美術館

M@M開館記念展<br>君は『菫色のモナムール、其の他』を見たか?<br>—森村泰昌のもうひとつの1980年代—

ARTLOGUE 編集部2018/11/09(金) - 21:10 に投稿

森村泰昌が本格的に作品を発表し始めたのは、1980年代半ばのことでした。

本展では、初めてのセルフポートレイト作品による個展「菫色のモナムール、其の他」(1986年、ギャラリー白)の展示の再現にくわえ、モノクロの風景写真や、交通標識に扮した自画像、ボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》に倣った《男の誕生》など、滅多に見ることができない作家秘蔵の80年代作品約30点をご覧いただきます。

モリムラの初期作品の面白さが概観できるとともに、1980年代の日本の現代美術の知られざる動向を知る重要な手がかりになることでしょう。

■M@Mって何ですか?
エム・アット・エムと呼んでください。
美術家・森村泰昌の作品がいつでも見られる、スペシャルな美術館です。
フロア面積は400㎡。ふたつの展示室とライブラリー、サロン、ミニシアター、ショップがあり、それぞれの部屋にはモリムラによって名前がつけられています。

 

広河隆一写真展「戦場の子どもたち」<br>翻弄される命を見つめた 50 年の記録<br>パレスチナ、イラク、アフガニスタン、コンゴ、チェルノブイリ、福島

ARTLOGUE 編集部2018/11/08(木) - 18:53 に投稿

丸木美術館では、広河隆一写真展「戦場の子どもたち」が開催中です。1967年に中東の取材を始めて以来、2017年で50年を迎えたフォトジャーナリスト広河隆一の活動の軌跡をたどる写真展。彼は、人間の生存と尊厳が脅かされている場所を「人間の戦場」と呼び、そうした場所で生きる子どもたちの悲しみと喜びの姿を写してきました。 

2004年には、フォトジャーナリズム月刊誌DAYS JAPANを発刊。被ばくした子どもたちを支えるチェルノブイリ子ども基金や、福島の子どものための保養施設「沖縄・球美(くみ)の里」を設立するなど、ジャーナリズムの枠に多岐にわたる活動も続けています。 

そのDAYS JAPAN写真学校で写真を学び、世界報道写真賞「人々の部」の1位を受賞するなど、現在、国際的に活躍している1985年生まれの若き写真家・小原一真の[Exposure/ Everlasting -30年後の被曝に向き合うために-]も同期時に開催しています(11月25日まで)。

50年の歳月を重ねてきた写真家と、これからキャリアを積み上げていく写真家の邂逅という点も見どころです。ぜひ、この機会にご覧ください。 

小原一真写真展「Exposure/ Everlasting ー30年後の被曝に向き合うために」

ARTLOGUE 編集部2018/11/08(木) - 18:05 に投稿

戦争や核などの社会問題に対し独自の方法で表現活動を続ける写真家・小原一真が、チェルノブイリの今を見つめ、30年後の未来を考える特別展示を原爆の図丸木美術館で開催中です。チェルノブイリ原子力発電所事故は1986年に起きた世界最大の原子力事故と言われています。小原は2015年から2年間、延べ7ヶ月に渡り、ウクライナに滞在し二つの作品を制作しました。「Exposure」では、立ち入り禁止区域で発見された被曝した中判フィルムを用いて、事故直後に母親の胎内で被曝した女性、マリアの見えざる障害を描いています。4分から8分の長時間露光によって作られた抽象度の高いそれらの白黒写真は、目に見えない彼女の障害を見るための想像力を喚起し、「Everlasting」では、廃炉作業を担う作業員の通勤風景、そこで暮らす若者たちの恋愛、結婚、出産を記録しながら、世代を超えて永遠のように引き継がれていく原子力産業、そして、そこで生きていく人々を描き出しています。

草間彌生 - 近作版画を中心に-

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 15:30 に投稿

「アート」を凌駕し、ファッションやライフスタイルなど、「文化」という巨大な枠組みにおけるアイコンとして、日々私たちに驚きとパワーを与え続ける前衛芸術家、草間彌生。

反復し増殖するドットやネット、鮮麗な南瓜や花は、永遠のテーマである「命」や「愛」を雄弁に語るとともに、「孤独」や「強迫観念」との葛藤にもがく作家の姿をも同時に映し出しています。

このたび当館では、草間彌生が手がけた初の浮世絵版画《七色の富士》、《富士は心の故郷》、《わが心の富士はかたる》を展示いたします。

伝統ある木版画技法を用い、アクリル絵画が版画として新たに生まれ変わった《七色の富士》。
山頂付近から顔を出す太陽は、私たち、あるいは世界中のあらゆる万物に対して微笑みかけているかのようです。稜線が描く豊かな裾野や、穏やかにさざめく水面、富士山の背後からあふれ出る14,685個の水玉に至るまで、一つひとつ原画に忠実に彫り起こされています。

さまざまな恐怖に抗うため、ただひたすらに芸術に精魂を注ぐ。
迷いなくこう語る草間彌生は、90歳を目前とした今、絶えず七変化しながら私たちを魅了する日本の象徴「富士山」に自らを重ね合わせ、挑まずにはいられなかったのかもしれません。

荒川修作 - 超絶次元 ! -

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 15:22 に投稿

慎重に配置された直線や円弧、矢印、点などの図形。
その上に書き込まれた、ステンシル文字や筆記体によるテキスト。

荒川修作の作品に見られる「言語」は「形象」を説明するものではなく、また後者は前者の図解でもありません。
「文字」と「記号」が複雑に共存する「図式絵画」を前にした時、私たちはその仕掛けにしばしば困惑すると同時に、謎めいた意味を理解したいと願います。
そして、こうした鑑賞者の思索や参与ゆえに成立する作品こそ、作家が目指したものでした。

「=(イコール)」では結びつかない、「意味するもの」と「意味されるもの」。
パラドックスの果てに現れてくるものは、絵画の持つ二次元性や、私たちが生きる三次元空間を超越した、知覚やイメージが重層的に絡み合った多次元の芸術世界なのです。

平面作品やオブジェを出発点とした創作は、晩年に近づくにつれて、身体の知覚によって構築される「空間」を探求する建築プロジェクトへと発展していきました。

死はオールドファッションである。

海を渡った画家たち -時の共演-

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 14:55 に投稿

めまぐるしく流転する斬新な表現や、高値で作品が取引されるマーケットが賑わいを見せる世界のアート・シーン。

ここ日本でもすっかり「現代美術」という言葉が耳に馴染み、ハイ・カルチャーとサブ・カルチャーが入り混じるハイブリッドな様相は、海外からも熱い注目を集めています。
しかしその舞台の中心が、未だ欧米にあるのはなぜでしょうか。

「世界」と「日本」を隔てる壁は、さかのぼれば戦後を生きる画家たちの前にも同様にそびえ立っていました。海外へ一時的に渡航した作家らによってもたらされた西洋趣味への傾倒に拍車がかかっていた、当時の日本。
一方では、かりそめの流行に疑問を呈し、あえて異国の美術界の荒波へ身を投じた海外組や、彼らに刺激を受け、国内で独創性に富んだ作品を生み出した者も現れました。

不器用なほどひたむきに生きた画家たちの鬼気迫る作品群が、軽井沢現代美術館のコレクションの中心となっています。
当館の創設者・谷川憲正(東京・海画廊創業者)には、美術館の開館が実現した後にも描き続けたもうひとつの夢がありました。それは、私たちと同時代に生きるアーティストと、戦後美術の精鋭たちとのコラボレーション。

丸木位里・俊 ―《原爆の図》をよむ

ARTLOGUE 編集部2018/11/03(土) - 18:55 に投稿

水墨による独自の表現を探究していた広島出身の丸木位里(1901-95)と、女子美術専門学校で油彩画を学んだ北海道出身の俊(赤松俊子・1912-2000)は、1941年に結婚します。ふたりは1945年8月に原爆投下後の広島を訪れたのち、自らの体験と家族などから聞いた話をもとに《原爆の図》初期三部作である《第1部 幽霊》、《第2部 火》、《第3部 水》を制作しました。これらは報道規制が敷かれた1950年代初頭に日本全国を巡回し、いち早く人々に被爆の惨状を伝えたことで反核反戦の象徴となっていきます。《原爆の図》は、作品が担った社会的役割の大きさだけでなく、洋画家の俊による繊細な人体描写と、日本画家の位里による大胆な水墨技法が融合した表現である点においても希有な作品といえるでしょう。 本展では《原爆の図》より、初期三部作に加え、《第4部 虹》、《第5部 少年少女》とともに、《原爆の図》の需要が高まる全国巡回展中につくられた初期三部作の「再制作版」を同時にご覧いただきます。丸木位里と俊、それぞれがこれらの作品の前後に単独で制作した作品もあわせて紹介し、ふたりの画業の連続性のなかで、《原爆の図》にみられる絵画的表現の試みを読み解きます。
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Nomadic Rhapsody-“超移動社会”がもたらす新たな変容-

ARTLOGUE 編集部2018/11/02(金) - 21:17 に投稿

【本展イントロダクション】
文化は人々の移動によって生まれ、育まれてきました。大航海時代を経て欧州諸国の東南アジア進出により流行したシノワズリとロココの融合、植民地への旅が発想の種となったポスト印象派と様々な表現主義、亡命のために海を渡ったシュルレアリスム、アメリカ大陸を縦断したブルースやジャズ。建築文化もまた、長い歴史の中で人々の移動による交流が起こり、地域間で相互に影響を受け合ってきたと言えます。
デラシネの時代、コンピューターが生活の中心になり、世界への扉が身近になった一方で、地域の不平等や格差、言語多様性の衰退は広がり、地球温暖化、気候擾乱や大地の震えは人々の生活を脅かし、人災によっても人種や民族の離散が起こっています。海外、とりわけアジアと呼ばれる地域で個々に生じているさまざまな事象は、日本が抱えている課題と共通してはいないでしょうか。それらは互いに関連付けられないものでしょうか。建築模型を通じ、その共通点や関連性を是非ご自身の目で発見ください。

【本展の見どころ】
・ファッションデザイナーやアーティストとコラボを手がける小嶋伸也・小嶋綾香(小大建築設計事務所)による複数のプロジェクトを紹介。

鈴木幸永展 「遥かな動物Ⅱ」

ARTLOGUE 編集部2018/11/02(金) - 19:55 に投稿

伊勢現代美術館で2016年に開催、好評を博した鈴木幸永による展覧会の第二弾。新作約40点を展示する本展は、土壁に描かれた動物の絵画から成る「遥かな動物」、ミイラに仕立てた魚や昆虫、食物から成る「生命の再表象或いはEmber(残り火)」の2シリーズとインスタレーション作品で構成。「すべての動物への賛歌」を提示しながら、「生命とは何か」を観る者に問いかけます。

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開催概要
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会 場:伊勢現代美術館/本館 1F 展示室
会 期:2018年10月12日(金)~12月16日(日)
時 間:10:00~17:00
*入館は16:30まで
休 館:火・水
*祝日の場合は開館、翌平日休館
*臨時休館日:11月12日
料 金:一般 700円、学生(大高中)500円、小学生以下無料


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