古美術

椿つれづれ

ARTLOGUE 編集部2018/12/11(火) - 19:55 に投稿

資生堂アートハウスにて、収蔵品の中から椿の花をモチーフにした絵画や工芸品、古美術による展覧会が開催されます。

椿は永い年月に亘って日本人に愛されてきた花樹で、古くは万葉集に詠まれ、花のみならず枝や葉、その実までが衣食住に結び付き、人々の生活と深くかかわってきました。わが国の風土に適応した椿は、野生種から栽培種までが広く国内に分布し、永く続く花期は花の少ない季節に人の心を和ませる、貴重な存在でもありました。また、四季を通じて艶やかな緑を保つ葉は不老につながり、さらには迎春や結縁を象徴する縁起の良い花として、さまざまな分野の美術品に採り上げられてきました。

今回の展覧会では、横山大観や山口蓬春、小村雪岱らによる日本画をはじめ、鳥海青児、林 武などの油彩、北村昭斎、十三代 今泉今右衛門、田村耕一らによる漆芸や陶芸に加え、資生堂企業資料館のコレクションから、椿百余種をさまざまな調度類と共に描いた『百椿図』(古写本・江戸時代)や、江戸時代に制作された、松椿蒔絵の化粧道具や調度類などを展示いたします。

企画展「鳥ノアト―手紙 紡ぐ言葉・伝える心―」

ARTLOGUE 編集部2018/12/11(火) - 13:39 に投稿
本展タイトル「鳥ノアト」とは、能筆で知られる後陽成天皇(1571~1617)筆の重要美術品「後陽成天皇宸館翰消息」の書中に出てくる、「鳥の足跡をみて文字が作られた」という中国の故事から転じた「文字や手紙」を意味する言葉です。 鳥ノアト(=手紙)は、書き手の思いや人柄を文字として記録した、まさに歴史の足跡ともいえるでしょう。本展では館蔵の手紙と、手紙にまつわる品々を通して人・歴史・文化を展観いたします。 室町時代、将軍家に仕えた石谷家に伝わった手紙を全3巻の巻子に仕立てた「石谷家文書」からは、織田信長の死に触れた「石谷光政・頼辰宛 近衛前久書状」(第1巻)。長宗我部元親と信長との息詰まる交渉を記録した「斎藤利三宛 長宗我部元親書状」(第2巻)、信長に先立つ権力者であった三好長慶の政権の話題がわかる「京淀当座宛 三好長慶書状」など、話題の「石谷家文書」全3巻を展示。(※第2巻は2月23日(土)より展示) また豊臣秀吉に仕えた利休の様子がうかがえる「千利休自筆書状」、橋慶喜(後の15代将軍徳川慶喜)が弟の第9代岡山藩主・池田茂政に宛てて、生麦事件などに言及した「池田茂政・松平余四麿宛 一橋慶喜書状」など歴史を記録した手紙や、天皇や女性の雅な手紙、さらに大名たちが交わした手紙もご覧いただきます。

特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」

ARTLOGUE 編集部2018/12/03(月) - 17:29 に投稿

特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」は、「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の一環として開催するもので、主催の東京国立博物館、文化庁が、宮内庁三の丸尚蔵館の協力を得て、日本美術の名品を選りすぐり紹介するものです。狩野永徳筆で、皇室ゆかりの名品である「唐獅子図屏風」と、永徳最晩年の名品で国宝の「檜図屏風」を、会期前半と後半に分けてそれぞれ公開するのに加えて、雪舟、尾形光琳、葛飾北斎らの名品を、一堂に紹介する展覧会となります。

<紡ぐプロジェクトとは>
皇室ゆかりの優品や国宝・重要文化財をはじめとする日本の美を、広く国内外へ、さらに未来へ紡ぐために、文化庁、宮内庁、読売新聞社が協力して進めていくプロジェクトです。

特別展覧会の開催に加え、フォーラムなど関連事業や、日本美術・文化の魅力を発信するポータルサイトの開設、文化財修理事業をプロジェクトの柱として実施します。貴重な文化財・美術品の公開を通じて得た収益の一部を修理に充てることで、文化財・美術品を後世に紡いでいくために欠かせない「保存、公開、修理」という一連のサイクルが永続する仕組みを作っていきます。

特別展「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」

ARTLOGUE 編集部2018/11/27(火) - 19:47 に投稿

歌川国芳(1797-1861)は、旺盛な好奇心と柔軟な発想、豊かな表現力を武器として、武者絵や戯画に新機軸を打ち出し、幕末にいたって浮世絵のさらなる活性化につなげた浮世絵師です。今日では「奇想の絵師」としてその人気は定着してきています。

親分肌の国芳を慕って多くの弟子が集いましたが、なかでも「最後の浮世絵師」と称される月岡芳年(1839-92)が特筆されます。国芳の奇想をよく受け継ぎ、さらに和洋の融合を推し進めた彼の作品は、近年再び高く評されるようになってきました。

本展では、国芳、芳年のほか、芳年とともに国芳門下の双璧とされた落合芳幾(おちあいよしいく)(1833-1904)などにもスポットを当て、国芳が切り開いたさまざまな新生面を弟子たちがいかに継承、変化させていったのかをたどってみる機会とします。人々の嗜好に合わせ最後まで新しい画題と表現に挑み続けた、国芳を領袖とする「芳ファミリー」の活躍をご覧ください。展示作品には残虐な絵も含まれます。ご用心!

発掘された日本列島 2018 新発見考古速報

ARTLOGUE 編集部2018/11/22(木) - 16:36 に投稿

日本列島では、毎年約8,000件の発掘調査が行われています。「発掘された日本列島 2018」展では、このうち近年発掘され成果がまとまった全国17の遺跡から546点にわたる資料を速報展示します。さらに、特集展示として全国の代表的な装飾古墳を取り上げます。古墳内部に表現された幾何学紋や器財・動物・人物等の文様は、古墳時代の死生観や葬送儀礼を知る上で極めて高い価値があります。この特集は、東日本大震災や平成28年に発生した熊本地震により装飾古墳が被災した事態を受け、装飾古墳の世界やその保護の取り組みを紹介するものです。

川崎でも、重要な遺跡が数多く発掘されています。現在の川崎市域には、かつて古代武蔵国の橘樹郡・多磨郡・都筑郡がありました。この三郡にはそれぞれ、橘樹郡に影向寺遺跡、多磨郡に菅寺尾台遺跡、都筑郡に岡上栗畑遺跡の古代仏教遺跡があります。瓦塔や「寺」と書かれた墨書土器(ぼくしょどき)などが「ムラ」の遺跡から出土し、また丘陵地帯には骨蔵器を用いた古墓群が造営されました。これは古代になって新しく出現した有力氏族の墓所と考えられます。本展では、これらの遺跡から発掘された資料から、古代寺院の成立とその後仏教が「ムラ」に浸透していく過程を描きだします。古代の川崎に華開いた、仏教文化をご観覧ください。

江戸から東京へ ~江戸城無血開城から東京の新たな幕開け~

ARTLOGUE 編集部2018/10/31(水) - 02:30 に投稿
明治維新以降、わが国は近代国家の建設を目指し、現代社会の基本的な形を築き上げていきました。平成30年は、明治維新150年後にあたり、改めて明治期を振り返り、将来につなげていくために、全国各地でさまざまな取り組みが実施されています。今回の展示では、幕末の黒船来航以来の幕末動乱から江戸城無血開城、鹿鳴館時代といわれた明治10年代までの時代をとりあげ、社会の変化や千代田区をはじめとする江戸から東京へと移り変わる街並みなどを紹介します。特に、江戸城無血開城に皇女和宮や天璋院篤姫が果たした役割など、今まであまり語られなかった明治維新も紹介します。

企画展 姿の美、衣装の美… 肉筆浮世絵

ARTLOGUE 編集部2018/10/27(土) - 02:30 に投稿

浮世絵は、現世肯定、現世亭受の価値観を背景として江戸時代前期に誕生しました。

浮世絵に先行する室町後期から江戸前期にかけての「近世初期風俗画」では、現世を楽しみ舞い踊る人々の姿が名所風俗図や遊楽図に描かれ、やがて舞踊する姿だけを取り上げて屏風絵の主題とした「舞踊図」や、さらには舞い姿・立ち姿などの美人画「寛文美人(かんぶんびじん)」が成立しました。

近世初期風俗画の「寛文美人」を受け継ぎ、浮世絵の代表的な主題のーつとなった美人画では、姿の美や衣装の美、時には物思いなどの感情が表現されました。江戸時代の人々の生活を彩った浮世絵美人画は、現在もなお私たちを魅了します。また、浮世絵師たちは同時代の人々の要求に応え、歌舞伎役者、故事・伝説など様々な主題を手がけました。それらの作品からは、当時の人々の関心の在処と共に、人生を享受する姿勢が伝わってきます。

2015年の浮世絵版画展に続き肉筆画(絵師が筆で描いた作品)を取り上げた今回の浮世絵展において、表現された美を楽しみ、それらを生んだ時代の積極的な人生観を感じていただければ幸いです。

※前後期で一部展示替え有り
前期:1/19~2/17
後期:2/19~3/17

日本刀の華 備前刀

ARTLOGUE 編集部2018/10/25(木) - 02:30 に投稿
本展では、静嘉堂の蔵刀より、重要文化財4振、重要美術品11振を含む有銘作約30振を精選し、「古備前」と呼ばれる初期の作風から、ー文字・長船・畠田・吉井・鵜飼など各派による作風の展開をたどっていきます。

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 世界文化遺産登録記念 クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし ―杉本博司と天正少年使節が見たヨーロッパ

ARTLOGUE 編集部2018/10/23(火) - 02:30 に投稿
世界的に活躍するアーティスト・杉本博司が、天正少年使節のイタリアでの足跡を追って撮影した新作シリーズを紹介する展覧会。杉本の「海景」や桃山~江戸時代の日本美術および天正少年使節関係史料も併せて展示します。杉本のまなざしは、私たちに少年たちの視覚経験を四世紀余の時を越えて鮮やかに追体験させてくれるでしょう。

川瀬忍 作陶 50 年の間 (ま)

ARTLOGUE 編集部2018/10/23(火) - 02:30 に投稿

本展は陶芸家、川瀬忍(かわせしのぶ/ 1950年~)の、作陶50年を記念する展覧会となります。

18歳より作陶の道に入った川瀬は、これまで個展を中心に、現代作家として自身の美意識を加味した独自の青磁を発表してきました。当館創立者の菊池智(1923-2016)は、川瀬が10代の頃より作品に注目し、仕事を見続けました。そうした縁により、当館では2011年に「川瀬忍の青磁―天青から 静かなる青へ」と題し初の展覧会を企画し、ご好評をいただきました。

この度は智美術館における二度目の個展として、改めて作家の半世紀にわたる活動を見渡しつつ、前回とは異なる視点を加えその創作の秘密に迫ります。これまでの発表作、未発表の最新作に加え、習作的な試みや、氏が憧憬する古美術等を当館の展示空間に自在に取り合わせ、その「間」に浮かび上がる作家の美意識や、創造性をご覧いただきます。

(会期中、展示替えの予定有り)