伊藤若冲筆「達磨図」江戸時代 18世紀 絹本著色 一幅 MIHO MUSEUM蔵
太古の人々にとって、「色」は自然そのものでした。そして、「色」を何かに施すことは、自然のエネルギーをもってする呪術であり、象徴的な意味を加えることでした。やがて美を意識して彩色するようになりますが、「色」が今日のように、純粋に「彩る」ことのみを目的として使われるようになるのは、中世あるいは近世以降のことです。一方、現代の私たちは自然から離れた場所にいても、自然界で目にする以上に多彩な色に触れることができるようになりました。
赤と青は、古代世界においてはいずれも信仰と深く結びつき、“聖なる色”と捉えられてい
たようです。また、赤と青は、一般的にあらゆる色のなかで最も強いイメージがあるとされる2 色であると同時に、一方は動的で他方は静的であるなど、両極の側面を持つ色だとも言えます。
本展では、古代から近世における日本そして世界の美術品に表された赤と青を取り上げ、人々が古より「色」とどのように関わってきたかを考えます。さらに、夏休みスペシャル企画として、おとなもこどもも太古の世界へタイムスリップ!!現代の私たちが見失いかけている“色のエネルギー”を心で感じ取っていただけるよう、様々な体験コーナーやワークショップなどをご用意して皆様をお迎えいたします。
当館初!夏休み、大人も子ども楽しめる体験型展覧会
子ども連れでも美術館を楽しんでほしい。大人も童心に帰って美術品と親しんでほしい。そんな願いを込めた当館初の体験型展覧会です。MIHO MUSEUM コレクションから選りすぐりの世界の古代美術、中世・近世の日本美術を、子どもが大好きな2つの色、「赤」と「青」に分けて展示するという全く新しい試みです。
古くから呪術などに使われていた「赤」、鉱石の入手が難しく憧れの色だった「青」。どちらも信仰と結びつき、“聖なる色”とされてきました。人々が色を手に入れ、美術品に色づけを施した歴史を探っていきます。
伊藤若冲筆「達磨図」、修復によって明らかにされた裏彩色の「赤」
伊藤若冲は、高価な天然顔料を贅沢に使ったことで知られています。また、重ね塗りや裏彩色といった技法を駆使して、丹念に色を差していった作品が多く見られます。特に「赤」においては、若冲の執着とも言うべき入魂の跡が感じられる作品がありますが、その代表のひとつがこの「達磨図」だと言えましょう。今回の修復によって明らかにされた裏彩色による達磨禅師の真っ赤な僧衣がそれを裏付けています。それは、本展で紹介する、赤い顔料に込められた古代人の精神を引き継いでいるかのようです。
開催概要
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【会期】 2018年6月30日 - 2018年8月26日
【時間】 10:00~17:00(入館は16:00まで)
【会場】 MIHO MUSEUM北館
【休館】 月曜日 ※7月16日(月)は開館 7月17日(火)は休館
【料金】 大人1,100円 高校・大学生800円 小学生・中学生300円
【備考】 楽天チケットで入館券が購入できます。(大人のみ)http://r-t.jp/miho
赤と青のひ・み・つ 聖なる色のミステリー フォトギャラリー