絵画
夢見る力~空想大劇場
南桂子展 コト、コト。コトリ。
椿つれづれ
資生堂アートハウスにて、収蔵品の中から椿の花をモチーフにした絵画や工芸品、古美術による展覧会が開催されます。
椿は永い年月に亘って日本人に愛されてきた花樹で、古くは万葉集に詠まれ、花のみならず枝や葉、その実までが衣食住に結び付き、人々の生活と深くかかわってきました。わが国の風土に適応した椿は、野生種から栽培種までが広く国内に分布し、永く続く花期は花の少ない季節に人の心を和ませる、貴重な存在でもありました。また、四季を通じて艶やかな緑を保つ葉は不老につながり、さらには迎春や結縁を象徴する縁起の良い花として、さまざまな分野の美術品に採り上げられてきました。
今回の展覧会では、横山大観や山口蓬春、小村雪岱らによる日本画をはじめ、鳥海青児、林 武などの油彩、北村昭斎、十三代 今泉今右衛門、田村耕一らによる漆芸や陶芸に加え、資生堂企業資料館のコレクションから、椿百余種をさまざまな調度類と共に描いた『百椿図』(古写本・江戸時代)や、江戸時代に制作された、松椿蒔絵の化粧道具や調度類などを展示いたします。
若き日の川喜田半泥子
イケムラレイコ 土と星 Our Planet
コレクション展 モダンなフォルム
マリタ・リウリア展「Golden Age」
アートとリサーチの取り合わせ、文学的思考とビジュアルアーツの結びつき、テクノロジーへの飽くなき探求心、性差への問い。マリタ・リウリア(Marita Liulia)は、美術史上にないものを創造したいという情熱のもと、唯一無二の世界観を確立し、常にフィンランド現代美術界の第一線を走ってきました。時代に即した表現を試みる彼女の作品は、メディアアート、絵画、写真、インスタレーション、ステージパフォーマンス、ショートフィルム、書籍、ゲームなど広範に及びますが「境界を超えること(Crossing Boundaries)」が全ての作品に通底し、自身の内的世界を探る多様なテーマに挑んできました。1990年代には世界に先駆けメディアアート作品を発表し国際的に評価され、2000年以降彼女の創作はより精神世界に入り込み、生きるすべや宗教観に焦点を当てています。
エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し
両大戦間期と言われる1920~30年代のフランスでは、美術や、ファッション、宝飾、家具などの装飾に新しい美意識が生まれました。本展は、「アール・デコ」と呼ばれるこの時代の装飾スタイルにおける新しい時代感覚すなわち「モダン」の源の一つとして、「エキゾティック」な要素に着目したものです。
20世紀初め、ファッションに革命をおこしたポール・ポワレによる中近東やアジアを着想源とした衣服、1922年のツタンカーメン王墓の発見を機とするエジプトブームを反映したジュエリー、漆芸家の菅原精造に学んだジャン・デュナンの工芸品、あるいは東洋に倣った陶磁器など、アール・デコの作品では形、素材、技術の面において、非ヨーロッパ圏の芸術を応用した作例が見出されます。
この時代の異国は、夢見るものから自ら赴く場所へと変化していました。シトロエンによるアフリカ縦断・アジア横断クルージング、植民地での美術学校創設、留学奨励などにより現地に取材した芸術家たちが、ダイナミックな絵画、彫刻を生み出します。パリでは、アメリカの黒人歌手・ダンサーのジョセフィン・ベイカーの活躍や、1931年の「国際植民地博覧会」開催、珍しい動物がもたらされた動物園の人気など、エキゾティックで活力あるシーンが都市を賑わせました。