北川フラム

瀬戸内国際芸術祭 2019

ARTLOGUE 編集部2019/03/03(日) - 22:41 に投稿

テーマ:海の復権 

「島のおじいさんおばあさんの笑顔を見たい。」-そのためには、人が訪れる“観光”が島の人々の“感幸“でなければならず、この芸術祭が島の将来の展望につながって欲しい。このことが、当初から掲げてきた目的=『海の復権』です。 

有史以来、日本列島のコブクロであった瀬戸内海。この海を舞台に灘波津からの近畿中央文化ができたこと、源平、室町、戦国時代へとつながる資源の争奪の場であったこと、北前船の母港として列島全体を活性化したこと、朝鮮通信使による大切な大陸文化の継続した蓄積の通路であったことは、その豊かさを物語るものでした。しかしこの静かで豊かな交流の海は近代以降、政治的には隔離され、分断され、工業開発や海砂利採取等による海のやせ細りなど地球環境上の衰退をも余儀なくされました。そして世界のグローバル化・効率化・均質化の流れが島の固有性を少しずつなくしていく中で、島々の人口は減少し、高齢化が進み、地域の活力を低下させてきたのです。 

私たちは、美しい自然と人間が交錯し交響してきた瀬戸内の島々に活力を取り戻し、瀬戸内海が地球上のすべての地域の『希望の海』となることを目指し、瀬戸内国際芸術祭を開催しています。 

北川フラムが提唱する“アートの効力”とはなにか 「越後妻有 大地の芸術祭の里」 レポート

石水典子2016/08/21(日) - 18:02 に投稿
昨年、出版された北川フラムさんの著書『ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す』(ちくま新書)によると、地域づくりにアートが効くと評価が高まったのは、2012年に行われた5回目の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を開催した頃だといいます。 北川フラムさんは、今年、3年に一度の開催で盛り上がりを見せる「瀬戸内国際芸術祭」や、現在、日本各地で行われているアートによる町おこしのパイオニア的存在の、越後妻有「大地の芸術祭」の総合ディレクターです。 同著によると、「大地の芸術祭」開催当初、現代アートによる地域おこしは理解を得にくく、「現代アートなんてせいぜい爆発だろう」、「この地域では受け入れられない。都会から来て何を言うか」と、北川さんは四面楚歌の状態だったといいます。それでも辛抱強く、地域の人と対話をし、芸術祭の内容をブラッシュアップしながら、魅力的な国際的な芸術祭にしていったのです。 地域再生としてのイベントなら、芸術祭が行われていない年にも客足がなくては成功とはいえません。昨年、芸術祭を終えた今だからこそ本来の姿が見られるのではないでしょうか。そこで2016年8月5日(金)から8月8日(月)まで、大地の芸術祭の里に訪れてみました。主要なスポットと作品の紹介も含めて、レポートしていきます。