藤本壮介 House NA(2011) Ⓒ Iwan Baan
■本展のポイント
…… テーマに分類して様々な視点から検証
日本の建築家56組による75件の日本の住宅建築を、400点を超す模型や手書きの図面、写真、映像などで紹介。時系列ではなく13のテーマに分類して展示することで、誰にとっても身近である家を時代性や社会性、立地環境や人と人とのつながりなど様々な視点から検証します。
…… 戦後に建築家が手がけた住宅に焦点
日本の住宅建築を成立させる条件が大きく変わった戦後に焦点をあて、建築家が手がけた住宅をこれまでにない規模で展示。現在に至るまでの、建築家による日本の家の数々をご覧いただけます。
…… 取り上げる主な建築家
青木淳、アトリエ・ワン、安藤忠雄、石山修武、伊東豊雄、乾久美子、菊竹清訓、隈研吾、坂本一成、篠原一男、白井晟一、清家清、妹島和世、丹下健三、西沢立衛、長谷川逸子、長谷川豪、藤井博巳、藤本壮介、藤森照信、山本理顕、吉阪隆正、吉村順三、アントニン・レーモンドなど、日本の建築史に名を刻む建築家たちの作品を一挙展示。
…… 展示室内には、中に入って体感できる実物大模型も
日本住宅建築の名作の一つで、ヴァルター・グロピウスに高く評価されたという逸話も残る《斎藤助教授の家》(清家清、1952 年、現存せず)の実物大の模型を、オリジナルの家具付きで制作します。
…… ローマとロンドンで大好評だった展覧会!
本展は、2016年にローマのMAXXI(マキシ)国立21世紀美術館で、2017年3月にロンドンのバービカン・センターで開催され好評を博しました。2017年は本展をはじめ、建築展が日本国内でも多数開催。建築への注目が高まる1年です。
■ なぜ 戦後の日本の家なのか?
日本の住宅建築におけるターニングポイントは、戦争の終わった1945 年。それまで都市部の人のほとんどは借家に住んでいましたが、一面が焦土と化し、住宅が圧倒的に不足する中、自ら土地を買って持ち家を建てることが、政策により推進されたのです。1950年には建築士法が施行され、多くの個人住宅が「建築家」によって設計されるようになりました。
欧米の多くの国では、建築家の仕事の中心は公共建築なのですが、日本の場合は、一人の建築家が、公共建築も個人住宅も手がけることが相当数あります。建築界で最も栄誉ある賞といわれるプリツカー賞の日本人受賞者が、多数の住宅建築を手がけているというのは、実は結構驚くべきポイントなのです。