「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する現代美術家・内藤礼は、光、空気、風、水、重力といった無尽蔵な自然と、それらがもたらす色彩や音を受けとる私たち地上の生を、ひそやかな、それでいて確かな希望を放つかたちに昇華させた空間作品で、国内外より高い評価を得ています。また、内藤はこれまで、きんざ《このことを》(直島、2001年)、《母型》(豊島美術館、2010年)といった自然や建築空間と呼応するパーマネント作品を手がけ、またフランクフルトのカルメル会修道院(1997年)や東京都庭園美術館(2014年)といった歴史的な場所で展示を行ってきました。
国内において2014年以来の個展、かつ過去最大規模となる本展では、光を自身の作品における根源のひとつとしてきた内藤が、はじめて自然光のみによる、光と生命と芸術がけっして分別されえない「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出します。
内藤はあるとき、「地上の生の内にいる者(私)が、生の外に出て、他者の眼差しを持ち、生の内を眼差す無意識の働き」に気づき、「私たちは遠くから眼差され、慈悲を受けとっているのではないか」と感じるようになったといいます。本展は、一日を通して移り変わる豊かな自然光のもと、地上に生きる私たちと死者、生まれ来る者、動植物、精霊との交歓の場として、また永続する自然の動きと私たちとを貫く連続性を可感化する空間として立ち現れることでしょう。
内藤礼 略歴
内藤礼(ないとう・れい) 現代美術家
1961年広島県生まれ、東京在住。
1985年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。
1991年、佐賀町エキジビット・スペースで発表した「地上にひとつの場所を」で注目を集め、1997年には第47回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館にて同作品を展示。主な個展に1995年「みごとに晴れて訪れるを待て」(国立国際美術館)、1997年「Being Called」(カルメル会修道院、フランクフルト)、2009年「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」(神奈川県立近代美術館 鎌倉)、2014年「信の感情」(東京都庭園美術館)、2017年「信の感情」(パリ日本文化会館)、「Two Lives」(テルアビブ美術館)がある。
パーマネント作品に、直島・家プロジェクト・きんざ《このことを》(直島、2001年)、《母型》(豊島美術館、2010年)。
主な受賞に、日本現代藝術奨励賞(インスタレーション分野、1995年)、第一回アサヒビール芸術賞(2003年)。
■関連プログラム
キュレータートーク
本展企画担当学芸員が展覧会について話します。
日 時:8月25日(土)、9月15日(土)各日14:00~15:00
会 場:現代美術ギャラリー
料 金:無料(展覧会入場料に含まれます)
※参加ご希望の方はギャラリー入口にお集まりください。
■展覧会関連 教育プログラム
ウィークエンド・ギャラリートーク
市民ボランティアCACギャラリートーカーとともに展覧会を鑑賞します。
日 時:8月18日(土)~10月7日(日) 毎週土・日曜日 各日14:30~(約40分)
※ただし8月25日(土)、9月15日(土)、9月16日(日)は除く。料金は展覧会入場料に含まれます。
視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「セッション!」
全盲の白鳥建二さんをナビゲーターに、見える人と見えない人が一緒に展覧会を鑑賞するツアーです。
日 時:9月16日(日) 14:00~16:00
対 象:一般
定 員:5名(要電話申込・先着順)
参加費:1,000円(展覧会入場料を含む)
申込み:水戸芸術館現代美術センター Tel.029-227-8120
※視覚に障害のある方はお申込みの際にお知らせください。
視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「セッション!」
プレスクールプログラム
水戸市内の幼稚園、保育園の年長クラスを対象にした鑑賞ツアーと造形ワークショップのプログラム
を行います。鑑賞マナーと美術の楽しみを伝えます。
日 程:9月19日(水)~21日(金)、26日(水)、27日(木)
対 象:水戸市内の幼稚園、保育園、託児施設等の年長クラス
*申込方法等詳細はお問合せください。
*当日はギャラリーが園児たちで混雑する場合がございます。予めご了承ください。
■同時開催
クリテリオム94 北林加奈子
陶に軟質な素材を掛け合わせた彫刻シリーズ「肌」(2017年)で、有機的な存在感と手で触れるような皮膚感覚を呼び起こした北林加奈子(1990年生まれ)を紹介します。
会 期:7月28日(土)~10月8日(月・祝)
会 場:水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室
主 催:公益財団法人水戸市芸術振興財団
企 画:竹久侑(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)
※クリテリオムは、ラテン語で「基準」を意味し、若手作家の新作を中心に紹介
する企画展です。
※料金は展覧会入場料に含まれます。
夏休みのアート体験!「こども・こらぼ・らぼ 2018」
アーティストや音楽家がワークショップを行います。今年は水戸芸術館以外の市内各所でも実施します。夏休みの思い出づくりに、お友だちやご家族でぜひご参加ください。
日 時:7月29日(日)、8月1日(水)、2日(木)、8日(水)、9日(木)、11日(土)、12日(日)
会 場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室ほか
対象・参加費:プログラムによって異なります
応募受付期間:7月1日(日)~5日(木)(応募者多数の場合は抽選)
※申込方法、参加費、プログラム等詳細はチラシ・ホームページ等をご覧ください。
株式会社アダストリア×現代美術センター みんなでつくろう!「大きな大きなまるイロワークショップ」
洋服の生地を利用して、みんなでひとつの直径4mの大きなマットを作ります。不要になった衣料品も回収します。
日 時:9月15日(土)、16日(日) 10:00~17:00(毎時00分から開催)
会 場:水戸芸術館回廊2階
※雨天時:水戸芸術館現代美術ギャラリーワークショップ室
講 師:井上唯(テキスタイルアーティスト)
対 象:どなたでも
※小さいお子様からシニアの方、障害のあるなしにかかわらずどなたでも参加できます
定 員:各回10名(先着順・要予約)
参加費:無料
※ファッションブランドを展開している㈱アダストリアとの共催事業です。
※申し込み方法、プログラム等詳細はチラシまたはホームページをご覧ください。
日比野克彦「HIBINO CUP」
アートとスポーツが一緒に楽しめる恒例のワークショップ。午前はチームごとに段ボールなどでゴールとボール、ユニフォームをつくり、午後にオリジナルのミニサッカーをして競い合います。親子やご
友人同士でお楽しみいただけます。
日 時:10月8日(月・祝) 10:00~17:00
※雨天の場合はプログラムを変更して開催
会 場:水戸芸術館広場
対 象:小学生以上
定 員:16チーム(先着順)
参加費:個人500円、グループ(5~7名まで)2,000円
※個人参加の方はこちらでチームを編成します。
※8名以上で参加ご希望の場合は、一人あたり200円を追加でいただきます。
申込方法:「HIBINO CUP」とタイトルをつけ、①チーム名、②プレイヤー人数、③代表者の電話番号を、atmcac@arttowermito.or.jpへEメールでお送りください。
※受付開始9月1日(土)
開催概要
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会 期:2018年7月28日(土)~10月8日(月・祝)
会 場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
時 間:7月28日~8月31日9:30~18:00(入場時間は17:30まで)、9月1日~10月8日9:30~17:00(入場時間は16:30まで)
休 館:月曜 ※ただし9月17日、9月24日(月・祝)は開館、9月18日、9月25日(火)は休館
入館料:一般900円、前売・団体(20名以上)700円、高校生以下・70歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料
※学生証、年齢のわかる身分証明書が必要です
※一年間有効フリーパス→「年間パス」2,000円
学生とシニアための特別割引デー「First Friday」
→学生証をお持ちの方と65歳~69歳の方は、毎月第一金曜日(8月3日、9月7日、10月5日)100円
内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える フォトギャラリー
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