レイモン・サヴィニャック(1907-2002)はフランスを代表するポスター作家です。《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/50 年)に代表されるように陽気でシンプルな彼の作品は、それまでの伝統だった装飾的な要素を排したことでポスターの様式を一新しました。「どのようにメッセージを届けるか」という永遠の課題に対して彼が出した答えは、商品に人や動物のモチーフを組み合わせ、明快な造形と色彩によって視覚的なインパクトを与えることでした。
さらに、彼が生まれ育ったパリに息づくユーモアとエスプリが加わり、人々を一瞬で虜にする不思議な魅力が生まれています。身近な食料品や日用品からシトロエンやダンロップ、ティファールなど実に多様な広告を担ってきたサヴィニャックのポスターは、パリにとどまらず世界中の人々に今日もなお愛され続けています。
同展覧会は、ポスターと合わせて原画や関連作品も展示することでサヴィニャックの仕事を多角的に捉えようと試みるものです。中でも、パリの街角を賑わせた巨大なポスター群は私たちに新鮮な驚きを与えてくれるでしょう。
そうした街中の様子を捉えたロベール・ドアノー(1912-1994)や木村伊兵衛(1901-1974)の写真からは、20世紀フランスという時代と場所の空気も伝わってきます。道行く人々の心を躍らせ、街を彩ったポスターの役割に思いを馳せながら、それらを魔術師のように操ったサヴィニャックの世界をご堪能ください。
開催期間
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上位美術館・ギャラリー
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展覧会ジャンル
展覧会
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