版画を楽しむ

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:44 に投稿
当館では、日本人になじみの深い「版画」にテーマを絞り、作家においても技法においてもヴァリエーションに富んだ展覧会「版画を楽しむ木版・銅坂・リトグラフ・シルクスクリーン」を開催いたします。 版画は「板」を利用して制作する絵画で、同じ版を用いて複数の作品を刷ることができるのが大きな特徴です。技法的には木版画に代表される凸版、銅版画に代表される凹版、平版(リトグラフ)、孔版(シルクスクリーン)の四つに分類され、古くから世界各地で制作されてきました。 今回の展覧会では、多彩な技法を駆使して表現領域を広げてきた近現代の版画に焦点をあて、銅版画家として世界的に活躍した駒井哲郎や浜口陽三をはじめ、小村雪岱、高山辰雄ら日本画家、脇田和、中川一政ら洋画家、青木望肢などの現代美術家による作品をまじえた約70点を-堂に展示します。当会場で、現代版画の芳醇な世界をお楽しみください。

所蔵名品展 あおいとき

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:44 に投稿
当館では‟あお”を基調とした作品を数多く所蔵しています。今回その中から‟あお”で描かれた選りすぐリの作品を展示致します。 画家たちは、‟あお”をどのように表現しているのでしょうか?晴れ晴れと澄みきった空のような「青」、思わず顔があおざめてしまうような「蒼」、心の深淵を映したような「碧」など、‟あお“色にはさまざまな表情があります。 本展ではダリや、ミロ、コクトー、シーゴーなどの海外作家から難波田龍起や佐野ぬい、森秀雄、司修などの日本作家による珠玉の作品約50点を展示致します。 画家たちが描いたあおの世界、あおいときを心ゆくまでお楽しみください。

藪野健 時空散歩 江戸東京、そして東北

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:39 に投稿
時に変貌を遂げつつ一切を包み込み、場=トポスの記憶を刻む「町・都市」。本展は、半世紀に渡り、画家・藪野健が歩き見つめてきた東京、そして東日本大震災の前後に巡った東北を舞台に、「町・都市」との対話に注目するものです。展示される300点超の水彩画・デッサンと絵地図には、建築文化へ向かう藪野の洞察と敬慕が溢れ、景色と人々との出会いに触発された感性が響き合います。これら作品群は画家を語り部とした「町・都市」の物語であり、フィールドワークによる考現学的成果であり、画家が自在に「時空」を往来した軌跡です。 平成から新しい時代へ進む今、本展が多くの方にとって「時空」を越えた出会い、そして様々な記憶へ思いを馳せる機会になれば幸いです。

鈴木龍一郎 作品展 寓話 / RyUlysses(リュリシーズ)

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:39 に投稿
鈴木龍一郎氏は、大学卒業後にフリーランスの写真家となり、アジア各国や欧米の旅で撮影を続けて、1975年に「聖印度行」で太陽賞、2008年に写真集『オデッセイ』で日本写真協会賞、2010年に写真集『リュリシーズ』で土門拳賞を受賞し、現在も精力的に作品制作に取り組んでいます。 本展では、1970年代に日本国内で撮影した「寓話」(『オデッセイ』より)と、2000年代にアイルランドの首都ダブリンで撮影した「リュリシーズ」より選定した作品(すべてモノクロ)をご覧いただきます。 「寓話」は、6×6cmフォーマットのカメラを使って撮影されており、鈴木氏は「正方形の小さなファインダーを覗きながら夢を見ている感覚があり、フィルムを現像すると確たる一瞬の現実空間が記録されていて、常にその落差に驚かされた」といいます。大きな仮面を被って遊ぶ子ども、たそがれ時の看板に止まるカラスなど、日常に潜む幻惑が一編の詩のように浮かび上がります。 「リュリシーズ」は、24×65mmパノラマサイズで撮影されています。ジェイムズ・ジョイスの小説『ユリシーズ』の影を追い、ダブリン市街で過去と現在、生と死の境界を記録して歩きました。海岸、路地、ダブリンの人びと、彫像などをとらえた作品は、静謐さの中に惑乱と陶酔が香るようです。ジョイスが多彩な文体と綿密な構成で魂の彷徨を描いたように、錯綜する視線をパノラマで表現し、自らの新たな可能性を開いた作品です。タイトルが作者の名前「リュウイチロウ」と『ユリシーズ』をかけた言葉遊びからつけられたのも、ジョイスへのリスペクトからでしょう。 初期の撮影である「寓話」と最近のシリーズである「リュリシーズ」を合わせてご覧いただくことで、現実と夢幻が交錯する迷宮をさまよい続ける鈴木氏の作品世界をより深く感じていただけることでしょう。

草屋根と絵筆 向井潤吉のエッセイとともに

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:39 に投稿
戦後、1945年の晩秋から、失われゆく草屋根の民家を描き続けた画家・向井潤吉(1901-1995)。向井は、日本各地を巡る旅の体験を綴った文章も数多く残し、それらには、訪れた土地での風景や人々との一期一会が、飾り気のない言葉で、時にユーモアを交えて語られています。私たちはそこから、変貌する戦後日本の側面を見つめ続けた一人の画家のまなざしと、消え去っていく風景への深い愛惜の念を読み取ることができます。 2018年には、こうした旅の手記をはじめ、激動の20世紀とともに歩んだその人生における様々な回想などをまとめたエッセイ集、『草屋根と絵筆 画家向井潤吉のエッセイ』(国書刊行会)も刊行されました。 本展では、民家シリーズの代表作をはじめ、向井のエッセイと、それにかかわる絵画作品をあわせて展示します。向井潤吉が、それぞれの制作地で得た感慨をエッセイから読み取っていただき、その人となりにふれていただく機会になればと思います。

清川泰次 具象から抽象へのあゆみ

ARTLOGUE 編集部2019/03/27(水) - 02:39 に投稿
2019年は、画家・清川泰次(1919-2000)の生誕100年にあたります。清川泰次記念ギャラリーでは、今年度のふたつの展覧会を通じ、清川の約60年にわたる画業を2期に分けてご紹介します。 静岡県浜松市に生まれた清川泰次は、慶應義塾大学経済学部に進学し、在学中に独学で油絵を始めました。1940年代より二科展や読売アンデパンダン展等に出品していましたが、次第にそれまで描いていた具象表現に疑問を抱くようになり、自身の芸術を模索すべく1951年から3年間アメリカに渡ります。清川は、この渡米を機に本格的に抽象表現へ移行することを決め、その後は線と色面のみによる表現で、もののかたちを写すことに捉われない独自の芸術を探求しました。 第1期となる本展では、清川が画家として歩み始めた1940年代から60年代半ばまでの作品を展示します。画面から次第に具象的なかたちが消え、多様な線と色面を交錯させた表現へと移り変わっていく、清川のスタイルの変遷をご覧ください。