2019年は横浜開港から160年となります。これまで横浜では折に触れ、開港当時を振り返ってきました。当時の人々の関心に応えるべく出版された「横浜浮世絵」は開港当時を物語る資料の一つです。「横浜浮世絵」とは開港をきっかけとして新しく造られていった横浜の街、来日した外国人たちの自分たちとは異なる容姿や生活を描いた浮世絵にはじまり、明治期に、さらに洋風に整備されていった街や鉄道などを描いて出版された一連の作品群を指します。描かれた表現がすべて事実というわけではありませんが、当時の人々の旺盛な好奇心に応えて描かれた表現は、国際都市横浜のイメージの原点といえます。
この展覧会では開港160年を機に神奈川県立歴史博物館と川崎・砂子の里資料館の所蔵作品を中心に横浜浮世絵を紹介します。当館において横浜浮世絵の特別展は20年ぶりの開催です。約330点の作品を前期、後期で入れ替えて、「横浜浮世絵」の全容をご覧いただきます。さらに開港の場であった横浜の歴史を後世に伝えようとする二人のコレクター、当館の丹波恒夫と川崎・砂子の里資料館の斎藤文夫の心意気をも感じ取っていただければ幸いです。