若林奮

空間に線を引く ― 彫刻とデッサン展

ARTLOGUE 編集部2019/03/05(火) - 02:33 に投稿
彫刻家は素材に働きかけ、何もない空間に作品を表します。彫刻を制作するにあたり、自身のイメージを定着させるためデッサンを描く場合があります。彼らが描いたデッサンは魅力に富んでおり、画家のデッサンにはない美しさがあリます。この美しさはどこから来るのでしょうか。 おおむね画家の絵は、三次元を二次元で表現します。一方、彫刻家のデッサンは二次元から三次元を目指します。対象が空問にどのように働きかけるかということが、常に彫刻家の念頭にあるからです。紙面は空間であり、いわば空間に線を引く感性です。これらの線は、対象の存在感、ものの粗密を表現しているように見えます。これを可能としているのは彫刻家の「手」(触覚)です。 彫刻家にとって、まず重要なのは触覚です。彫刻は視覚以前に触覚にうったえかける芸術です。彫刻家は触覚に導かれて作品を手がけます。彼らの手は描く以前に「触れる手」なのです。このような手によって描かれたデッサンはおのずと画家によるものとは異なります。彫刻家は空問から対象をすくい出すかのように描きます。描くことがすなわち触れることであり、視覚と触覚の連動があります。これが彫刻家のデッサンの特異な点です。そこには、画家のデッサンにはない様々な要素が見出せることでしょう。 本展はプロローグとして橋本平八から始め、具象、抽象の現代彫刻家19人のデッサンと、それに関連する彫刻を展示し、その魅力と創作の秘密に迫るものです。

言語と美術 ─平出隆と美術家たち

ARTLOGUE 編集部2018/10/28(日) - 21:21 に投稿

国際的ベストセラー小説『猫の客』で知られる詩人、平出隆(1950-)。 本展は、平出が「対話」を重ねてきた第一級の美術家たちとの長い歳月を軸に、美術作品に固有の思考や言語に光を当てるものです。

 

独自の概念「空中の本」を踏まえた会場構成は建築家・青木淳が担当。全長約12mの「透明梁」を用い、詩人と美術家たちが、あるいは言葉と形象が重力から解き放たれて交差する空間を現出させます。


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開催概要
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会 期:2018年10月6日(土)~2019年1月14日(月・祝)
会 場:DIC 川村記念美術館
時 間:9:30~17:00
*入館は16:30まで
休 館:月曜(12/24、1/14は開館)、年末年始(12/25(火)~1/1(火))
料 金:一般1,300円、学生・65歳以上1,100円、小中高600円

 

 

ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代

ARTLOGUE 編集部2018/10/13(土) - 11:38 に投稿
1980年代は、現代史の中でどのような時代に位置づけられるでしょうか。日本では、昭和から平成へと時代が変わり、バブル景気に沸く一方、大きな事件や事故、災害に見舞われた時代でした。また、20世紀末の混沌とした世界情勢の影響を受け、人々の感情や内面が激しく揺さぶられた10年でもありました。 美術は、時に時代を映し出す鏡の

ドローイング ―内なる水脈の解放―

ARTLOGUE 編集部2018/05/19(土) - 10:19 に投稿
麻生三郎 《窓》 1963年 色鉛筆、鉛筆、紙 29.4×37.1㎝ 武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

 

ドローイング ―内なる水脈の解放―

Drawing: Freeing the Interior Stream


このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では、展覧会「ドローイング ―内なる水脈の解放―」を開催いたします。 

当館では、2009年に開催した「ドローイング ―思考する手のちから」展を皮切りに、学生の教育・研究に資するため、ドローイングの収集に力を入れてきました。本展では、近年収蔵した作品を中心に、画家、彫刻家、建築家という、異なるジャンルの作家たちによるドローイングを紹介します。