラング《バルテ、パリ》1955年 Gift of Leon and Michaela Constantiner 2010.429
Münchner Stadtmuseum, Sammlung Fotografie, Archiv Relang
パリという魅力あふれる都市に生きる女性、パリジェンヌ。サロンを仕切る知的な女主人、子を慈しむ美しい母、流行を生み出すファッショニスタ、画家のミューズ、そして自ら道を切り開き才能を開花させた画家や女優―その多様な生き方は、今なお私たちを惹きつけてやみません。
本展覧会では、マネの《街の歌い手》をはじめ、ドガやルノワールなど印象派の巨匠が描いた女性の肖像、カサットやモリゾなど女性芸術家による傑作、カルダンやバレンシアガの斬新なドレスからブリジット・バルドーほか映画や舞台で活躍した女優のポートレートまで、ボストン美術館所蔵の多彩な作品約120点を通して、18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちの姿に迫ります。
(『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』ウェブサイトより)
ビルディング・ロマンス|現代譚(ばなし)を紡ぐ
飴屋法水 2017年 参考写真/ Norimizu Ameya 2017 reference photography
"ビルディング・ロマンス"とは、19世紀ヨーロッパの "成長譚(ビルドゥングス・ロマン)"から来た造語です。20世紀以降の芸術は、ロマン派以来の人間的な重さを逃れて、純粋な芸術を目指し、その分生と切り離された様式性に向かうようになりました。本展では、現代の美術から切り離された"物語"や"ロマン"を、再び現在の表現に探ることで、観客と展覧会の新たな結びつきを目指します。しかしそれは、国家や民族など大き過ぎるものを指向した、啓蒙主義時代の"ロマン"ではありません。本展は、家族や恋人、土地など、身近なものとの関わりの中から、現代における新たな"ロマン"を見出そうとするものです。日常と非日常、虚構と現実という枠を取り払えば、私たちの生きている世界自体が物語に満ちています。それらの作品は、芸術が本来持っていた呪術的な力を蘇らせて、現在では見えにくくなった人間性や地域に眠る物語を垣間見させるでしょう。
ポーラ ミュージアム アネックス展2018 – 無明と可視 –
岡田杏里「密林の声」2016年-素材:キャンバスにアクリル絵の具
若手芸術家によるグループ展が
ポーラ ミュージアム アネックスで開催
ポーラ ミュージアム アネックスで、前後期に分かれた展覧会「ポーラ ミュージアム アネックス展 2018」が開催される。前期の会期は2月23日から3月18日まで。
「ポーラ ミュージアム アネックス展」では、公益財団法人ポーラ美術振興財団での若手芸術家の在外研修に対する助成において、過去に採択されたアーティストの作品を展示。ポーラ美術館館長 木島俊介が監修し、前後期合わせて8人の若手アーティストの作品を紹介する。
前期の展覧会では「無明と可視」をテーマに、堀川すなお、牧田愛、松橋萌、岡田杏里が手掛けた作品が並ぶ。また、前期展の4人のアーティストは東京国際フォーラムで開催される「アートフェア東京2018」での出品も予定している。
交わるいと「あいだ」をひらく術として
伝統工芸から現代美術まで。
16組の多彩なアーティストが集い、
紡ぎだす糸・布の深い世界。
織物の大半は空気でできています。織物の質量のうち繊維が占める割合は通常20〜50%に過ぎず、繊維を撚って糸を紡ぐにも、糸と糸を交わらせて布を織るにも、そこには必ずすき間ができます。そのすき間、空間があるからこそ、布は薄く軽やかで、伸び縮みして丈夫で、あたたかくあることができるのです。糸と糸がどのように交わって、どのような形のすき間をつくるのかによって、布の布たる所以が生まれ、その性質や表情もできあがっていきます。