観客の前で作品をつくる公開制作は、横尾忠則がしばしば行う制作方法の一つです。人に見られることでかえって余計な自我やこだわりが消え、無心状態で制作することができるという横尾にとって、公開制作は「描く」という肉体的行為を再認識するための格好の手段でした。
本展では、横尾がこれまでに公開制作で描いてきた作品を、映像・写真などの資料とともに紹介します。1980年代、画家へと転向したもののアトリエのなかった横尾が、制作できる場所を求めてやむなくとった手段が公開制作でした。しかし、人前で描くことで逆に迷いを捨てて集中できるという実感を得た横尾は、アトリエが完成した後も様々な場所で公開制作の機会を持つようになります。そして2000年、横尾の代表的シリーズとなる「Y字路」が描き始められると、以降、公開制作において「Y字路」は一つのフォーマットとして展開し、各地の美術館で開催される個展にあわせて、その土地にちなんだ"ご当地Y字路"が次々と生み出されていきました。そこではまた、横尾自身が仮装して制作するPCPPP(Public Costume Play Performance Painting)も行われるようになります。
横尾は公開制作を演劇にたとえています。舞台の上で起こる事件=創造の現場を固唾をのんで見つめる観客と、その熱気やエネルギーを創造=事件に利用する横尾。その間には、即興的でスリリングな共犯関係が成り立っているといえるでしょう。これら事件の現場を検証することで、横尾の制作に対する姿勢や創造のプロセス、その変遷を辿ります。
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開催概要
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会 期:2019年1月26日(土)~5月6日(月・振休)
会 場:横尾忠則現代美術館
時 間:10:00~18:00
*金・土曜日は20:00まで
*入場は閉館の30分前まで
休 館:月曜日
*ただし祝日・振替休日の場合は開館し、翌平日休館
料 金:一般700(550)円、大学生550(400)円、70歳以上350(250)円、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体および前売料金
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