ギャラリー

森村泰昌<br>「私」の年代記 1985〜2018

ARTLOGUE 編集部2018/11/09(金) - 22:08 に投稿

森村芸術とは何か。

森村は⾃らを20世紀・昭和を出⾃とする⽇本の芸術家である、ということに⾃覚的です。⽇本は明治維新後は⻄洋⽂明・⽂化に影響を、太平洋戦争後はアメリカ⽂明・⽂化に影響を強く深く受けてきました。古くはそれは中国⽂明・⽂化でした。そうした⽇本の「古層」的な⽂明⽂化受容の精神構造を前提に、⾃らの芸術のあり⽅を追い求めてきました。そこには時代精神と歴史精神の両側⾯に⽴脚しようとする森村の決意・態度が伺えます。

森村芸術とは、⾃分ではない何かになる試みを続けながら、⾃分であることの意味を問い続ける営みの集積です。他者及び他者の芸術成果・歴史的事件に対する独⾃の分析を加えながら、⾃分の⾝体を⽤いて写真・映像・パフォーマンス表現をすることを考えれば、森村芸術とは、成果としての撮影作品だけではなく、実践としての現場もまた森村芸術の重要な⼀部を占める、と⾔ってもよいかもしれません。森村が作品において現場感の表出を⼤事にしているのはその表れです。

三瀬夏之介 × 辻村唯 二人展

ARTLOGUE 編集部2018/11/09(金) - 20:47 に投稿

今秋、イムラアートギャラリーでは、日本画家・三瀬夏之介(みせなつのすけ)と、陶芸家・辻村唯の二人展を開催します。

奈良に生まれた二人の同世代の作家は、絵画とやきものというそれぞれの分野において、自然が作り出す偶然性の芸術を作品の上に描き出しています。

三瀬夏之介は日本画の素材を用いることに徹して日本の風土を描き、その模糊としたダイナミックな構図のなかに、自身の記憶や現代的なモチーフを緻密に描き出します。「作品はいつか土に還ると思って制作しています」−そう語る三瀬は、例えば銅粉を混ぜたメディウムを用いて、作品を土に埋めて腐食させることで、絵画の中で緑青(ろくしょう)を生じさせ、まるで釉薬のような艶と色彩を作り出しています。

いっぽう辻村唯は、やきものの制作において一貫して「自然釉」と呼ばれる天然の釉を用いています。これは窯の中で起こる灰と土の化学反応から生まれ、表面に付着した灰やガラス質の緑青の釉により、人の手では作り出せない景色が描き出されています。窯から取り出されたばかりの溶けるような器体をした作品群は、彫刻作品然として、まるで生き物のような生命力を湛えています。

ジョーン・ジョナス「Simple Things」

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 21:01 に投稿

ジョナスは1936年にニューヨークに生まれて1960年代に活動を開始して以来、約60年間に渡りパフォーマンス・アートの可能性を追求し続けている女性アーティストです。日本への旅行でポータブルヴィデオカメラ(ポータパック)を購入した事を契機に、1970年代前半から本格的にニューメディアと身体表現との融合を実践してきました。

HOMMAGE

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 18:24 に投稿

Sansiao Galleryにて、2018年12月1(土)~2019年1月19日(土) 「HOMMAGE」を開催します。

ギャラリー所蔵のセカンダリー作品と、それらの作品または作家をオマージュして、現在活躍中の作家 7 人が独自の解釈で制作した作品を、一堂に展示する企画展です。 
歌川広重やクリスト、ジャクソン・ポロックなど美術館級の所蔵作品と、現代アート・デザイン・コミック等多方面で現在活躍中の作家らによる作品を、同時にお楽しみいただけるたいへん珍しい機会です。 ぜひ足をお運びください。
 
【展示/参加作家】 
(ギャラリー所蔵作品より) 
歌川広重、A.R. ペンク、ダミアン・ハースト、ジャクソン・ポロック、上田義彦、ニキ・ド・サンファル、クリスト(予定) 
(以上の作家・作品をオマージュした新作を発表) 
渡辺おさむ、Iain Londsdale、森洋史、岩岡純子、ネルノダイスキ、並木夏海、Law Ka-nam, Bosco
 

山本 優美「コロモガエ outgrow」

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 14:23 に投稿

山本優美はこの10年間、自身の思い出のこもった衣類や家族や友人が着ていた衣服を、柔らかい陶土に手作業で彫り込むことで写し変え、完全焼成したのちセラミック作品として完成させ発表して来ました。彼女の執拗なまでの観察眼と卓越した手わざは、柔らかくて軽いものをそのまま硬くて重いものに変える「逆転の一瞬」を表現することを可能にすると同時に、彼女自身が私たちが知るカメラとは全く別の、ある「写真装置」として存在していることを知らしめて来たとも言えるでしょう。

2017年の春、山本は初めての子供を出産し、現在は子育てに忙殺されながらも、現代美術家として精力的に制作し続けています。「母」としての生活は、当然のことながら彼女の中に新しいテーマをもたらし、昨年来制作された作品にその兆しが徐々に現れているように思えます。彼女自身が新しい「山本優美」を模索する姿は、過去の殻を一旦脱ぎ、あたかも羽化しようとする蝶にも重なります。今回の個展では、作家として、そして作品としてまさに今変化しつつある「衣」を潔く公開しようとしています。この機に是非ご覧ください。
 

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舘⿐則孝「Beyond the Vanishing Point」

ARTLOGUE 編集部2018/11/06(火) - 22:42 に投稿

KOSAKU KANECHIKAでは、10⽉20⽇より舘⿐則孝展「Beyond the Vanishing Point」が開催中です。2017年3⽉のギャラリーオープンに際する個展以来、KOSAKU KANECHIKAでは2回⽬の個展となります。

⼤学の卒業制作で発表し代表作となる「ヒールレスシューズ」がレディー・ガガの⽬にとまり、専属のシューメイカーとなったことで脚光を浴びた舘⿐則孝は、時代との相互関係で変化する⾃⾝を体現するような、多様な制作活動をしています。「古典と現代」を軸に、⽇本のアイデンティティ、⽂化的に価値のある部分と、現代の要素をコラボレーションさせることで、未来への道すじを表現します。
俯瞰的な視野と、詳細を徹底的に掘り下げる批判的視点の両⽅を持ち合わせた⾃⾝の思考を⽀えるキーワードとして、舘⿐は「消失点(Vanishing Point)」を今回の展覧会のタイトルとしました。舘⿐は以下のステートメントを寄せています。

篠田 守男個展「Tension and Compression」

ARTLOGUE 編集部2018/11/05(月) - 10:46 に投稿

この度、テヅカヤマギャラリーでは日本を代表する彫刻家、篠田守男の個展「Tension and Compression」を開催します。

篠田守男は1950年代後半から発表している女性や建造物のようにも見える抽象的なオブジェクトを複数のワイヤーで中空に吊るした金属彫刻で知られる日本を代表する彫刻家です。1966年に開催された第33回ヴェネチア・ビエンナーレでは日本館代表にも選出されており、87歳になった現在も精力的に国内外で活躍しています。

初個展から現在までの約60年間、テンション(張力)とコンプレッション(圧縮)を一貫したテーマに数多くの作品を発表しており、緊張感と浮遊感が一体となった独自の彫刻表現は日本だけでなく海外でも高い評価を得ています。

1972年に発行された書籍「快楽宣言」(南天子画廊刊)では、1960年代を過ごしたアメリカ時代について語るとともに、自身の作品について、次のように宣言しています。

積極的な快楽の取得か徹底的な禁欲のなかでのみ、ぼくの制作は成り立つのである。

「快楽」と「禁欲」という一見相反する要素は、篠田の作品テーマである「テンション&コンプレッション」にも通じる部分があると言えます。

タムラサトル個展「Point of Contact #7」

ARTLOGUE 編集部2018/11/04(日) - 23:11 に投稿

この度、テヅカヤマギャラリーではタムラサトルの個展「Point of Contact #7」を開催します。

シンボリックな文字や記号を形作りながら、チェーンが一定の速度で回転し続ける「Machine」シリーズ。ウレタン製の大小様々なワニの模型が高速回転する「スピンクロコダイル」。開放的で大げさなスイッチによって白熱灯が明滅を繰り返す「接点/ Point of Contact」シリーズなど、一貫して有用性・機能性を排した機械をモチーフとしたキネティック・アートを発表してきたタムラサトル。

今展では、昨年にドイツで開催された「International Light Art Award 2017」で大賞を受賞したタムラの代表作ともいえる「接点/ Point of Contact」シリーズより、大型作品の展示を予定しています。
 

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ミヒャエル・ゾーヴァ新作絵画展

ARTLOGUE 編集部2018/11/04(日) - 22:44 に投稿

この度メグミオギタギャラリーでは、3年ぶり第2回目となる、ミヒャエル・ゾーヴァの個展を開催します。
ミヒャエル・ゾーヴァは1945年にベルリンに生まれ、1992年、ヴィルヘルム・ブッシュ美術館でのグループ展「二つの世紀」での成功を機に画家としての本格的なキャリアをスタートさせました。

1995年に現代を的確に風刺した画家に与えられるオルフ・グルブランソン賞を受賞、1998年にはフランクフルトのオペラ座で『魔笛』の舞台美術を担当し、続く2001年にジャン・ピエール・ジュネ監督の映画『アメリ』で劇中に使われる絵とランプを制作したことで、世界中からの人気を誇ります。日本でも原画展や講演会、また絵本の挿絵などを通して多くのファンを持ちます。

ゾーヴァは一旦完成したように見える絵や、過去に発表された原画であっても手直しをし続けていく制作方法から、挿絵など出版時そのままの原画であっても同じ作品が既に存在しないケースが多いことで知られ、コマーシャルギャラリーで原画が販売される事は殆どありません。
また美術館などに展示する時のために身近なコレクターにのみ作品を販売しています。そのため、今回は奇跡的に展示・販売の機会を得た、大変貴重な展覧会であると言えます。

吉田稔郎:作品 1953 - 1963

ARTLOGUE 編集部2018/11/04(日) - 21:13 に投稿

この度ファーガス・マカフリー東京は、吉田稔郎(1928–1997)の個展を開催いたします。
戦後日本美術を代表する前衛グループのひとつ、具体美術協会の初期会員であった吉田ですが、本展覧会では具体美術協会の活動が特に活発だった時期にあたる1953年から1963年の間に制作された作品をご紹介いたします。
ファーガス・マカフリーの東京スペースで吉田稔郎の作品を展示するはじめての機会であり、12月22日までご覧いただけます。

 

〈吉田稔郎〉
1928年、神戸生まれ。吉田稔郎は、具体美術協会の創設者である吉原治良の父が経営していた油問屋(のちの吉原製油、現在のJ-オイルミルズ)で秘書兼デザイナーとして勤務しながら、吉原の西洋絵画に感化されるようになりました。その才能は具体美術協会設立前の1953年からすでに吉原の目にとまり、設立後もグループのなかで吉田は重要な役割を担うようになります。絵画とパフォーマンスが交差する領域での創造性を追求するよう吉原に助言を受け、白髪一雄、元永定正、田中敦子、嶋本昭三や村上三郎などの具体作家とともに実に表現豊かで独創性に富んだ作品を生み出します。