アート小説 『ラピスラズリの音色』 第2話「恋する男子とカフェ・ロワイヤル」
あれ? 光はどこだ? さっきまで隣にいたはずなのに。
徳田は絵画の前で並び順番通りに進んでいく人の列から外れると、周りを見渡した。
人込みの隙間から顎に手を添えた髭面の男と目が合う。ゴーギャンの自画像だ。挑発的な表情にも見えるが、寂しげで疲れ果てている中年の男の姿にも見える。徳田は睨みつけられているようで、いけ好かない男だなと思った。
- アート小説 『ラピスラズリの音色』 第2話「恋する男子とカフェ・ロワイヤル」 の続きを見る
- コメントを投稿するにはログインまたは登録をしてください