アートで浮遊散歩。<br>KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2017 <br>― 雅とモダンと春陽より ―
KYOTOGRAPHIE 2017でメイプルソープのオリジナルプリントが見られる、と期待を胸に出かけました。何年ぶりの再会でしょう。実は1988年、ニューヨークで、偶然、メイプルソープの回顧展に出会ったのです。人に連れられ、写真家の名前も知らなかった若年の私に、それはそれはショックでした。いえ、ショックだったかどうかさえわかりません。感情が真っ白になったまま、美術館をあとにしたような記憶があるのです。彼の写真を、どんな言葉で言い表せるでしょう。突き詰めて、突き詰めて、突き詰めてたどりつく美。色をそぎ落としたモノクロ写真で、なお引き立つ造形。あの写真を見てしまったときの気持ちを思い出せるだろうか……と、思いながら会場となっている誉田源兵衛へ向かいました。説明できないまま置き去りにした、あのまっ白な感情に出会いたいからです。
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