特別展「池大雅 天衣無縫の旅の画家」
国宝 十便十宜図のうち 池大雅筆 公益財団法人川端康成記念會(場面替えあり)
円山応挙や伊藤若冲など、個性派画家がしのぎを削った江戸時代中期の京都画壇。その活況のなかで、与謝蕪村とともに「南画の大成者」と並び称される
のが池大雅(1723~76)です。当時、日本でまだ充分には浸透していなかった中国絵画の新様式をもとに、それまでにない独自の画風を確立して一世を風靡しました。
その作品は、寡欲で恬淡、きわめて謙虚だったと伝えられる人柄を象徴するかのような、清新で衒いのない明るさに満ちています。天性の才ともいえる柔軟で芯の通った線描、みずみずしい色彩感覚、おおらかで雄大な空間表現…。江戸時代を彩る数多の画家のなかでも最も魅力的であり、かつ最も重要な画家の一人でありながら、大雅の回顧展は国内では長らく開催されておらず、近年ではむしろ海外において大規模な展覧会が行われ、大きな注目を集めました。