人は、見事な美しさや完璧な美しさに、大きな感動を覚えます。しかしその一方で、きれいとは言いがたいもの、不格好で不完全なものに心惹かれることもあるでしょう。「へそまがりの心の働き」とでも言ったらよいでしょうか。
例えば、禅画に描かれた寒山拾得の二人は、不可解さで見る者を引きつけます。また、江戸時代の文人画ぶんじんがには、思わず「ヘタウマ?」と言いたくなるような作品があります。文人画ぶんじんがの世界では、あえて朴訥に描くことで、汚れのない無垢な心を表現できると考えられていたのです。
あるいは、徳川家光が描いた《兎図》はどうでしょうか。将軍や殿様が描いた絵には、ときおり見た人が「???」となるような、何と言い表せばよいか困ってしまうような「立派な」作品があります。描き手が超越した存在であることと、関係があるのかもしれません。更に近代にも、子供が描いた絵を手本にして「素朴」にのめり込む画家たちがいました。
この展覧会では、 中世の禅画から現代のヘタウマまで、 日本の美術史に点在する「へそまがりの心の働き」の成果をご覧いただきます。へそまがりの感性が生んだ、輝かしくも悩ましい作品の数々を眺めれば、日本美術のもう一つの何かが見えてくるかもしれません。
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開催概要
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会 期:2019年3月16日(土)~5月12日(日)
*会期中大幅な展示替えあり
・前期:3月16日(土)~4月14日(日)
・後期:4月16日(火)~5月12日(日)
会 場:府中市美術館
時 間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休 館:月曜日、5月7日(火)
*4月29日(月)、5月6日(月)は開館
料 金:一般700(560)円、高校生・大学生350(280)円、小学生・中学生150(120)円
*( )内は20名以上の団体料金。
*未就学児および障害者手帳等をお持ちの方は無料
*常設展も観覧可
*観覧券には2度目が半額になる割引券付き(本展1回限り有効)
■関連イベント
◯展覧会講座
へそまがり日本美術–「ゆるさ」から「苦さ」まで
日 時:2019年3月30日(土)14:00~(90分程度)
会 場:講座室
講 師:金子信久(府中市美術館学芸員)
料 金:無料
◯20分スライドレクチャー
日 時:毎週日曜日 14:00~
会 場:講座室
料 金:無料
◯子供向けイベント「へそまがり探検隊!」
展覧会を見ながら「探検隊ワークシート」のクイズに挑戦。
日 時:会期中随時
料 金:要観覧料
*府中市内の小中学生は、「府中っこ学びのパスポート」で入場可
*年齢制限なし(大人の方の参加も可)
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