現代美術

猪瀬直哉「Blue」

ARTLOGUE 編集部2019/01/08(火) - 16:30 に投稿
基本的には自分の身の周りに起こる問題や様々な社会問題、環境問題を題材に絵画を描いている。絵画は言語を超えた存在であり、視覚情報により瞬時に全世界の人々と情報を共有できるツールである。

猪瀬直哉は、自然界とそこにおける人間の強欲な在りかた、それによって生み出される不調和な関係性を探求しています。細部まで精巧な風景と、抽象的な世界を、池絵の技術によってキャンバスに描き出します。彼の作品は私たちがどのように自然と向き合っているのかを問い、またポストモダニズムにおける絵画の役割、そしてそれがどのように変化しているかについて考察します。ロマン派における風景絵画や、マーク・ロスコやバーネット・ニューマンらの抽象絵画の色面構成に影響を受け、風景のダイナミズムをキャンバスに落とし込んでいます。

猪瀬にとって初の個展となる本展覧会では彼の原点とも言える「ブルー」をテーマに、新作と旧作を回顧展形式で展示します。緻密に描かれた初期の作品と、絵画的様式(ペインタリー)に挑戦する最新作に至るまで、絵画の持つあらゆる可能性を追求している本展覧会に是非足をお運びください。

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山口晃 「昼ぬ修羅」

ARTLOGUE 編集部2018/12/28(金) - 02:31 に投稿
伝統的な日本画の様式と現代的なモチーフを巧みに融合させ、ユーモアあふれた作品を次々と発表し、現代アートシーンで注目を集める画家・山口晃が、横浜能楽堂で個展を開催。 横浜能楽堂企画公演「風雅と無常-修羅能の世界」に併せ、「修羅」をテーマに絵画やインスタレーションを展示します。山口晃と能楽堂が作りだすこれまでにないコラボレーションをお楽しみください。

トム・サックス ティーセレモニー

ARTLOGUE 編集部2018/12/27(木) - 02:31 に投稿
ニューヨーク在住のトム・サックス(1966-)は、プラダのロゴで作られた便器、エルメスの包装紙によるマクドナルドのバリューセットなど、「手作り(ハンドメイド)の既製品(レディメイド)」とも評される奇抜な作品を制作し、世界各地で数多くの展覧会に参加。世界のスーパーブランドからも高く評価されています。 本展は、独自のまなざしで日本の文化に深いリスペクトを向けるトム・サックスがティーセレモニー(茶会、茶道)に本格的に取り組む展覧会です。外国人の彼の目に真新しく映る、楽しい日本の姿は、私たち日本人が見落としてきた価値観や世界観にあらためて気づかせてくれる貴重な機会となるでしょう。

岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟

ARTLOGUE 編集部2018/12/26(水) - 02:31 に投稿
1950年代に彗星のごとく登場した岡上淑子は、日本におけるシュルレアリスム運動を先導した瀧口修造に見出され、写真媒体を活用したフォトコラージュ作品によってその比類ない才能を開花させました。近年になり再注目されている同作家の活動は今や国際的な評価を得ており、現代のコラージュ作家たちにも多大な影響を与えつつあります。本展では、国内所蔵に加えて米国ヒューストン美術館の貴重な所蔵作品が、この度初めて日本へと里帰りいたします。新たな時代への息吹を感じさせるこのユニークな表現世界を、作家による詩篇や後に描かれたスケッチ、関連資料、京都服飾文化研究財団ご所蔵のドレスによる参考展示などとともにご紹介いたします。

横尾忠則 大公開制作劇場<br>〜本日、美術館で事件を起こす

ARTLOGUE 編集部2018/12/23(日) - 15:33 に投稿

観客の前で作品をつくる公開制作は、横尾忠則がしばしば行う制作方法の一つです。人に見られることでかえって余計な自我やこだわりが消え、無心状態で制作することができるという横尾にとって、公開制作は「描く」という肉体的行為を再認識するための格好の手段でした。

本展では、横尾がこれまでに公開制作で描いてきた作品を、映像・写真などの資料とともに紹介します。1980年代、画家へと転向したもののアトリエのなかった横尾が、制作できる場所を求めてやむなくとった手段が公開制作でした。しかし、人前で描くことで逆に迷いを捨てて集中できるという実感を得た横尾は、アトリエが完成した後も様々な場所で公開制作の機会を持つようになります。そして2000年、横尾の代表的シリーズとなる「Y字路」が描き始められると、以降、公開制作において「Y字路」は一つのフォーマットとして展開し、各地の美術館で開催される個展にあわせて、その土地にちなんだ"ご当地Y字路"が次々と生み出されていきました。そこではまた、横尾自身が仮装して制作するPCPPP(Public Costume Play Performance Painting)も行われるようになります。

Oh !マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー & ピーポー

ARTLOGUE 編集部2018/12/22(土) - 14:58 に投稿

20世紀のはじめから現代へと至る日本の美術作家の表現には、社会的な関心が色濃く表れたものも少なくありません。本展はそうした傾向を示す作品の中でも、特別な存在(ヒーロー、カリスマ、正義の味方)と無名の人々(公衆、民衆、群集)という対照的な人間のありかたに注目するものです。とりわけ大衆とも呼ばれる後者の存在は、どのようにその存在を可視化するのか、そしてどのようにして彼らとの間に連帯を築くことができるのかという切実な問いを表現者に投げかけてきました。ひとびとの集団=本展でピーポーと仮に呼ぶ存在が、立場や考え方によっていくらでも変化し、わかれていくものであるという事実は、その姿をとらえがたいものにもするでしょう。同展で注目する特別な存在=「ヒーロー」は、「ピーポー」が直面する困難やその願いを映し出す鏡としての、あるいはその存在に姿を与える触媒としての役割を担っています。

このような問題意識のもとに、同展では「ヒーロー」や「ピーポー」とは何かという問いに応えようとしてきた昭和と平成の時代に生まれた作品を5つのテーマに沿って見ていきます。さらにこれらのテーマとは別に、同時代の表現者による最新の実践もご紹介します。

クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime

ARTLOGUE 編集部2018/12/22(土) - 02:32 に投稿
クリスチャン・ボルタンスキー(1944年-)は、現代のフランスを代表するアーティストのひとりです。 1960年代後半より短編フィルムを発表し始めたボルタンスキーは、1970年代に入り、写真を積極的に用いるようになりました。 人が歩んできた歴史や文化人類学への関心を土台とし、写真やドキュメントとビスケット缶などの日用品を組み合わせることで、自己あるいは他者の記憶に関連する作品を多数制作し、注目を集めます。 1980年代に入り、明かりを用いたインスタレーションを手掛けるようになったボルタンスキーは、子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせて展示した「モニュメント」シリーズ(1985年-)で宗教的なテーマに取り組みます。 それを発展させた《シャス高校の祭壇》(1987年)は、1931年にウィーンの高校に在籍したユダヤ人の学生たちの顔写真を祭壇状に並べ、その写真を電球で照らすというものでした。 肖像写真を集めて展示する手法は、大量の死者の存在、具体的にはナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺とその犠牲者のイメージを想起させるものとして解釈され、大きな議論を呼びました。 第二次世界大戦期のユダヤ人の大虐殺は、ユダヤ系の父を持つボルタンスキー自身の問題とも結びつきます。 パリのグラン・パレの広大なスペースを生かし、大量の衣服を集積させた《ペルソンヌ》(2010年)など、その後もさまざまな手法によって、歴史や記憶、そして死や不在をテーマとした作品を発表します。 1970年代からドクメンタ(ドイツ・カッセル)やヴェネチア・ビエンナーレなどの現代美術国際展に招待され、活躍の場を世界各地に広げたボルタンスキーは、日本でも、越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭などで積極的に展示活動を行い、2016年には東京都庭園美術館で個展が開催されました。 国立国際美術館、国立新美術館、そして長崎県美術館の3館が共同で企画する本展は、ボルタンスキーの初期作品から最新作までを紹介する、国内初めての大規模な回顧展です。1970年代から近年までのボルタンスキーの様々な試みを振り返ると同時に、ボルタンスキー自身が「展覧会をひとつの作品として見せる」と語るように、作家自身が会場に合わせたインスタレーションを手掛けるという構想のもとに企画されました。 半世紀を超える作家活動を経て、いまなお、積極的に創造を続けるボルタンスキーの広大なる芸術世界を紹介いたします。

辰野登恵子展

ARTLOGUE 編集部2018/12/22(土) - 02:31 に投稿
辰野登恵子(1950-2014)は、1970年代にグリッド(格子)やストライプをモチーフとした版画作品で注目を集め、80年代以降は豊潤な色彩で有機的形象を描く独自の表現を追求した画家です。 なかでも大型の油彩作品は高い評価を得ていますが、多数のドローイングや様々な版種の版画の存在は、作家が広い視野に立ち抽象絵画の新たな可能性を模索し続けたこと、ときにこれら紙の仕事がその試行錯誤を牽引したことを窺わせます。 本展覧会では、これまでまとまった展観の機会が限られてきた紙の上の表現に光を当て、辰野の画業を再検証します。

5感+1つの感性 絵を見ておしゃべりしよう!

ARTLOGUE 編集部2018/12/21(金) - 14:47 に投稿

人間や動物の感覚機能をよく五感といい「、視覚」「嗅覚」「聴覚」「触覚」「味覚」の五つであるといいます。これらになぞらえた5つの部屋に加え、第六感の部屋として、 創造力を働かせて対話しながら鑑賞していただける部屋によって所蔵作品を紹介します。

最初の部屋は「視覚」。滝波重人、勝呂忠、木村一生の色彩豊かな抽象作品が展示の幕開けを飾ります。二番目の部屋は「嗅覚」。匂うがごとくに咲き誇る花や花器のとりどりの作品をお楽しみください。三番目は「聴覚」。風の音がそよぐような風景、ギターや楽器をもった人物など、作品から聴こえてくる音に耳を澄ませてみましょう。四番目は「触覚」です。この部屋では、昨年一月に亡くなった彫刻家で、大磯に長く住んだ保田春彦の金属彫刻を展示します。

五番目は「味覚」。身近な果実を描く作品は古来から存在し、作家は果実に豊かに実る豊穣の大地を感じ、崇高な造形の美や、大きな塊としての彫刻性を表現してきました。

土田泰子展<br>導~ Whereʼ s a will,thereʼ s a way

ARTLOGUE 編集部2018/12/21(金) - 14:08 に投稿

陽光の降り注ぐ高さ11メートルのテーマホールを舞台に、気鋭の現代アーティスト、土田泰子の展覧会を開催します。土田泰子(つちだひろこ、1985年福井県生まれ)は、名古屋芸術大学デザイン学部を卒業ののち、朝日現代クラフト展準グランプリ・阪急百貨店賞や、フランク・ミューラー・アート・グランプリ「求ム。創造の天才。」などに入賞を重ね、幅広く国内外で活躍しています。

土田作品をみて、われわれは3度驚きます。最初は、完璧につくりあげられた美しい造形に。さらに作品の素材が、無数の安全ピンやマドラー、温度計などの日用品であることに自らの常識をくつがえされるような驚きを感じます。3度目に、その素材やサイズ、パーツの個数にいたるまですべてに意味があり作家の深い洞察に基づいていることに驚くことでしょう。

土田作品は「コンセプチュアル・アート」に与すると評されます。アイデアやコンセプトを重視する方向性がそう感じさせるのでしょう。一方その天啓のように浮かぶアイデアの実現には、一つ一つの素材をつむいでいく気の遠くなるような時間と手仕事が必須となります。求道的ともいえる営みが醸すオーラとその芸術世界をご堪能ください。