コレクションを核に 関西ゆかりのデモクラートの作家たち 泉茂・山中嘉一・吉田利次・吉原英雄
吉原英雄《きりきり舞い》1956年 石版 和歌山県立近代美術館蔵
「デモクラート美術家協会」は、1951年に画家の瑛九を中心として結成された美術グループです。既成の美術団体や画壇の権威主義を拒否し、一切の公募展に出品しないことを申し合わせ、自由と独立の精神による制作を目指して、当初10名の美術家たちが創立会員として参加しました。同会の特徴は、東京、大阪、宮崎と拠点が分散しており、参加者も画家のほか、デザイナー、写真家、評論家、舞踏家と幅広い領域に跨っていたことです。1957年に解散するまで、グループ展の開催や機関誌の発行といった同会の活動を創作の出発点として、後に内外で活躍する多くの美術家たちを輩出しました。
泉茂(1922-1995)は、同会の創立会員であり、関西における活動の中心的存在でした。1953年よりエッチング、1955年よりリトグラフの研究と制作にほぼ独学で取り組み、若い美術家たちに版画制作の機会を与える役割も果たしました。