ミヅマアートギャラリーでは10月24日(水)より、森淳一展「山影(さんえい)」を開催します。
2014年の「tetany」以来4年ぶりの個展となる本展は、久々の発表となる石彫に加え、木彫、油彩、陶と多様性に満ちた作品群で構成されます。
本展のタイトルでもある作品《山影》は、作家の故郷・長崎市の中心にある、金比羅山という山がモチーフとなっています。標高366mの穏やかな低山ですが、長崎の原爆投下時に多くの生死を分けた場所でもあります。
被爆者の中には、この山を越えて逃げようとし、山中で力尽きる人々が多くいました。一方、爆心地から山を挟んだ旧市街地では、原爆の爆風が遮られ、命を取り留めた人々もいたと言われています。
今回森淳一は、黒大理石を素材にこの金比羅山の制作に取りかかりました。制作の発端になったという、聖母子像の「ピエタ」。
なだらかな山の起伏が、キリストの亡骸を抱えたマリアが纏う布のドレープを連想させると同時に、森はその存在にピエタと似た神々しさを見出していました。さらに制作を進めるにつれ、俯瞰した石のドレープの下に、骨張った手足や、人間が蠢くような気配を感じとっていったと言います。
滑らかな黒い面の下の、壮絶な生と死、そして光と影。まさに現代のピエタと言えるかもしれません。
この山の麓で生まれ育った作家にとって、石を彫り進めていく過程は、慣れ親しんだ山中に一歩一歩、足を踏み入れて行くような感触に近いものだったと言います。
歴史の影に光を当て、作家自身の過去を辿った本作は、森淳一の新たな代表作となるでしょう。
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為は法律で禁止されています。
開催概要
----------------------------------------------------------
会 期:2018年10月24日(水)~11月24日(土)
会 場:ミヅマアートギャラリー
時 間:11:00〜19:00
休 廊:日・月・祝
WEB: http://mizuma-art.co.jp/