コレクションを核に 関西ゆかりのデモクラートの作家たち 泉茂・山中嘉一・吉田利次・吉原英雄

ARTLOGUE 編集部2018/07/19(木) - 13:46 に投稿
吉原英雄《きりきり舞い》1956年 石版  和歌山県立近代美術館蔵

 

「デモクラート美術家協会」は、1951年に画家の瑛九を中心として結成された美術グループです。既成の美術団体や画壇の権威主義を拒否し、一切の公募展に出品しないことを申し合わせ、自由と独立の精神による制作を目指して、当初10名の美術家たちが創立会員として参加しました。同会の特徴は、東京、大阪、宮崎と拠点が分散しており、参加者も画家のほか、デザイナー、写真家、評論家、舞踏家と幅広い領域に跨っていたことです。1957年に解散するまで、グループ展の開催や機関誌の発行といった同会の活動を創作の出発点として、後に内外で活躍する多くの美術家たちを輩出しました。

泉茂(1922-1995)は、同会の創立会員であり、関西における活動の中心的存在でした。1953年よりエッチング、1955年よりリトグラフの研究と制作にほぼ独学で取り組み、若い美術家たちに版画制作の機会を与える役割も果たしました。

山中嘉一(1928-2013)は、1954年より同会へ参加。泉に影響を受けて、リトグラフを手掛けたひとりです。約3年間のリトグラフ制作の後、一旦絵画に戻り、約10年の歳月を経てシルクスクリーンと出合います。約30年間に亘るシルクスクリーンの制作活動は、後年1点制作のモノタイプへと移りました。

吉田利次(1916-1998)は、泉茂とともに同会の創立会員であり、55年まで在籍していました。52年には反戦美術家同盟の結成に参加、その後も安保闘争や三池炭鉱のストなどの社会的なテーマにより一貫して人間を描き続けた同会では異色の画家です。

吉原英雄(1931-2007)は1955年頃より同会へ参加。泉に影響を受けて、リトグラフ制作を始めたひとりです。当初は版画制作に批判的でしたが、泉と共にリトグラフ技法の開発に取り組み、エッチングとの併用による独自の表現を得、後年は京都市立芸術大学で版画教室を創設し、後進の育成に大きく寄与しました。

本展覧会は、関西を拠点として「デモクラート美術家協会」で活躍した泉茂、山中嘉一、吉田利次、吉原英雄ら4人の美術家に焦点を当て、1950年代以降の版画を中心とした約130作品と写真や出版物などの資料を前後期に分けて紹介します。また、近年当館へご遺族より寄贈された泉の初期銅版画の原版を初公開し、版画作品と併せて展示いたします。

 

■開催概要

会 期:2018年7月3日(火)~9月17日(月・祝)
*前期:2018年7月3日(火)~8月5日(日)
*後期:2018年8月7日(火)~9月17日(月・祝)
会 場:BBプラザ美術館
時 間:10:00~18:00
*入館は17:30まで
休 館:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
入館料:一般400(320)円、大学生以下無料、65歳以上の方半額
*()内は20名以上の団体料金
*7月7日(土)は開館記念日として入館無料


■トークイベント

テーマ:デモクラート 7年の歩みとその遺産
講 師:安來正博氏(やすぎ まさひろ・国立国際美術館 主任研究員)
日 時:2018年8月25日(土) 14:00~15:30
場 所:展示室
定 員:40名(先着順) 予約不要
料 金:無料(要展覧会チケット)


■ワークショップ

テーマ:絵を描くように版画を作ろう
講 師:東かおる氏(ひがし かおる・銅版画家)
日 時:2018年7月29日(日) 14:00~16:00
場 所:BBプラザ美術館前アトリウム
定 員:20名
料 金:500円
対 象:主に小学生
申 込:郵送
*締切:2018年7月13日(金)(当日消印有効)
*申込方法:名前(ふりがな)、年齢(学年)、郵便番号、住所、電話番号を明記の上、往復はがきにて送付。
*申込先:BBプラザ美術館 〒657-0845 兵庫県神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号
*応募者多数の場合は抽選



コレクションを核に 関西ゆかりのデモクラートの作家たち 泉茂・山中嘉一・吉田利次・吉原英雄

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為は法律で禁止されています。

開催期間
-
画像
コレクションを核に 関西ゆかりのデモクラートの作家たち 泉茂・山中嘉一・吉田利次・吉原英雄
アクセス数
60
0
60