<趣旨文>
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伊藤若冲(1716~1800)はその独創的な絵画様式で、それまでの京都画壇の常識を打ち破り、旧風革新と呼ばれる18世紀の新たな潮流を切り開きました。一方、以前は古代中世の宗教美術中心だった細見コレクションが、半世紀ほど前に、江戸時代絵画に覚醒する扉を開いたのも若冲でした。また、細見美術館での若冲との出会いが日本美術への入り口だったという方も少なくありません。
■はじまりは、伊藤若冲。
開館20周年を記念し、本展では館蔵の若冲作品全てを一堂に展示します。また俵屋宗達、尾形光琳、池大雅、浮田一惠、青木木米、冷泉為恭らの名品や風俗画など、細見コレクションを彩る江戸絵画の数々も花を添えます。若冲ワールドと江戸絵画の多彩な魅力をご満喫ください。
<展覧会のみどころ>
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■細見コレクションの全ての若冲を総覧!
若冲の初期作品「雪中雄鶏図」「糸瓜群虫図」から80歳台の最晩年の水墨画まで概観することができます。またおなじみの鶏図のほか、鼠・海老・仔犬といったいきもの・人物や花鳥などさまざまな画題が登場。さらに緻密な描写から激しい筆致による大胆な水墨表現まで、若冲の豊かな画技が繰り広げられます。
■プレ動植綵絵
当館の若冲コレクションに含まれる優れた初期作品の数々は、若冲を語る上で重要なポイントを提示しています。
「雪中雄鶏図」はまだ若冲が錦小路の青物問屋「桝屋」の主人だった30代半ばの作。商いに精を出しながら中国画の模写に研鑽を積んでいたころの作です。「糸瓜群虫図」も30代後半頃の制作。いずれも中国の花鳥図・群虫図・蔬菜図などを手本としながら、早くも若冲ならではのこだわりや独創的な描写が見出されます。このような「プレ動植綵絵」が若冲画の基盤となったことを実感していただけるでしょう。
■細見美術館の若冲コレクションの魅力
一般的な若冲のイメージは、「動植綵絵」に代表される濃彩で埋め尽くすように描いた著色画と思われます。一方で、実は若冲画において大きな割合を占めているのは水墨画です。鮮やかな色彩を駆使する傍ら、若冲は墨の濃淡や緩急をつけた筆遣いにも筆を揮い、まさに「墨に遊ぶ」心持ちで多くの水墨作品を手がけました。当館でも若冲コレクションの多くは水墨画となっており、中でも愛らしく、ユニークな表情で描かれた動物や禽鳥、人物像はまさに「細見好み」といえましょう。若冲の、温かみのある人柄が滲み出ているかのような作品。そうした水墨画に魅かれて若冲コレクションがふくらみを増していきました。
■細見コレクションの江戸絵画
若冲の蒐集とともに、細見コレクションが心血を注いできたジャンルのひとつに江戸時代絵画があります。王朝への憧れを込めた歌仙絵や年中行事図巻。街の賑わいや祭りを描く屏風など、京(みやこ)の雅俗を表わす作品の数々は、往時の京都の活気を今に伝えます。宗達、光琳らによる琳派、池大雅や青木木米などの文人画も交え、選び抜かれた江戸絵画の豊潤な世界をご鑑賞ください。
<開催概要>
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日時:2018年1月3日(水)~2月25日(日)10:00~18:00(※入館は17:30まで)
休館:毎週月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
会場:細見美術館
料金:一般:1,300円(1,200円)、学生:1,000円(900円)
※( )内は20名以上の団体料金
アクセス:阪急京都線・河原町駅下車。
市バス:31・32・201・202・203・206系統「東山二条・岡崎公園口」にて下車、東へ徒歩約3分
開館20周年記念展Ⅰ 細見コレクションの江戸絵画 「はじまりは、伊藤若冲」フォトギャラリー
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